414.誤解じゃない
真理が本気を出せば、秘匿されている情報であっても、スキル【全知全能】で検索可能なことがわかった。
場所は、煌びやかなシャンデリアが輝くパーティ会場。
着飾った貴族たちが談笑し、グラスを合わせる音が軽やかに響いている。
わたしはそんな華やかな中心から離れ、壁際の目立たない位置に陣取っていた。
わたしの目の前には、空中に青白く発光する半透明のモニターが表示されている。
そこに映る真理のアバターが、ふあぁ~と大きなあくびをしていた。
『はぁ……』
「なに?」
『テンション……あがらないわぁ~』
真理がモニターの中でゴロゴロと寝転がりながら、やる気のない声を出す。
「おい……」
この子、ほんと、力にムラがありすぎるのよね……。
『いや、テンション上げてくださいよ。そしたら、頑張って仕事しますから』
「こいつ……」
『ほらほら、真理たんをやる気にさせてみてくださいよー。そうしないと、いつまで経ってもワタクシは、本気モードにならんですよー?』
チラチラとこちらを見てくる。
……このポンコツは、ピンチになれば凄さを発揮するタイプだ。
逆に言えば、この子がその「ポン」を遺憾なく発揮しているということは……。
「うん、じゃあいいや。やんなくて」
『な!? なんですか……それ……!』
ガバッ! と真理が起き上がる。
「いやほら、あんたが本気にならないってことは、状況はクリアってことでしょ?」
安全が保証されているってわけだ。
「じゃ、いいかなって」
『み、ミオケンボの場所を知らなくていいんですかっ?』
「うん。仮にミオケンボがヤバいことをやろうとしてんだったら、真理が気付いてわたしに教えるでしょ?」
『そりゃね』
「じゃあ、まだヤバいことはしようとしてない、あるいは、準備が整ってないんでしょ? なら放置でいいでしょ」
『わ、ワタクシの出番は……? 読者が期待してる、本気出したワタクシの出番は?!』
「ないです」
わたしは即答する。
てゆーか、この子が本気出してない時点で、多分それほど緊急事態じゃあないと思うしね。
『う、うぅううう! うぃーんうぃーん! ヤバいです! ヤバい事態が進行中ですぅうう! こりゃあほんとにやばいな! やばいよやばいよー!』
真理がモニターの中で、わざとらしく頭を抱えて走り回っている。棒読みだ。
「はいはい。ご飯食べにいこー。ちょっと小腹すいたし」
わたしは真理を無視して、料理が並ぶ長テーブルへと歩き出した。
香ばしいローストビーフの香り、甘いフルーツの芳香が鼻をくすぐる。
湯気を立てるパスタや、冷えたオードブルがわたしを待っているのだ。
『あー! マスター待って! このままじゃ読者が、【え、真理ってもしかして使えない女……?】って誤解しちゃうじゃあないですかー!』
モニターごと、真理が必死に追いかけてくる。
大丈夫、誤解じゃあないから。
【おしらせ】
※1/9(金)
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