第19話 どストレート発情ギャル
「はい、おっけー。いい感じに撮れたよ」
オーガを倒し、爽やかスマイルでカメラに手を振った後に雪さんから合図をもらう。
「ふぅ~……どうかな、駆け出し探索者っぽい?」
「それはイマイチだけど……同じような探索者向け攻略にはまぁまぁと言える……かも」
「あはっ☆ それ、どっちも微妙ってことじゃ~ん! ウケぴ~なんですけどっ☆」
では何がいい感じだったのか……ぜひとも雪さんには説明していただきたい。
ということで、配信の方向性としてしばらくは“駆け出し探索者が送る駆け出し探索者向けの解説動画”ということにした。
実際に駆け出しではあるし、ランチョンのサポート能力を活用した解説動画と言うわけだ。
そして今は編集した動画を配信するだけだが、今後は生配信もしていくことになると思う。
「りおっち~、撮影お疲れ様☆ どうする? いったん戻る~?」
「尺的には結構撮れてるし戻ろう。疲れた」
「そうだね、そろそろ戻ろう」
大体3時間ほど狩りを続け、モンスターも十数体は倒したと思う。そろそろゴーレムダンジョン跡地に戻ろうか。
「ねぇねぇ、戻ったら奥さんがいるんでしょ? それならさっ、今ここでシない?」
「……」
「? するって、何をするの?」
ぜひともミコさんには雪さんの純粋さを見習って欲しい。
「ねぇ~いいじゃんいいじゃんっ、りおっちがかっこよく戦うからさっ! ムラムラしちゃったんだよねっ☆ 奥さんには内緒にするからさっ☆」
「――っ、ミ、ミコぉ……?」
このギャルがエロすぎるッッ!
顔を赤らめる雪さんとの対比がなんとも言えず……興奮するっ!
「ほらほらぁっ☆ 3日ぶりにぃ~、りおっちのかぁいいおチ――」
「『警告です。それ以上バカなことを続けるなら報告します』」
「――えっ? えっ? ペンギンちゃん!? しかも報告って……?」
「『報告は報告です。バカにもわかるように言うならば、フランお嬢様に報告する、ということです』」
「……そ、それだけは……!」
「『それでは、至急お戻りください。紅茶が冷めてしまいますので――ペン!』」
聞いているこちらまで背筋が凍ってしまいそうな声がランチョンから響く。
もう少しでドスケベギャルと――いや、これ以上はやめておこう。
「……戻ろっか」
「……うん」
元気のないミコさんと2人並んでトボトボとダンジョン跡地へと向かうのだった。
「……凜音さん……ミコ……」
◆◇◆◇◆◇
「凜音様! お会いしたかったですわぁ~~~!」
ダンジョン跡地に建てられた小さなプレハブ小屋、そこから飛び出してきたフランに思いっきり抱きつかれる。
「お怪我はありませんか? そこのメスに何かされませんでしたか!?」
「……あのぉ~! あたしちゃんとさ、りおっちをフォローしてるよ!? 少しくらいイチャイチャさせてくれたっていいじゃんかっ!」
「……確かに、あなたへの依頼の報酬として彼との行為は認めていますわ」
「だったら――!」
「しかし依頼は、『星奈さんとの関係を良好に保ち、円滑な探索活動が行えるように』ということですので……」
「はぁ~!?」
確かに、今回は星奈さんがいなかったからね……。
「詐欺じゃん! ひどいよっ! あんなの知ったらもう逆らえないってのにぃぃ~!」
「詐欺ではありませんわ。わたくし、約束は守りますもの」
「……本当ね? ぜっっったいだかんねっ!」
「ええ、もちろんですわ! ほら、本日の状況をあなた方のリーダーにお知らせしてきてはどうですの?」
「わかったよぉ~……いこっ、雪……」
「……うん」
そう言って2人でプレハブ小屋を出ていく。
「……」
ここまで俺への意思確認、なし! だがヨシッ!
「これで邪魔者はいなくなりましたわ! ……とりあえずの報告ですが、目算で鉄や魔鉄がそれぞれ1万トン、それと各種宝石類が数百キロでしたわ!」
「おぉ~……」
本来の目的だった宝石もあったんかい! 鉄やら何やらのインパクトが強すぎて見えてなかったぞ!
「1番の収穫はやはりミスリルで……およそ5万トンです。こちらはさすがに露見するとマジヤバですので、昨日のうちに信頼できる者たちだけで回収いたしましたわ」
抱き合いながら、非常に小さい声で教えてくれるフラン。それだけマジヤバな数字ということだろう。
貴重で素材として優秀なミスリルが5万トン……どのくらいの重さだ?
「ちなみにですが、画像から考えられるゴーレムに対して明らかに少ないので大部分はどこかに消失したということなのです……」
「へぇ?」
誰かに盗られた……という訳ではなさそうなのはフランの顔を見ればわかる。
これもダンジョン産のモンスターだから、ということか。
「それと、身元の判明したご遺体、それに魔道具に関してなのですが……時が来たらご遺族の方たちに引き渡したいと思っておりますが……いかがでしょうか? まだ使用できるものもございますが」
「もちろん! けど、すぐじゃなくていいの?」
「はい。ダンジョンを破壊した、ということが広まるのを避けたいと……時間の問題ではありますけれど」
そう言って窓の外を見やるフラン。
今回の作業では『アヘ顔ダブルピース』をはじめ、外部の人間が結構な人数手伝ってくれている。
そう遠くないうちに話は広まっていくかもしれない。
「今回は我が社に在籍している元探索者の方が、久しぶりの探索中に誤って破壊してしまった、ということになります。その手もあまり使えないため、今後の対策を考えなければなりませんね」
「ふむ……」
身代わりになってしまった方には申し訳ないな……。
「色々手配してくれて助かった。フランには感謝してもしきれないよ」
「いえ……それよりも、ダンジョンを破壊しなければいけない理由とやらをお聞きしてもよろしいでしょうか……? 可能なら、ですが……」
こんなに大変な思いをさせられてるんだから、もっと堂々と言えばいいのに。
「もちろん! すべて包み隠さず教えるよ!」
「――はいっ! ですの! 明日の夜には戻れますので、その時にお願いしますわ! うふふ!」
そこまでして知りたかったのか、フランがとびっきりの笑顔で喜んでくれる。
……その笑顔の意味が、想像と違うことにこの時は気が付かなかった。




