第14話 『操縦者が入れ替わってる? そんなことありませんわ!』
「あれは……カラフルなゴーレム……?」
例に漏れず、擬態から動き出すまで非常に長い。長いが、訓練と割り切って敵を待つ。
「赤、青、緑、茶色……基本魔法の属性の色っぽいな」
「『……うぅ、気をつけてくださいペン!』」
情報を漏らさないように頑張っているらしいランチョン。もどかしいんだろうな。
「コォォォ……!」
「むっ!?」
ようやく立ち上がったゴーレム、その中の緑色のゴーレムが腕をこちらに向ける!
「風――竜巻!?」
まるでドリルのように渦巻いている竜巻がこちらに向かってきた!
「あぶねっ! って今度は地面から!?」
避けた先の地面にいくつもの先が尖ったトゲのような岩が隆起する。
「やはり、あいつらの色はそれぞれの属性! 魔法を使ってきてる!」
ランチョンが最初に言ってたっけ、魔法を使う種類がいるって。
残りの青は水、赤は炎だろう。
……ところで、俺の『魔力武装』は魔法への耐性はどんなもんだろうか。
「わぁ、竜巻にマントが引っかかってしまったぞぉっ!」
「『凜音様!?』」
以前ミノタウロスの攻撃を受け止めた時フランに泣かれてしまったからね。事故を装うしかない。
「『どうしてですか!? 何でわざわざ敵の魔法にぶつかりに行くんですか!? もぉーっ! ばかぁーーーっ!!!』」
「ごめんて」
バレてた上にAIにバカと言われたん……。
しかし魔法への耐性も十分であることが確認できた。彼の竜巻も、そよ風ほどにも感じない。
「それじゃあ緑のキミから……とりゃぁっ!」
「ギギッ……」
アイアンゴーレムの左腕剣で緑ゴーレムを頭から叩き潰す。感触的にはアイアンゴーレムと同程度だ。
「『もう十分ですペン! こいつらはエレメンタルゴーレム、アイアンゴーレムの亜種と言われており、色に対応した属性の魔法を使うペン! 同時にその属性への耐性も高いんですペン! だから魔法を受けないでぇーーー!』」
「……そっか」
それなら、もう彼らに用はない。
ランチョンにバカバカ言われながら一通り魔法を受けた後、今までと同じようにゴーレムを叩き潰して戦闘が終わった。
「『さすが凜音様ですわペン!』」
「ありがとう」
さっきまでとの温度差がひどいランチョン。情緒を安定させてくれ。
「さて……報酬の宝箱は、と……」
宝箱。まずは……中身の確認だ。
「……これ、は……」
「『鉄塊ですね――ペン! これは宝条家の家宝にふさわしいですわペン!』」
鉄のインゴット。糞みたいな報酬なんだが?
「宝石は……?」
「『……今回は当たらなかったようですわペン。しかしお嬢様は宝石を見つけることより、早く凜音様に帰ってきて欲しいみたいですわペン! イチャイチャちゅっちゅしたいらしいですわペン!』」
フランのために宝石を見つける、という第1の目的は失敗に終わってしまった。
しかし……実はもう1つ大事な目的がある。それは――。
「確か、ランチョンを通して画像がフランたちに転送されているって言ってたよね?」
「『え? はい――ペン。正しくは動画でですがペン』」
「それ、本当に信頼してる人だけにしか見せないようにすることできる? できればベアトリーチェさんにも、今からやることは見せたくないんだけど」
「『……理由をお聞きしても……?』」
なぜこんな事を言うか。その理由は……転生する時の女神との会話にある。
『あなたが転生する世界は……直に滅びます。彼の世界にはダンジョンが用意されているのですが……攻略及び破壊が想定された速度を大幅に下回っており、ダンジョンの成長と増加に追いつかず……要はダンジョンに飲み込まれるのです』
男女比が著しく偏った世界への転生を喜んだのも束の間、そんなことを言われた俺は……絶望しかけたと同時、なんとしても世界の滅亡を防ぐと誓った。せっかく女の子と仲良くなっても滅びるなんてたまったもんじゃない。
しかし調べても調べてもダンジョンを破壊する方法がわからなかった。
だがある時、探索者になる際に求められる遵守事項に気になる文面を見つけた。
探索者規約第3条、『宝箱を破壊してはならない。以後出現しなくなるため』。
同規約第4条、『万が一ダンジョンの核となる存在を見つけたら絶対に触れてはならない。速やかつ内密に職員に知らせること』。
その時、なんとなくだが、正解を引いたと直感した。
「……今から、宝箱を破壊する」




