表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/82

第80話 『もちろん、筋肉トレーニングの話ですわぁ~~~!』


 数時間後、ダンジョンから出た俺たちを和葉さんと真世さんが迎えてくれた。


「いかがでしたか? お嬢様の具合は」

 どうしてこの世界の女性はこんな感じなんだろう。いや、元の世界では男がこんなもんだっただろうか。


「? もちろんバッチリだわ!」

「なんと……ご自身で既に確認済みだったとは。殿方に捧げるべきとあれほど……」

「? 捧げる前に味見くらいするわ!」

「なんと……それはそれは……」

 おそらくサンドイッチのことだろう。俺もそうだと思っておこう。


「ええ、美味しかったですよ!」

「まあ! まあまあまあ!」

 いやいや、あんたもわかって言ってるでしょ!


「……はぁ。その様子では口付けもまだですね。どうしますか、この後は宝条家自慢の2人っきりになれる場所へとご案内いたしましょうか」

「いや、今日のところは」

 真世さんも若干マイルドだが、これまたひどいことを言っているぞ。

 それに、今日は撫子(なでしこ)さんの対男性耐久値が限界を超えてる気がする。


「撫子さん、またデートに誘ってもいいですか?」

「――!? あ、あうあうあ……は、はいぃ~……」

 ほら、再びあわあわしてるもの。ゆっくり彼女のペースで関係を育めればいいと思うよ。


「そう、ですか……では帰りましょう」




 しかし、俺は甘かった。

 ゆっくり関係を育む暇などなかったと……俺はまだ自分の置かれている状況を理解できていなかったのだ。




 ◆◇◆◇◆◇


「まあ! それではまだ撫子さんに手を付けてないと!?」


 家に帰ってフランたちに今日のことを報告した俺。

 妻から他の女の人に手を出してないことを驚かれるとは。


「ここはあの手を使いましょう、真里愛様」

「ああ! あれね~♪」

 何やらよろしくない展開になりそうだ!


「どの手か知らないけどさ! 撫子さんも緊張しちゃうからゆっくり時間をかけて――」

「「「……」」」

 しかし俺の抵抗もフランたちに一瞥(いちべつ)されただけで黙らされてしまった。それほどに(あわ)れみや(あき)れのような感情が(こも)った表情だった。


「では作戦決行は――」

「わかりました、それなら――」

「またいつものアレ――♪」


 俺の意思、無視!




 ◆◇◆◇◆◇


 そして翌日。

 目隠しされたままどこかへと連れてかれる俺。最早何も言うまい。


「ではこちらで少々お待ちを……」

 とある部屋に通され、ベッドのようなところに座らされたあと、真世さんが離れる気配と扉の動く音がした。


「ここは……どこだ?」

 歩いた距離的にはビルのどこかの部屋ではあるんだが……。


「はぅぅ~……」

「……? 誰かいるの?」

 何者かの声が聞こえたが……それっきり何も聞こえない。しかし声は聞き覚えがある。っていうか撫子さん。


 ……。


 ……。


 ……。


 それから10分ほど経っただろうか。


 視界が(ふさ)がれていることで周囲の音がよく聞こえる。

 時折、何やらガサガサしたり誰かが立ち上がる音がしたり扉を開けようとする音も……それに何だかいい匂いもしてきた。


「ふぅー……ふぅー……」

「……ふぅ……」


 誰かさんの呼吸音が強くなっている気がする。いや、俺もか……。

 この匂い、間違いなく例のアロマだろうし……。


「……うぅ~!」

「――!」

 その時、カチャカチャと……ベルトが外される音がした。


「……ひゃぁっ!」

「……」

 ボロンと飛び出たソレに驚いた様子の誰か――いや、撫子さん。

 どうしたもんか……。


「……!」

「――うっ!」

 意を決したような気配を感じるとともに、ソレが温かい何かに包まれる。


「……プハァっ……こほこほっ、はぁはぁ……おっきぃ~……」

「……」

 完全体となったソレに驚いた様子の撫子さん。そろそろ辛いのではと、声をかけようと思ったところ、撫子さんが抱きついてくる。


「お(した)い、しております……」

 耳元で、おずおすと呟くような声。そしてソレと彼女のアレが触れ合う感触が。


「あれ、入らな……何でぇ……?」

「……」

 見えないものの、涙目で焦っているのが目に浮かぶ。このままでは失敗に終わりそうな予感も。


「俺も、お慕いしてます」

「……あ……んっ」

 言いながら、撫子さんを抱きしめ、ソレを入口にあてがう。後は……。


「……んっ! つぅ~……!」

「……」

 余計な言葉は投げず、抱きしめた背中を優しく撫でる。


「だ、いじょ……んっ! あっ! はぁっ……!」


 辿々(たどたど)しくも上下に動く撫子さん。きっと、目隠しの向こうには恥ずかしそうに顔を赤ながらも、一生懸命頑張っている彼女の顔があるのだ。こんなに嬉しいことはない。

 今はただ、彼女が頑張れるように抱きしめていようじゃないか。


 ……。


 ……。


 ……。


 トレーニング後。

 さぁ、目隠しを外していざ対面! 実は撫子さんだってわかってたよ! 的なセリフを言おうとしたところで――。


「やりましたね、お嬢様! 私見てて涙が……うぅっ!」

「まったく、気が気じゃありませんでしたわ!」

「少しだけ興奮しましたね。少しだけですが」


 !?


「な、何のことはなかったわ! 思ったより痛くもなかったわ!」

「おめでとうございますぅ~、うぅ~……ぐすっ!」


 見ていた……だと……?

 しかも和葉さんだけでなくフランや真世さんまで!?


「はぁ~、最初に逃げ出そうとした時は(おどろ)きましたわ! ここまでお膳立(ぜんだ)てされて尚逃げようとするなんて!」

「全くですね。凜音様の伴侶(はんりょ)となる覚悟が足りません」

「うぅ~……で、でも! 私ももう……! 大丈夫だわ!」

 最初のドアの音は……撫子さんが逃げようとした音……?


「え、えと……」

「お嬢様、凜音様がお待ちしておりますよ」

「そうですわね! さあ、今度は全員でイキますわよ!」

「わかったわ!」

「うぅ……お嬢様と同じ時に喪失できるなんて……ぐすっ!」


 ちょっとぉ!?


「せめて目隠し外して……んあああああんっ!」


 ……。


 ……。


 ……。




 そして全てが終わった後に俺は気付いてしまった。

 部屋のドアの上に例の『でられない部屋』看板がついていることに……。


 撫子さん、本気にしちゃったんだ……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ