ローア機械学園
ゴウン...ゴウン...
機械の音が鳴り響く。
これがこの町の日常。
鉄とガスと灰の匂いが充満するこの町で、俺は機械技師として名をはせt――――
「おいコラバカ弟子!!!いつまで寝てんだ!!!」
「うげ...もうそんな時間かよ...せっかくいい夢見てたのに...」
まぁ、現実はそう甘くないね。
名をはせてないし、何ならまだ機械技師未満だ。
「おはようございま~す...アルフ師匠、すんません寝坊して」
「全くだ、さっさと準備しな。開店するよ」
ここは【機械国家:スチーム・バーグ】
3階目28番通りにあるのが『アジリス』という店で、俺はそこでアルフ・バンベルクの弟子として働いてる。
いずれこの町どころか世界に名をとどろかす俺の名は!『アルk
「アルキラ!お前に客だよ!」
...うぬぼれようとすると師匠に毎回さえぎられるんだよなぁ。
そう、俺はアルキラ。
この町一番の機械技師の弟子だ!
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「んで...俺に用ってなんです?階長殿」
客というのはこの国のそこそこなお偉いさんである『Ⅲ階長:ヲルド・ルーンベル』である。
この国は大きな山を魔改造して建国されている。
そのため、町の構造が階段状になっており、それぞれの階層で長が決められている。
7階層が一番身分が低く0階層が一番身分が高い。
その3階層の長がこのヲルドさんである。
「突然訪ねてきてすまないね。それも私のような貴族が来たら身構えるだろうが、力を抜いてもらって構わない。今日は君にお願いしに来たのだからね」
「お願い?なんですそりゃ」
「実はね、君のような若く優秀な技師を集め、学園を作ろうとしているのだよ。君にはそこの一期生として入学してほしい」
「学園...生憎ですが階長殿、俺にはもう優秀すぎる師匠がいるので学園に入る必要性があんまり見つからないんですが...」
そう俺にはもうこの町一番の師匠がいるのである。
学校に行って得があるとは思えない。
しいて言うなら交流の機会があることだろうか。
「その師匠も、学園に来てほしいのだよ。生徒ではなく、教師としてね」
「んぇ?!私も?!」
「師匠油断しすぎでしょ。変な声でてrいってぇ!!!」
げんこつしてきやがった!暴力反対!
「バンベルク技師、あなたはこの国で最も優秀な技師だ。それは紛れもない事実。だからこそ、一度学園へ来てほしい。学園へと招待した教師はこの国のみならず外国の優秀な技師を集めている。新たな刺激とともに成長できることを保証しよう」
「うーん...とても魅力的ではありますが、この店を捨てることはできませんし...」
「その点については安心してほしい。この建物は国で保護し、店自体は学園内で続けることができるようになる。設備も店のものを移動させるもよし、こちらで新しく準備するもよしだからね」
「それなら、私は構いません」
「師匠が行くなら俺も行く」
「あ、一つ質問なのですが、学園はどちらに建設されるのですか?場所によっては客層が変わるので売り上げに響く懸念があるのですが...」
「学園は2階層40番通りから50番通りを使い建設される予定だね。3階層に最も近いから客層が替わる心配はあまりないと思うよ」
「なるほど、であればもう何の心配もいりませんね。入学は何時からで?」
「4月からだね。建設が1月には終わるから3月までに支度をして学園へきておくれ。施設の移動もそのくらいの時期に案内するよ」
「わかりました」
「じゃあ用も済んだし、私はお暇するよ。あ、そうそう、学園の名前教えてなかったね。学園の名前は...
【ローア機械学園】
そうして師匠と俺は学園への入学が決まった。
施設の移動などに伴い、お客さんへの告知や引っ越し準備などで、ここ数年で一番忙しい数か月だった。
月日は経ち、入学の日。
俺は身支度を済ませ、学園へと向かった。
同じ制服を着た人たちがいる。
体格が大きい人、小さい人。
皮膚の色や、髪、目の色が違う人。
角が生えてたり、獣の特徴を持った人。
様々な種族がこの学園に集まっていることを自覚する。
「あの人たちと学べるのか...これは、なかなかワクワクするぞ...!」
俺は胸を躍らせ、学園へと向かった。
初投稿のPPPです!
気まぐれに書いていきますのでよろしくお願いします!