41．玄武に名付けて上位神となる
露天風呂に浸かる私、駄女神、ふぶき……そして四神玄武の赤ちゃん。
『はぁ～……とてもきもちいいわ。この温泉、最高ね！』
ぷかぷか浮いてる玄武の赤ちゃん。
他の四神とちがって、とても流ちょうにしゃべる。
「で、君は何者？」
『そうだわ、自己紹介がまだだったわね』
玄武ちゃんが、こっちを見ていう。
『初めまして。わたしは四神が玄武の娘、黒亀よ』
～～～～～～
黒亀
【種族】玄武
【レベル】１５００
～～～～～～
全知全能で玄武ちゃんのステータスを見ると、最新版に更新されていた。
「名前持ち？」
『ええ。親から名前を貰ってたの』
玄武ちゃん曰く、四神たちの中で、子どもに名前を付けられるのは、玄武だけらしい。
付ける相手が強い魔物であればあるほど、名付けに必要な魔力量は多くなる。
四神となれば相当魔力を持ってかれるんだそうだ。
『母・玄武は四神のなかで最も魔力量が多いの』
名前持ちだから最初からレベルが高いし、しゃべれるってわけだ。
「ステータスを隠蔽も君が？」
『ええ』
隠蔽していたのは、悪いやつにさらわれて、悪用されないようにということらしい。
他の赤ん坊たち同様、四神（神獣）にも刷り込みは存在するんだとか。
『本来だったら何の卵なのかも情報が伏せられてたはずだったのだけど、モリガンちゃんが神獣の卵だとばらしちゃったからプロテクトが緩んでたのね』
「モリガンぇ……」
……というか、モリガンに対しても【ちゃん】付けなのか。
「もしかして、けっこー年取ってる君？」
『あらあら、ミカちゃん。淑女に年を尋ねるなんて、失礼よ～』
「いや君赤ちゃんでしょ、生まれたばかりなんだし」
すると黒亀ちゃんはちょっと沈んだ声で言う。
『わたし、卵の中で、気が遠くなるくらいの時間過ごしてたの』
「ほぅ……？ どういうこと？」
『玄武は他の四神と違って、一番進化の歩みが遅いの』
「ふぅん……レベルアップに必要な魔力量が多いんだ」
『ええ。だから、母も最初から名前を付けたのね。他の子たちと比べて、進化がおくれるのがわかってたから』
私の首に巻き付いてる青嵐のステータスを、改めて閲覧する。
～～～～～～
青嵐
【種族】青龍（幼体）
【レベル】１２００
～～～～～～
生まれたばかりの時９００だったのに、名前持ちになっただけで、３００もレベルが増えていた。
黒亀ちゃんは最初のレベルは高いものの、そこからの成長が遅いらしい。
『青嵐ちゃんにも、多分あっという間に抜かされちゃうね』
ちょっと、寂しそうにしてる黒亀ちゃん。
四神のなかで、自分だけ成長が遅いのは、なんだか、可哀想。
「なんとかできないものかな」
困ったときは全知全能。
ふむふむ……うん。
「よし、黒亀ちゃん。君の名前を、上書きさせて欲しい」
『名前の上書き……？』
すると隣で聞いていたふぶきが尋ねる。
「名前を上書きなんて、できるのかの？」
「できるよ。《眷属になろう》を使えばね」
黒亀ちゃんの写真を取りこみ、眷属になろうを立ち上げる。
名前を入力する画面になる。
そこには【黒亀】と書いてあったが、削除ボタンで消せるようになってた。
「なにか意味があるのかの？」
「うん。ほら、眷属には役職もつけられるでしょう？」
ふぶきだったらペットシッターとか。
「役職を付けると、それに付随してスキルを得られる。黒亀ちゃんに私が新しい名前を付けることで、進化速度上昇スキルを付ける」
そうすれば、他の子たちと同じくらいの、進化速度になれるって寸法だ。
「しかし主よ。魔物の名付け行為には、かなりの魔力量が必要じゃぞ？ 相手が四神、しかも今日は2匹目じゃ。かなり魔力を持っていかれ、下手すれば死ぬのでは……？」
「そこも、問題ない。全知全能で大丈夫って保証もらってるし」
さて、と。
私は黒亀ちゃんを見る。
「ということで、名前をこれから上書きするね」
『……できれば……名前、可愛くして欲しいの』
「可愛く？」
『ええ。母はどうやら、男の子が生まれてくると思っていたらしくて、【黒亀】と付けたの』
なるほど……。黒亀ちゃんはメスだしね。
「わかった。じゃあ、ついでに名前を可愛くしてあげる」
黒亀……。き……。可愛くってことなら、姫とか？
くろき……。名字みたい。よし。
「じゃあ、黒姫、なんてどう？」
『黒姫！ いい名前！ とっても可愛いわ！』
ということで、眷属になろうで、名前を書き換える。
～～～～～～
四神の最高位・黒姫
【種族】玄武（幼体）
【レベル】２０００
～～～～～～
あれ……？ 『成長の早い・黒姫ちゃん』にしたのに、役職が変化した……？
それに、レベルも２０００……？
「フェルマァと同じレベルでは無いか！」
名前を付けたことで成獣のフェンリルと同格に進化したということみたい。
１５００から一気に２０００か。
「これなら置いてかれることも……って、黒姫？」
瞬間、黒姫の体が光り輝きだした。
小さな亀から、みるみるうちに大きくなっていく。
そして……私の目の前には、おかっぱ頭の、人間の幼女がいた。
「人化スキルじゃ！」
魔物が人に変化するスキルのことだ。
あと、予定通り成長速度上昇のスキルもついてた。
「良かったね、黒姫。これで君は、皆と同じ速度で成長していけるよ」
「…………ええ、ありがとう。ミカちゃん」
ぽたぽた……と黒姫の目から涙がこぼれる。
でも、笑っていた。うん、良かった良かった。
改めて、人になった黒姫を見やる。
外見年齢は5歳くらいだろうか。黒曜石のようにつやのある黒髪。
肌は真っ白だし、目もぱっちり二重。
ぴたっ、と黒姫が私の腕にくっつく。
「これからよろしくねっ」
「きゅい～～～～～～！」
首に巻き付いていた青嵐が、しゃーっ、と黒姫を威嚇していた。
「あらあら、別にミカちゃんは貴女一人のものじゃあないでしょう、青嵐？」
「しゃー！」
どうやらケンカしてるようだ。
仲良くしてよー。
「ハッ……！」
そのとき、湯船の中で眠っていた駄女神が、目を覚ます。
「ぱんぱかぱーん！」
「……いきなりどうしたの？」
「美香神さま、おめでとうございまーーーーーす！ 美香神さまの神格が、【２．０】になりましたー！」
駄女神がクラッカーを鳴らす（どっから取り出した……）。
「これで美香神さまは、上位神扱いとなります！」
「上位神……モリガンと同格ってこと？」
「イエス！ これは快挙ですよっ！ 神格って中々あがらないんですからっ」
「ふーん……」
「ふーんて。もっと喜びましょうよ。すごいことなんすからっ！」
と言われても、別にね。
「なんか神格が上がっていいことってあるの？」
「神としての力が強化されるっす！ 美香神さまの場合は……むむむ」
駄女神が目を閉じる。
「なにしてるの？」
「天界の情報部と連絡をとってるっす。わかりました！ ミカさまはアイテムボックススキルが強化されたようっすよ！」
アイテムボックスの強化？
私は自分のステータスを閲覧する。
スキルの欄に、アイテムボックスがあったはずなのだが、それがこう変わっていた。
～～～～～～
■
→強化されたアイテムボックス。仕舞ったものだけでなく、自分の所有物なら、仕舞っていないものも取り寄せ可能
～～～～～～
「自分の所有物なら……ってことは、もしかして……」
私は気になったので、強化アイテムボックス、もとい、■を使ってみることにする。
「■、オープン。おいで、眷属の皆」
目の前に小さな黒い箱が出現する。
そこから……。
「ばう！」「わうー！」「…………」
「みー！」『ぴゅい！ ねえちゃ？』
「ミカさまー！」
フェンリル親子＆朱羽白猫が、黒い箱のなかからでてきたのだ。
「なるほど、眷属も神の所有物。それゆえ、こうして召還できるようになったのじゃな」
温泉の中に一気にもふもふたちが現れる。
「ばう？」「わう？」
ふぇる太たちが青嵐と、そして隣に座ってる黒姫に気づく。
「新しい仲間の、青嵐と黒姫。みんな、仲良くしてあげてちょうだい」
「ばうー！」「わうー！」
人なつっこいふぇる太たちがバシャバシャと近づいてきて、二人をベロベロとなめる。
「きゅー！」
「あらあら、よろしくね～♡」
こうして四神を従えた私は、どうやら上位神になったようだった。
ま、タダで便利な■を手に入れたんだし、いっか。
【★☆大切なお願いがあります☆★】
少しでも、
「面白そう！」
「続きが気になる！」
「パワーアップした！」
と思っていただけましたら、
広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】から、
ポイントを入れてくださると嬉しいです！
★の数は皆さんの判断ですが、
★５をつけてもらえるとモチベがめちゃくちゃあがって、
最高の応援になります！
なにとぞ、ご協力お願いします！
