第40話 アラクネ・コア
おはようございます!
次の話は20時30分頃投稿予定です
「ギシャアア! ギャアアアッ!」
「トゥ! ヘァー!」
まるで地団駄を踏むように脚を何度も地面に突き刺すアラクネ、それを避ける俺。
さほど早くはないので余裕ではあるが、すでに地面にはいくつもの穴が空いている。
「デカいってのは脅威だけど、同時に隙もデカい」
「~~~ッ!」
決して遅くはないのだろうけど、俺からしたら十分遅いその攻撃を掻い潜りアラクネの同体部分にたどり着く。
素早い動きの代償としては、腕の中の雪さんが舌を噛まないように必死な顔になること。かわいい。
「コアは腹の奥か?」
「かも。魔力が濃い」
「では遠慮なく!」
腹を魔力を込めたブラックハイネスで掻っ捌く。
しかし――!
「ひぃぃっ!?」
「……! ……!」
「しゅるるる……!」
その腹の中からと無数の子蜘蛛が飛び出てきた!
子蜘蛛と言っても、大きさは全て人間の大人くらいのサイズだが。
「雪さん、しっかり捕まって!」
「うんっ」
敵のあまりの多さに一旦退く。
「――はぁっ!」
「ギシャアアア!?」
ブラックハイネスの魔力を横薙ぎに放出させ、かなりの数を倒せたが……それでも、次から次へと蜘蛛が湧いてくる。
「めんどくさ――なっ!?」
「『凜音様っ!』」
「しゅルル……」
まるで太いワイヤーのような糸が体に張り付いた。さらに一瞬にしてすのこのようにぐるぐる巻きにされてしまう。
「くるし……っ!」
「ぐぅ……」
かなりの力で締め付けられる。『魔力武装』の上からこれなら、生身で受けたら……想像したくないな。
「ふぐおぉぉぉっ!」
超強力なゴムのような伸縮性だろうがミスリル並みの硬度だろうが関係ない――と思ったのだが……。
「……柔らかいという事はダイヤモンドよりも壊れない、ということか」
「り、凜音さん……キャッ!?」
全力で糸を引き剥がそうとしたが叶わず、繋がった糸に引っ張られる形でアラクネの手元に。
「ゴギャグぎゃじゅるぁああっ!」
「ひっ……ま、負けない! “不遇にして不朽”『トム・ザ・キャット』!」
雪さんが一瞬怯むが、それでも『トム』を呼び出しアラクネの顔面めがけて銃撃を繰り出す。
「……グジュルル……?」
だがアラクネからしたら虫に刺された程度の効果しか与えられていないのは、やつを見ればわかる。
「あ、諦めない……! わ、私が守ってあげるんだっ!」
「雪さん……」
涙目になりながらも必死に強大な敵に立ち向かう彼女。なんていじらしくてかわいいんだろう。こっちこそ一生守ってあげたい。
「『トム』! ――あぁ!?」
「ガギャぎゃギャァ!」
そんな彼女の決意を嘲笑うかのように、『トム』をデコピンで弾き飛ばすアラクネ。
こいつ……!
「そんな……っ!」
「ギャーッギャッぎゃッハ!」
「『なんて憎たらしい……! 雪ちゃんの思いを嘲笑って!』」
俺の雪さんをバカにしやがって……!
雪さんも悔しいのか、体が震えているのが伝わってくる!
「おのれ――」
「……ごめ、んね……守ってあげられなくて……」
怒りでいっぱいの俺の頭に、泣き声混じりのか細い声が聞こえてくる。
「雪さん……」
「シャアアぁァァァッ!」
「『ちょっと! 凜音さん!?』」
アラクネが俺らを口元に運ぶのがゆっくりと感じられた。
そんな中、雪さんが体をよじらせて――。
「ちゅっ……えへへ、最期に勇気出せた」
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