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第13話 敵の体の一部を使って同族を屠る


 その後数体の石でできたゴーレムを粉砕し、山を登り切ると二層への入り口が見えた。

 まるで炭鉱への入口のような様相だ。


「『二層は鉄製の、アイアンゴーレムと呼ばれるものが出てくることがありますのでお気をつけくださいペン! さすがに素手では厳しいと思いますペン!』」

「わかった」

 1度素手で試してみよう。


 なんてことをこっそり思いながら入口を進み、二層を進む。

 中はやはり炭鉱のような見た目となっており、ところどころに洞窟の壁を補強するような柱や壁がある。まるで人が作ったものに見えるが……ダンジョンとは、一体誰がどういう目的で作ったのだろうか。


「単調な構造だな。通路も狭いし」


 その後二層でも何体かストーンゴーレムを倒したが、この狭い通路では巨体というだけで厄介(やっかい)ではある。逃げ道はないし、倒したとしても残骸(ざんがい)が道を(ふさ)ぐ。粉砕してるからそこはいいんだけど。


「『またまたストーンゴーレムですわ――ペン! お次は……『漆黒堕天使暗黒昇竜破』ですわペン!』」


 先程のパンチの名前がダサかったということで、ランチョンが案を出し、しっくりくる名前にしようと言うことで……ただのパンチなんだけど。

 今まで出た候補は、『ゆめふわラブリィぱんち☆』、『フランインパクト』。正直しっくりこない。


「いくぞ……『漆黒堕天使暗黒昇竜破!』 う~ん、長い!」

 こんなふざけたパンチ名で粉砕されるゴーレム君も不憫(ふびん)である。


「『やはりシンプルなものがいいですわペン。お次は『フランブレイカー』にしましょうペン』」

「それだと“フランをブレイカー(破壊する者)”になっちゃうよ」

「はい、ブレイクしてくださいませ♡」

 大丈夫か、このAI。


「む、もう1体来たみたいだ」

「『おや、あれはアイアンゴーレムですわペン! 体が鉄でできていますので、より強力ですわペン!』」

 ようやく出たか。石の相手ばかりで飽きていたところ!


「ギギ……ギギギ……」

 まるで()びた金属を(こす)り合わせてるような音を出しながらゴーレムが動き出す。確かにより頑丈そうではあるが……こいつはストーンゴーレムよりも更に遅い。


「隙がでかすぎるんだよ! とりあえず……フランブレイカー――硬ぁぁっ!?」

「『はぁん♡ じゃなくて凛音様ぁ~!? 素手ではいけないといいましたのにぃぃっ!?』」


 コアを中心にヒビが入り、次第に崩れていくアイアンゴーレムだが、粉砕とまではいかない。左腕なんか丸ごと残っている。

 討伐自体は完了したため、痛む右手を振りながら『空間収納』に残骸を入れていく。


「……これ、そのまま使うか」

 左腕を拾い、魔力を通してみるとフランバスターには劣るが、そこそこの魔力は通る。とりあえずの武器としては及第点(きゅうだいてん)だ。さすがに手が痛い。




 その後も二層、三層とストーンやアイアンを倒しながら進む。問題といえばアイアンの体が邪魔なので収納しなきゃいけないことと、肝心の宝石がでないこと。


「なかなか宝石が出ないな……」

 敵を倒すと(まれ)に落とすらしい、いわゆるドロップ品。今回はそれが目当てなのだけど、全くでない。

 

「『大きめの宝石ともなると、ここではボス部屋しかでないようですわペン。それ故に探索者も少ないのですわペン。しかし、お嬢様は宝石などくださらなくてもそのお気持ちだけで嬉しいと申してますわペン!』」

「なるほどね……」

 ボス部屋までめんどくさいし、次は別のダンジョンを回ろうか……なんて考えていたところ――。


「『……』」

「……ん? 何か妙な魔力の流れを感じた気が……」

 そう思うと同時に、前方から2体のストーンゴーレムが現れた。更に――!


「後ろからもアイアンゴーレム!? そんなバカな!」

 ここまでほぼ1本道だった。敵を見落とす訳ないのだが。


「『ダンジョントラップですわペン。ある地点を通過すると、背後にモンスターが出現するのですペン』」

「ほう……」

 とはいえ敵は動きも鈍いゴーレム3体。落ちついて対処すれば問題ない。




「ふぅ、討伐完了! 少し焦ったわ~」

「……凛音様、申し訳ございません。実は罠の存在を知りながら黙っておりました。この罰はいかようにもお受けいたします」

 神妙な声色でランチョンが謝ってくる。語尾を忘れるほどのことなのだろう。


「ん~、何か理由があるんだろう?」

「『はい。ダンジョンの罠を体感して頂きたく思いまして。ランチョンは情報などに基づいてサポートできますが、完全ではありません。ダンジョン探索は常に危険と隣り合わせだということを知ってほしかったのです』」

 確かに、今回はゴーレムだったが、より強力なモンスターだったら危なかったかも知れない。


「ありがとう! さすが探索サポートドローン、そんなところまで考えてくれるとは……試作機と聞いていたけど、既に最高だよ!」

「――イッッッ♡ ……んァ~♡」

 たまに挙動がおかしいけども。


「『……お褒めの言葉、ありがとうございますペン! これからも凛音様のサポート頑張りますペン! 早速ですが、このトラップがあったということはボス部屋が近いですペン!』」

「お!」

 遂にボスか! 今までは鉄屑(てつくず)しか拾えなかったが、ボスには期待しているぞ!


「『ボスの情報ですが――』」

「待って! もし即死級の何かがなければ事前情報なしで挑みたい。いつかはランチョンのデータにない敵と戦うこともあるだろうしさ」

 ダンジョン探索と言えば、未知の冒険だ。普段から頼り切りではなく、自分で対応する力を身につけていく必要があるだろう。


「『……わかりましたペン。ご武運を!』」


 そして扉を開けるとそこには、4体のゴーレム――今までのくすんだアイアンゴーレムとは異なり、赤、青、緑、茶色のゴーレムがいた。

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