第36話 実は男嫌いの女騎士
夜の部です。
4話ほど投稿しますので、よろしくお願いします。
「ということで、彼女をお嫁さんの1人に加えさせて頂きたいのですが……」
「……あ、あはは~……」
「……」
自宅に帰った後、真っ先にフランや真里愛たちにお伺いを立てる。
全身汗でグッチョリ。指の先はチリチリする。喉の奥はカラカラだ。目の表面がうるうるするんだ。
「よろしくお願いしますわ、ミコさん」
「え? は、はいぃ~……」
どうもミコさんとしてもフランへの苦手意識と言うか上下関係は払拭できないみたいだ。それでも認めて貰えはした。
「……よ、よろしいのですか? ウチ――私なんかが……」
「……よくはありませんわね」
おふっ。
「や、やっぱり……」
「あなた、凜音様に選んで頂いておきながらなぜそんなに卑屈なんですの? てっきり、『これでウチたち対等だから!』くらい言ってくるかと思っておりましたわ」
「うっ……」
俺も、どっちかって言うとそう思ってた。だけど最近わかったが、ミコさんは自信ない系ギャルってこと。
周囲がすごかったりで自信が持てなかったとか?
「まぁ、そんなものはいずれ付いてくるでしょう。改めてよろしくお願いしますわ!」
「……うんっ☆」
よかった、これでひと安心だ。
そう思ったら眠気が……。
「ところで……星奈さんにはなんと説明するのですか?」
「……」
目が一気に冷めた。
「問題はそこですね。凜音さんは『名前を呼んではいけない方々』のような高ランク探索者の方々がどうして今回のような駆け出し探索者のサポートという依頼を引き受けてくださったか、知っておりますか?」
『名前を呼んではいけない方々』とは。某トムリドルさんのことですかな?
「『アヘ顔ダブルピース』さんたちだよね。フランがたくさんお金を積んでくれたんだと……」
「んまっ! 凜音様ったら、わたくし必要ないお金は使わない主義でしてよ?」
「……」
何やら神妙な顔になるミコさんと雪さん。
もしかして何か深刻な問題があったのだろうか。
「……実はウチら、活動休止……ううん、下手したら解散の危機にあったんだよねぇ~」
「……」
「えっ!? そうなの!?」
あんなに仲良さそうで信頼し合ってて……でも確かに、前に星奈さんがチラッと前いたメンバーがどうとかって言ってたかも。
「もうぶっちゃけるけどさ、ウチらがSランクに昇格した途端前のリーダーともう1人が辞めちゃったんだよねっ! 『これで男を選べる!』ってさ!」
「な、なんと……」
お、男ぉ……?
「Sランク探索者ともなれば、優先して男性と面会できますしかなり融通が利きますからね。逆に言えば、大抵の方々は狙いの男性を選ぶことはほとんどできないのです」
「わたくしも、宝城財閥の跡取り娘ということでどうにか凜音様との繋がりを保てたので……お気持ちはわからなくもないですわ」
ふむ……想像以上に女性は大変なんだな……。
最高峰の探索者となることが目的の手段でしかなく、しかも簡単に切り捨てられる程度には。
「……正直大揉めでねっ。私達の関係性なんてこんなもんだったのかーってさ」
「……」
その通り過ぎて泣ける……。
「それに、残された私達には致命的な欠点があったの」
「欠点……?」
「そう。出ていった2人はアタッカーで……私達は、サポートや守りが主な役割だった。私の『トム・ザ・キャット』も牽制が主な仕事で、とても敵を倒すなんてできない」
アタッカーは肉食系だということか。
「特に星奈さんと前リーダーは古くからの付き合いだったから、この件で男性への忌避感が強くなった」
「それに……高ランク探索者パーティってことで何度か男性と会ったことがあるんだけど、そのときも碌な男がいなかったしねっ! そんな訳で、ウチとりおっちがラブラブだってことがバレるとヤバいかもっ☆」
「そっかぁ。しかしそんな状況でよく俺のサポートなんて依頼受けてくれたね」
「それは……多分、最初に凜音さんがちゃんと挨拶してくれたからだと思う」
「あ、挨拶……?」
そんなあたり前のことで信頼されただって……?
「星奈さん、最初に凜音さんと会った時に言ってた。『男性だけど礼儀を知っている。ひとまずこの依頼は受けようと思う』って」
「そ、そんな……挨拶くらい常識では……?」
「……凜音様、この世界は男性というだけで全て与えられる……傲慢にもなりますわ」
挨拶したくらいで信頼される世界。信頼とは。
「そんな中で女性への思いやりが随所に見て取れる凜音様と触れる機会があったとしたら、全ての女性が股を開くでしょう」
「真世さん……下品過ぎるよ……」
「さすがにそれはどうかと思いますわ……」
この世界の常識的にもおかしいようで、さすがにフランも呆れてる。
「そうだよっ! 8割くらいだよ!」
「……」
夜の独り歩きは本当にやめよう。
「……それで、星奈さんには何て言おうか」
「……しばらく内緒ってことでっ☆」
「それがいいと思いますわ。時が来たらお話すればよろしいかと」
これは後ろめたいことを黙っている訳じゃない。
より適切なタイミングを図っているだけなのだ……っ!




