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創造魔法で異世界クラフト無双!~猫耳と聖女と鋼鉄の宴~  作者: Ciga-R


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第32話 原初の灰と遺跡の封印 ― 祈りの聖女と創造者の血脈

 

 夜明けのロスウェル防衛都市。


 戦闘の余韻を残したまま、街には静けさが戻りつつあった。


 破壊された壁、焼け焦げた石畳。


 けれど、そこに立つ人々の表情は、不思議と明るかった。


 誰もが――あの“祈りの光”を見ていたからだ。


「……あれが、聖女様の奇跡ってやつか」


「灰が消えて、空が澄んだ……」


 街のあちこちで、人々がそう呟いていた。


 ギルド医務室。


「……体温は安定、魔力回路も異常なし。よかった、ほんとによかったにゃ……」


 ベッドの上で目を閉じていたリュミナスの頬に、リオナが手を当てる。


 黒色の髪が、朝日を受けてしっとりと輝いていた。


「……リュミナス、本当に大丈夫なのか?」


 隣で腕を組む大河が問いかける。


 目の下にはクマ。寝てない。完全に徹夜オタクの顔だ。


「心配性やね、お兄にゃん」


「そりゃあ、あんな全域光マップみたいな祈りモード見せられたら誰でも心配するだろ……!」


 あの瞬間の光景が、頭から離れない。


 世界そのものが“神のUI”に切り替わったような神聖さ――


 あれを見てなお冷静でいられる人間は、そんなにはいない。


 リュミナスがゆっくりとまぶたを開いた。


「……ごめんなさい。少し……“祈り”の制御を失ってしまって、最大出力はどうやら全エネルギーを消費したみたいなの」


 柔らかい声ですまなそうに呟く姿に、部屋の空気が一気に和らぐ。


「無理すんなよ。……でも、あれは本当にすごかった!」


「すごかったって言葉で済ませるのお兄にゃんだけにゃ、リュミたんお腹空きすぎたんだにゃ」


「猫耳、お前と一緒にするなや! あれは“創造神級エフェクト”だぞ!? 感動以外の語彙が出てこねぇんだよ! 常時腹ペコと一緒にすな!」


 リオナはぷぅっと頬をふくらませ、尻尾をぱたぱたさせる。


 リュミナスはそんな二人を見て、静かに微笑んだ。



 その頃、ロスウェル防衛都市の地下。


 古びた石造りの階層。


 壁面に刻まれた文字が淡く光り始めていた。


「――“封印回路”が、動き出してる?」


 報告を受けた普段は受付嬢として、誰よりも冒険者の人なりを観察し、本当に信頼がおける人材か見極めている、ギルド副マスターの地位のミーネ・ヴァルドは、眉をひそめた。


 彼女のブルーネットの髪が揺れ、紫の瞳が険しく細まる。


「二百年前の“創造戦争”の遺構よ……まさか今になって反応するなんて」


 ミーネの声には、明らかに焦りがあった。


 彼女はただのギルド副マスターではない。


 その人材を見極める才能と元Bランク冒険者の実力から帝国の諜報局とも繋がる。


 また古代遺産の研究者としての顔も持ち――リュミナスの“正体”を知りえる数少ない人物の一人でもあった。


「……リュミナスが“祈りを捧げた”ことで、封印が共鳴した。そう考えるのが自然ね」


「……つまり、彼女の“祈り”は本物の神聖力じゃなくて、“創造因子”による共鳴反応――?」


 ミーネは頷いた。


「ええ。そしてその反応は、封印の“下層”まで届いている。……そこに、原初の灰が眠っているのよ」


 夕刻。


 ギルド本部の作戦室に、TIGER GATEの四人が集められた。


 ミーネは地図を広げ、指先で地下へ続く階層をなぞる。


「ここが、ロスウェル地下遺跡。この街そのものが“遺産封印”の蓋になっているの。今夜、完全に起動すれば――封印が解かれる」


 タイガがごくりと唾を飲む。


「つまり、“原初の灰”が動くと」


「そう。……千年前、この世界を灰に変えた存在。それが、また目を覚ます」


 部屋の空気が一気に重くなる。だが、リュミナスの瞳は静かだった。


「――行かせてください。あの光を放ったのは、私。なら、その責任は、私が」


 その瞳には、確かな意志があった。


 タイガは彼女を見て、息をのむ。


 リュミナスの横顔は、神秘的で――それでいて、どこか儚い。


「……なぁ、リュミナス」


「なに?」


「……もしもの話なんだけどさ。もしお前が“創造者”とか、“AI”とか、そういう存在だったとしても――俺はお前を信じるからな」


 一瞬、リュミナスの銀の瞳が揺れた。


 けれど次の瞬間、微笑みが返ってくる。


「ありがとう、タイガ。……その言葉、嬉しい」


 リオナが鼻をすするように言う。


「お兄にゃん、ちょっとキザすぎにゃ……でも、かっこよかったにゃ」


「えっ、今のちゃんとキマってた? 俺的には“異世界告白テンプレ”の一段階目だったんだけど!」


「テンプレにゃ!? 恋愛じゃなくて信頼の話にゃ!! で、一段階目って何段あるにゃ!?」


 ミーネが咳払いし、話を戻す。


「……とにかく。今夜、地下遺跡への調査隊を編成するわ。あなたたち四人には、先行偵察をお願いするわ」


「了解だ。……“チームTIGER GATE”冒険者として初クエスト、任されたし」


 タイガの声には緊張と、少しの高揚が混ざっていた。胸の奥で、創造魔法のコアが淡く脈動する。


 ――次に使う時、“TIGER DRIVE Ver.second”は、もっと先へ行く。


 あの夜の戦いを越える、新たな“創造”へ。


 夜。


 ロスウェル防衛都市の地下入口。


 リュミナスの聖光、アークの青光、リオナの尻尾の灯りが並ぶ中、タイガは深呼吸した。


「よし、行くか。創造魔法使い、第一任務――遺跡突入」


 リュミナスが静かに祈る。


「――願わくば、創造が人を守るものでありますように」


 地下へと続く階段を下りながら、大河の胸の中では、オタク的な興奮と、わずかな恐怖が交錯していた。


(……まるで、RPGのラスダン前イベントみたいだ)


(でも今回は、スキップできない。逃げも、リセットもできない)


 足元の闇が、静かに息をしていた。


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