412.はよやれ
会場となる大広間は、煌びやかなシャンデリアの光で満たされていた。
磨き上げられた大理石の床には、着飾った貴族たちの影が落ちる。
テーブルの上には、この世界では珍しい食材を使った料理が所狭しと並べられ、食欲をそそる香ばしい匂いが漂っている。
グラスが触れ合う軽やかな音と、優雅な弦楽器の生演奏。
パーティは、まさにつつがなく進行していた。
「このような素晴らしい料理の数々を、簡単に用意してしまわれるなんて……」
「今後の王こそ、我ら国民を、豊かにしてくれるに違いない……!」
参加している貴族達の表情は、一様に明るい。
今まで、パーティってなんのためにやるのか、いまいちわからなかった。
ただの金持ちの道楽だと思っていたけれど。
これを見て、ちょっと理解した。
つまり、国王の力を示し、派閥をまとめ上げるための場でもあるわけね。
『!? そこに気付くとは……マスター、天災ですか? おっとぉ、ここの天災は、天才とかけたゴッド・ジョークですよ!』
「…………」
脳内に響くハイテンションな声。相棒の真理だ。
『あれあれ、どうしたんですか、マスター? もしかして最近スミコ→リオン→ソロキャンおじと書きまくってるせいで、自分のキャラがわからなくなってきた感じですか?』
誰だよスミコ、リオンって。そこが人名なのはわかるけど、ソロキャンおじってなんだよ。
『マスターはナガノミカ。山の神にして、元社畜OL。得意技は丸投げと全知全能検索ですよ。思い出しましたか?』
「真理さー、どう思う?」
『どうって? 一日に何作品も更新することについて? 読者が追うの大変そうだなってこと?』
「ちがうっての。そろそろマジの話ししたいんだけど」
まあ、この子がふざけてるってことは、まだシリアス展開にはならないだろうけどさ。
『で、なんですか?』
「あまりに順調に物事が進みすぎてない?」
もっと邪魔が入るもんかと思ってたんだけど。
『マスターが事前に、不穏分子を取り除いたからじゃあないですか』
「そらそーだけどさ……」
それでも、もっと邪魔が入ってくるもんだと思った。
魔族ってほら、しつこいからさ。ゴキブリ並みに。
『まあ、ミオケンボ本人が姿を見せないのは気になりますね』
「全知全能で検索できないの?」
『隠蔽してるようですから、無理です』
「つかえねー」
全知全能って、全知全能じゃあないの?
なんか毎回ジャミングされるんだけど。ポンコツ検索エンジンかよ。
『使えない? 今、この全知全能を、馬鹿にしましたか?』
「はい」
『肯定しやがった……! このー! ワタクシを、ただの面白いだけの女だと思うなよ-!』
「違ったの!?」
面白いだけが取り柄の女だとばかり思ってた(あと緊急時に役に立つ)。
『ワタクシが本気出しちゃったら、やばいよやばいよっ?』
「出●さんかよ。……本気?」
『本気出せば、隠蔽スキルをぶち破って、敵の情報を検索できます!』
「ほ、ほぉ~……」
そ、そっかぁ~。
頑張ればできるんだぁ、へえー。
私はこめかみに青筋を浮かべ、空間を鷲掴みにする勢いで拳を握りしめた。
「は や く や れ や ぁ……!」
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