29.神器で眷属とお家パワーUP
家にあった伝説の武器を加工して、眷属たちに持たせることにした。
庭先には、大量の小さな剣が並んでいる。
サツマ君が得意げに腕を組んでいた。
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進化聖剣エクスカリバー(小)
→エクスカリバーを改良したもの。威力は本物と同様。
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全知全能で性能を検索したところ、うん、本物のエクスカリバーと同じものらしい。
「しかしよくぞこんな小さなものを作れたの……」
「元々あったエクスカリバーを複製して、超錬成を使って小さく加工させたの」
モリガンから貰った神鎚ミョルニルのスキルを使えば、伝説の武器の量産・チューニングなんてお手のものである。
「盾も量産させたわ」
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アイアスの盾(SSS)
→あらゆる攻撃を無効化する盾。
【スキル】
・絶対防御
・防御力超向上
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「伝説の盾に剣を、こんな大量に量産できるとはの……」
ふぶきが呆然とつぶやく。
「ま、手元に本物があったからね」
伝説の武器をゼロから作るのは、難しかったろう。
全知全能で作り方を検索できたとはいえ、素材が必要だったし。
「で、これらを新しい眷属に装備させます。出ておいで」
ざっざっざ、と裏庭から眷属達がやってくる。
先頭に立っているのは、タマネギだ。
「【兵隊長 タマネギくん】と名付けてみたの」
タマネギ君が敬礼のポーズを取る。
後ろのミニタマネギたちもまた、びしっ、とポーズを取る。
サツマ君の作った剣と盾を装備させる。
「よし、じゃあ、タマネギくん。森へ狩りにいきましょう」
「…………」こっくん!
ざっざっざ、とタマネギくんたちが森へと進んでいく。
「ふぶき、私フェルマァと様子見てくるから、子フェンリルちゃんたちの面倒見ててね」
フェルマァ(フェンリル姿)とともに、ふぶき達の元を離れる。
フェルマァは私のそばにぴったりと寄り添っている。
「ちょ、歩きにくいんだけど……」
『何かあったときすぐに対応できるように! ミカさまにぴったりくっついてるのです!』
近衛となったフェルマァは私を敵から守ると息巻いてるのだが……。
私のレベルは∞なのだ。
正直、並の魔物で私を傷つけることはできないと思う。
まあ、でも守ってくれてるフェルマァの思いを踏みにじるわけにはいかないので、何も言わないけども。
『む! 魔物の気配がします』
フェルマァはレベルアップして魔力探知というスキルを獲得した。
周囲の魔物の魔力を調べ、位置を把握するスキルである。
フェルマァとともに魔物の気配がする方へと向かう。
「あれは……蛇?」
デカい蛇が森の中にいた。
全知全能で調べてみる。
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毒大蛇(S)
【レベル】500
【スキル】
溶解毒
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・溶解毒(S)
→Sランク以下の物を溶かす。
「レベル500て……」
私と出会う前の、フェルマァのレベルが確か450だった。
つまり、あのデカい蛇はフェンリルと同格の存在ってこと?
『あれは北の魔蛇です』
「まじゃ? なにそれ?」
『この山の北側をナワバリとしていた名前持ち《ネームド》モンスターです』
なるほど、北の魔蛇、が名前になってる訳だ。
初戦闘が名前持ち《ネームド》か。まあ大丈夫かな。
ダメそうならフェルマァを出動させよう。
「…………」びしっ!
タマネギ兵団長がエクスカリバーを、魔蛇に向ける。
『ジュララララ! おいおい、なんだこのちっこいやつらはぁ?』
魔蛇はしゃべれるようだ。
考えてみれば、フェンリルであるフェルマァもしゃべれていた。
同格(元だけど)の存在である魔蛇も、しゃべれておかしくはないか。
タマネギ兵団長が前に出る。
『倒しにきたと? この、北の魔蛇を? そんな小さな体で本気で倒せると思ってるのか?』
魔蛇は口を大きく開くと……。
『死ね! 【溶解毒】!』
どばっ! と口から毒の塊を吐き出す。
タマネギ兵団長はもろに毒を食らっていた。
毒が地面を溶かす。
煙の向こうには誰も居ない、と思っていたのだろう。
『なっ?! ば、馬鹿な! 無傷だと!?』
魔蛇が驚くなか、タマネギ兵団は誰一人かけることなく、立っていた。
「…………」びしー!
「「「「…………」」」」おー!
タマネギ兵団長が合図すると、子タマネギ達が魔蛇に襲いかかる。
『わ、こら! やめろ!』
魔蛇のぶっとい体を、タマネギ兵団長がすっぱーん! とぶった切った。
あ、良かった。問題なさそう。
『馬鹿な!? わがはいの鱗は神威鉄と同等の堅さがあるのだぞ!? そんなちんけな剣でキレるはずがないのに!』
「…………」ずびしっ!
『偉大なる女神さまの作られた剣だ、だとぉ!?』
タマネギ達が一斉に巨大蛇にとびかかり、体を千切りにしていく。
『ぐわあああああああああああああ!』
魔蛇はバラバラとなって動かなくなった。
タマネギくんたちは、お互いにハイタッチしていた。
大量のタマネギの眷属達が、ハイタッチしたり、ダンスを踊ったりしてる。微笑ましい。
「レベル500を倒しちゃった」
『当然です! 至高の神たるミカさまから力を貰った眷属なのですから!』
偉大だの至高だのと、変な枕詞を付けないで欲しい。恥ずかしいから……。
「これなら、狩りを彼らに任せて問題なさそうね。帰りましょ」
『はい!』
タマネギ兵団たちは森の奥へと散開していった。
ややあって。
私とフェルマァはログハウスへと戻ってきたのだけど……。
「なんか……ログハウス一回りでっかくなってない?」
テントの前ではふぶきが、子フェンリルたちとともに立っている。
私が戻ると、子フェンリルたちが駆け寄ってくる。
私の周りをくるくる回っていた。完全に挙動が犬である。
「ふぶき、これどうしたの? 家でっかくなってるんだけど」
「そこのイモ眷属が工事しておったぞ」
サツマ君とだんしゃくんが、私にびしっと敬礼してきた。
モリガンを泊めた時に家が手狭だったとぼやいたことがある。
それを聞いて、ログハウスの増築を行ってくれていたらしい。
神鎚ミョルニルがあれば、木材の加工が前より楽に、スピーディにできる。
「じゃがいもが木を切って、サツマイモが加工、残りの野菜どもが組み立てを行っておったわ」
散歩行って戻ってくるまでの間に、その全ての行程を終わらせてるとは……。
恐るべし、神器パワー。
「ちょっと中見てみようか」
私達は新ログハウスへと入る。
客が泊まるための寝室が2部屋増えていた。
あとリビングが拡大してた。
あと内風呂にジャグジー機能が追加されてた。
湯船もおっきくなってて、3人くらいなら入れそうだ。
「すごい……おっきいお風呂……しかもジャグジーまで付けちゃうなんて」
「なんじゃい、ジャグジーって」
はて、とふぶきが首をかしげる。
「ちょっと入る? 歩いて汗かいちゃった」
「わたくしはふぇる太たちを押さえております」
ということで、私とふぶきの二人で新しくなった内風呂に入ることになった。
「ふぉおおおおおおおおおおおっ」
ふぶきが心地よさそうに叫ぶ。
「な、なんじゃぁ! 背中のとこから凄い勢いでお湯がでておる! そして……とてもいいところにあたるぅ~!」
ぺたん、とふぶきが耳を伏せる。
そうとう気持ちが良いのだろう。
腰、そして肩にちょうど良い感じの水流が当たる。
「あー……きもちいい……」
露天風呂はもちろん最高だ。
しかし内風呂だと天候関係なく、こうして風呂を楽しむことができる。入りたいときに入れるし。
それにジャグジー機能も付いたので、内風呂に入る楽しみが増えた。
「…………」すっ。
「お、トマト君。気が利くねー」
トマト君がKAmizonで買ったであろうシャンパンを開けてくれた。
ほてった体に冷たいシャンパンが染み渡る……。
しかも、ジャグジーで全身マッサージしてもらいながらとか。
「あー……贅沢」
「きもちいのじゃぁ~……。こんなの初めてぇ~……」
そして、お風呂から上がる。
もちろん眷属達が体を拭いてくれる。
「どうだった?」
「最高じゃった……何度も意識が飛びかけたのじゃ……」
ジャグジーはトマト君が構造を、全知全能で調べてくれて、それをサツマ君が実現してくれたようだ。
サツマ君、武器も作れるし、お風呂も改造できるし、まさに職人だ。
お風呂入ったら体が熱くなったので、ちょっと外に出て体を冷やそうとして……私は気づく。
「わ、テラスまでできてる!」
ログハウスの裏に、テラスが出来ていた。
テーブルと椅子がおいてあって、ここでくつろげるようになってる。
私達は椅子に腰掛け、うたた寝をしかけていた、そのときだった。
びきっ。びききっ。
ん……?
サコッシュを見る。……まただ。
神獣の卵、けっこーヒビは入ってる……。
びき、ぱき……。
「え?」
パッキィイイイイイイイイイイイイイイイイイン!
「ぴー!」
卵から、赤い羽毛の小さな鳥が生まれたのだ。
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(名前未設定)
【種族】朱雀(幼体)
【レベル】1
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