第25話 『3つの頭があれば同時に喋れますわ!』
――数日後。
今日はとある危険区のとあるダンジョンに来ています!
配信はまだしていません!
「『うふふ♪ 凜ちゃんと初めてのダンジョンだねぇ~♪ わん♪』」
今日はお供にランチョンは連れていない。
新しい探索サポートドローン、ケルベロスモデルのリア、チカ、まっひーと一緒だ。もちろんデフォルメされたぬいぐるみみたいなケルベロス。
3名分名前がついているのは、それぞれの頭に独立したAIが搭載されているからなんだと。
「頼むよ、リア!」
彼女らは……ダンジョン破壊時のサポートをする用にフランが新しくくれたものだ。ランチョンのままだと万が一姿が映った時がまずいということで。それともう1つ別の贈り物もある。また彼女には世話になってしまうな……。
「『頑張るよ~! 私、これでも昔は探索者として頑張ってたんだからぁ~♪ わん♪』」
「昔って……最近作られたばかりでしょ?」
どうやらこのリア、言語モデルを真里愛に設定しているようで……何だか抜けている性格も反映されている気がする。
「『あ、そうだった~! 失敗失敗だわん♪』」
「もう、しっかり頼むよ!」
ということで、今回は漆黒堕天騎士バージョン――ダンジョンの破壊を目的とした攻略をしていく。
標的はランクE、最低ランクのダンジョンだ。
これには実験的意味合いがあり――。
「『ダンジョンのランクがコア・ビーストの強さにどう影響しているか……今回でわかるといいわんね!』」
前回のランクCで巨大なミスリルゴーレムだったからな……ランクが上がるとコア・ビーストも強くなるとかだったら、Sランクダンジョンではどうなってしまうのか。
今回はその疑問の答えを求め、ダンジョンの奥底へと向かうのだ。
「『さぁ、行きますわよ! コケヒヨコダンジョン! ――わん!』」
別名、庶民の味方。ヒヨコがそのまま大きくなったような見た目で攻撃力もスピードもない。歩く鶏肉こと、コケヒヨコのダンジョンだ!
◆◇◆◇◆◇
「着いた」
ボス部屋に。多分5分くらいで。
「『速かったねぇ~♪ わん♪』」
「『さすがにランクEですしわん!』」
「『平和なひと時でしたわねわん!』」
わんわんわんわん……かわいいけど、語尾をつける機能必要か?
「んじゃあボス部屋入るよ」
扉を開けるとそこには、成鳥の雄と雌、そして子どもっぽいコケヒヨコの3羽が。
「『こ、これはかつてない強敵だわん! あのかわいくて幸せいっぱいなひよこちゃん一家を倒すなんてとても――』」
「ん? 何か言ったか、まっひー」
3羽仲良く首ちょんぱ。ついでに血抜きをしながらまっひーに尋ねる。
「『――っ!!! 鬼! 悪魔! ひとでなし! 浮気者! それと……バカぁーーー!!!』」
「ひどっ」
目的を忘れたのかしら。
「んで宝箱は……卵?」
1つだけの、手のひらサイズの卵。
「……コケヒヨコのか……? 食えと……?」
相変わらずダンジョン攻略報酬がしょっぱい件。
「『それはあたしが育てるわん! 無惨にも殺されてしまったピヨちゃんたちのためにも! ガルルルル!』」
語尾が凶暴化したんだが。
「わかったわかった。大事にしまっとくって」
「『約束だわん! 絶対持って帰るわん!』」
「わかったってば」
腹が減ったら食べよ。
どうやら有精卵らしく、『収納』できなかったので仕方なく胸ポケットにいれておく。生き物はしまえないんだよねー。
「さて……宝箱壊すぞ」
本題のダンジョン破壊のため、宝箱を壊す。予想通り、間もなく赤い色のゲートが目の前に出現。
そのままゲートを潜ると……前回とほとんど同じような、機械的な設備が並ぶ部屋に出た。
「『……部屋に大きな違いはないみたいだね~わん』」
「『そのようですわね――わん。少々パネルをいじってみてもよろしいでしょうかわん』」
「いいよ」
以外にも、リアも真剣な様子で部屋の中を見ているようだ。
そしてそのふわふわな短い手でどうやって、と思ったが、お腹の当たりから機械の手みたいなものが生えてきた。
「……器用だね」
「『はい、ランチョンの足りない部分を補ってみましたの! しかし……どうやら今回はお役にたてなかったみたいですわん』」
「『パネルを押しても何も反応しませんわん。ロックがかかっているか、権限がないか……わん』」
「確かに、見た感じ何も変化はないね」
となれば、ここでの用事は1つだけ。
「壊すぞ、コアを」
「『わかりましたわん!』」
「『頑張ってぇ~♪ わん♪』」
「『け、怪我はしないように、ね! わん!』」
空間収納からゴーレムのかけらを取り出し、魔力を込めてコアに投げつける。
コアは粉々に砕け――。
<警告。警告。当ダンジョン、レベル1鳥獣種ダンジョンのコアが破壊されました。迷宮内部の挑戦者を排出。これより最終試練を開始します。ご武運を>
前回と同じようなアナウンスが流れ、ダンジョンの外に出される。
そして俺たちが見たものは――!
「な、何だあれ……? そんなのありかよ……!?」
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