386.名誉毀損
……トゥアハーデに脳をいじられていたことが、さっき判明した。
こわ……。
もしかして、私が日を追うごとにポンコツになってるんは、彼女の手術のせい……?
『それはない』
「あんたが言っても説得力がちょっと……」
『むっ! マスター! それ……ノンデリですよ! こちとら全知全能の化身! なにゆえ全知全能の化身たるワタクシの言葉を信じられないのですかっ!』
うーーーーーーん……。
正直、真理のせいで『全知全能』って言葉の価値が暴落してるんだよなぁ……。
ま、まあいいか! 細かいことは気にしない!
今は、この子たちにパソコンの使い方をレクチャーするのが先決だ。
『無視したっ! このマスター、全知全能の言葉を無視しましたっ!』
「はいはい、無視してないから」
ほんっと、かまってちゃんなんだから……。一体誰に似たんだか。やれやれだ。
「んじゃ、パソコン使っていくよー」
「「「はーい」」」
私は文官たちの前にノートパソコンを一台ずつ置く。
キーボードの操作の仕方、マウスの動かし方を丁寧にレクチャーしていく。
彼女たちは最初こそ戸惑っていたものの、すぐにコツを掴んでいった。
カタカタ、カチカチ……。
すぐに、心地よいタイピング音が部屋に響き始める。
「うん、良い感じだね」
やっぱり若いと物覚えがいいわ。
「じゃあ、次はインターネットに接続してみようか」
「あの……ミカ神さま。いんたーねっと、とは……?」
「うーん、そうだなぁ。何でも書いてある、情報の海みたいな場所……かな」
異世界人に説明するのって、むずいな。
「このパソコンを使えば、私のスキル全知全能が使えるようになるの。気になったことは気軽に、パソコンを通して調べてみてちょうだい」
「「「…………」」」
途端に、みんなが不安そうな顔で固まった。
あれ……? なんで?
ああ……そうか。
全知全能の化身が、真理だからか……。
「大丈夫、君らが使う全知全能には自我が芽生えたりしないから」
私の言葉に、ほっ……と全員が安堵の息を漏らした。
「良かったです。なんか急に、頼んでもいない変なことを調べ始めるんじゃないかと……」
「余計な詮索を勝手にしだすんじゃないかと……」
「最終的に、とんでもないやらかしをするんじゃないかと……」
文官ちゃんたち、真理の悪行をしっかり覚えているらしい……。
『ちょっ!? 名誉毀損! これって名誉毀損ですよね!? 全知全能への、ひいてはワタクシへの深刻な風評被害ですよ!? マスター、こいつら国外追放しちゃいましょうよ!』
「はーい、じゃあ次はメールのやり方を覚えましょうねー」
「「「はーい」」」
『もっと話聞いてぇ……! ちゃんと食いついてぇえええええ!』




