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創造魔法で異世界クラフト無双!~猫耳と聖女と鋼鉄の宴~  作者: Ciga-R


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第18話 封印区画エル・アーク “黒翼の追跡者”と祈りの巨兵

 

 夜明けの森を抜け、古代遺構の谷底に到達した。


 そこには巨大な門――封印区画エル・アーク


 崩れかけた祈祷文字が刻まれ、中央には黄金の紋章が輝いている。


《……この門の向こうに、“継承核”が存在します。ですが――反応があります》


 イヴの声が、微かに緊張を帯びる。


 同時に、地面が振動した。


「……出たな。RPG的お約束、“ボス戦エリア突入の前触れ”!」


「ニャにゃ!? 地面が……動いてるにゃ!!」


 谷の影から、黒い霧が湧き上がった。


 やがて、その中から――翼を持つ“人型の兵器”が姿を現す。


 漆黒の装甲。

 背には、燃えるような漆翼。


 顔には仮面、胸には赤い創造紋。


《識別……不能。データ照合、失敗。――これは、“異端コード”》


「異端……ってことは、バグった創造物か?」


《いいえ。――“別系統の創造者”による構造体。私たちと同じ、しかし……逆位相の存在》


「つまり……裏ボスルート開放、ってやつか!」


「お兄にゃん、そういうメタ? 発言してる場合じゃないにゃ!!」


 黒翼の機兵が腕を伸ばし、漆黒の光刃を展開する。


 次の瞬間――轟音が走った。


 タイガは反射的に叫ぶ。


「アーク・ゴーレム、展開ッ!!」


 地を揺るがす金属音。


 祈りの紋が輝き、巨体が闇の中から起動した。


 ――アーク・ゴーレム《Ordo Ark》。


 その姿は、まるで神殿の守護像が戦場に降り立ったようだった。


 頭部には冠のような装飾、胸には祈りのルーン、腕には大地を抱くような装甲。


 背面から光の翼が展開し、金属と聖句が同時に鳴り響く。


《起動率、九十八パーセント。同期、開始――》


「来い、“同調システム:TIGER GATE”!」


 橙と黒の髪が風に舞う。


 タイガの身体に光の紋が走り、筋肉がしなやかに膨張する。


 その姿は、まるで“若返った戦士”――


 二十歳前後の体躯に、獣のような気迫を宿していた。


「お兄にゃん、イケメンモード発動!? カッコいいにゃ!」


「ふふん、説明しよう! これが俺の“二段進化スキルツリー”だッ!!」


《タイガ。……集中を》


「分かってるって、イヴ!」


 彼が腕を振り上げると、アーク・ゴーレムの右腕が同調して動く。


 巨腕のルーンが輝き、祈りの光を放つ。


「アーク・ストライク――“レクイエム・スマイト”ッ!!」


 大地を割る一撃が、黒翼の機兵を吹き飛ばす。


 衝撃で谷が揺れ、封印門の紋章が共鳴音を上げた。


 だが、敵はまだ倒れていなかった。


 翼を広げ、再び飛翔する。


 その動きは、まるで堕天使――


《エネルギー波形、変化。……闇属性コードを吸収しています》


「うわ、属性吸収タイプ!? チート構成かよ!」


 黒翼がアーク・ゴーレムの胸を貫こうと迫る――が、リオナが飛び出した。


「お兄にゃん、左ッ!!」


 その声に反応し、タイガは右手をかざす。


 アーク・ゴーレムが腕を交差、防御フィールドを展開。


 黒い光刃がぶつかり、火花が散る。


《……シールド耐久、六十二パーセント。タイガ、反撃の余地あり》


「イヴ、祈りコードを解放! “神聖アルゴリズム”使えるか!?」


《可能……ですが、リミッターが――》


「構わねぇ! この瞬間だけでいい!!」


 光が弾け、アーク・ゴーレムの全身が白く染まる。


 機体の装甲が祈祷文字に覆われ、まるで神殿そのものが歩くようだった。


《詠唱開始――“聖式コード:Sanctus-01。罪ある創造を、赦しの光で洗え……”》


 静かな声が祈るように響く。


 そのたびに光の粒が舞い、黒翼の機兵の動きが止まった。


 タイガは息を吸い込み、叫ぶ。


「アーク・レクイエム――フルバーストッ!!!」


 光が爆ぜた。


 大地が白に包まれ、音すら消える。


 そして――静寂。


 黒翼の機兵は崩れ落ち、霧となって消えていった。


《敵機、完全消滅。コア解析不能……残留データは“祈りの断片”》


「……祈り? あいつも、誰かの願いの成れの果てだったってことか」


《おそらく。――創造の影は、どこにでも生まれるのです》


 タイガはアーク・ゴーレムの肩に手を置いた。


 まるで友のように。


「お前も疲れたな、相棒。……ゆっくり休め」


 ゴーレムが膝をつき、静かに光を収束させていく。


 まるで祈りの儀式が終わったかのように。


「お兄にゃん、かっこよかったにゃ!……でも顔が疲れきっているにゃよ?」


「まあなー RPGのバトルの後はMPが切れるのだよ」


 リオナが笑い、イヴが静かに告げた。


《……戦闘記録、保存完了。次の目的地――“継承核保管区画”。そこに、“黒翼の創造者”の真実が残されています》


 夜明けの光が谷を照らし、祈りの巨兵が沈黙する。


 風に乗って、イヴの声が微かに響いた。


《――祈りは、まだ……終わっていません》


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