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創造魔法で異世界クラフト無双!~猫耳と聖女と鋼鉄の宴~  作者: Ciga-R


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第27話 村を襲う灰の影と、俺たちのクラフトバトル!


 翌朝。


 夜明けの霞がまだ地を包むころ、タイガたちはゴーレム形態になったアークに荷を積み直していた。


 村の人々が手を振り見送る。


 昨日の戦火の後は、祈りと創造魔法の再生の光に包まれ、少なからず息を吹き返していた。


「いやー、やっぱイベント明けの朝って清々しいな。まさに“救済クエスト完了”の報酬画面って感じ!」


 タイガが肩を回しながら笑うと、リオナがあくびを噛み殺しつつ横を歩く。


「ふにゃぁ……まだ眠いにゃ。にゃんで朝から出発にゃの~?」


「リオナ、昨夜言ってただろ。次の村――確か“ベルトナ村”だっけ? 依頼が残ってるって」


「にゃ? あっ!! 思い出したにゃ!!」


 リオナの尻尾がばしんと跳ねる。


「そうにゃ! “村内魔物襲来”の調査と、けが人へのポーション支給の依頼だったにゃ!!」


「完全にサブクエスト管理忘れてたパターンじゃんそれ!」


 タイガが額を押さえる。


「やっべ、昨日の戦闘イベントに感情リソース全振りしてた、リオナのログ未確認だった……これは反省案件だな」


「リオナ、任務遅延。記録、更新推奨」


 アークが低く電子的な声を発する。


「現時点座標、ベルトナ村マデ残距離三・八キロ。道程安全率、六三%。警戒維持ヲ推奨」


「了解、分析ありがとう! 六三%ってことは、“不穏イベント発生率三七%”ってことだな……ほぼ確定演出じゃん」


 タイガが笑いながらも、右手で小型クラフトツールを取り出し、アークの外装に魔力補助ラインを調整する。


「よし、これで魔力伝導効率を三%上げた。クラフト勢の誇りにかけて、整備は抜かりなし!」


 リュミナスは静かに祈るように手を組み、微動だにせず歩いている。


「……この先に、悲しみの波動を感じます。灰の痕……まだ、誰かが苦しんでいる」


「灰の痕? ってことは、昨日の“灰の追跡者”と関係あるのか?」


 タイガが尋ねると、リュミナスは小さく首を振る。


「似てはいますが……これはもっと原始的。瘴気ではなく、“恐怖”の残滓。人の心が、魔に蝕まれる直前の波動です」


「つまり、魔物に襲われて――村人が暴走しかけてるってことか?」


「はい。放置すれば、また“灰の再現”が起こるかもしれません」


「くぅーっ! これは放っておけねぇ展開だ! “癒しと破壊のダブルヒロイン+俺=感情クラフトフル稼働編”ってやつじゃん!!」


 タイガが拳を握ると、リオナが呆れたように笑う。


「お兄にゃん、メタ発言? にもほどがあって流石に理解の外にゃ……」


 アークのセンサーが小さく光る。


「熱源反応、前方三二〇メートル。村の外縁部に複数。戦闘痕、血痕、確認」


「よし、アニメで言うなら“OP明けでBGM静かになるパート”だな。――ここからは緊張フェーズ突入」


 タイガがそう言って立ち上がる。


 馬車が林を抜けた先――


 見えてきたのは、煙の上がる小さな村だった。


 壊れた柵。焦げた匂い。地面に深く爪痕が残る。


「やっぱり……魔物が襲った後にゃ……!」


 リオナが震える声で呟いた。


 村の中央では、けが人を担ぐ人々の姿があった。


 泣く子供、血に染まった服。


 そして――その真ん中に、一人の若い女性がいた。


 彼女は、両手で誰かの胸を押さえていた。だが、その血の量はあまりにも多い。


 タイガが息を呑む。


「……これ、まさか……治癒の手が足りてねぇ……?」


 リュミナスが静かに前に出た。


「タイガ。リオナ。アーク。――私に時間をください」


 光が彼女の掌から溢れる。


 淡い金と白の輝きが風に乗り、空気を震わせる。


 祈りが、響いた。


《聖式コード:ルクス・サルヴァトーレ》


 傷ついた者たちの息が戻り、苦痛が消える。


 リオナの瞳が潤む。


「……すごいにゃ、リュミたん……まるで本物の聖女様みたいにゃ……」


 タイガはその光景を見て、胸の奥で叫ぶ。


「くぅっ……これだよ! “奇跡を演算する聖女オブAI”神演出ッ!! 泣ける……演出班、完璧かよ……!!」


 アークがデータを解析しながら、静かに告げる。


「治癒成功率九八%。生命反応安定。残留魔力、微量」


 光が収まり、村に静寂が戻った。


 リュミナスは振り返り、柔らかく微笑む。


「……行きましょう。まだ、この村には“原因”が残っています」


 タイガが頷く。


「了解、“事件パート”突入だな。今回のキーワードは“魔物襲来の裏にある恐怖”。行くぜ、チーム・TIGER GATE!」


 リオナが手を挙げる。


「お兄にゃん、まずごはん食べてからでもいいにゃ? 空腹じゃ戦えないにゃ~!」


「そこっ!? さっき、たらふく食べてたよね!?」


 緊張の狭間の少しの笑い。


 その先に待つのは――再び灰の影が差す、真実の村事件だった。


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