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254.真剣なキエリュウ



 私たちの前に現れた、キエリュウ一族の刺客。


「貴様が我が同胞を葬ったという、女か!」


 キエリュウさんが私をにらみつけてくる。

 正直キエリュウはめちゃくちゃ倒しまくってるので、どれのこと言ってるのかわからん……。


『異世界のではなく、現実の、こないだ倒したキエリュウのことじゃあないですか?』


 と真理えもん。ああ、なるほど……。そういえばそうか。


「我が名は【マジ・デ・キエリュウ】……!」

「どうせ覚えられないんだから、別に名乗らなくて良いのに」


 今まで出てきたキエリュウどもの名前、大体似通ってるから、覚えられないんだよねぇ。


「で、マジ・デ・キエリュウ……だっけ? 私に何のよう?」

「復讐に決まってるだろう……! おまえが葬り去ったのは、われの兄!」


 お兄ちゃんを倒しちゃったのか、ちょっと悪いことしちゃったかも……。


「の、同じクラスの生徒の父親の弟だ!」

「他人やん……」


 え、他人なのに、同じ名字なの……?


『日本でもそういうのあるでしょう?』


 確かに山田さんって名字で、しかし兄妹じゃあないなんてざらにあるけどさ……。


「そんな他人を倒して、復讐ってなにさ」

「他人であってもやつは魔族! 同胞にはちがいないのだ!」


 同胞を殺されて、お冠だと。


「復讐ってことは……私の強さはわかってんだよね?」


 殺されたって事がわかってるんだからさ。


「わかってるさ……! だが! 相手が強いことが、復讐しない理由にはならない……!」

『彼我の実力差もわからず突っ込んでくるのは普通にバカですね』


 ワイトもそう思うよ、天理さん……。


「やめといた方が良いよ。どうせ君勝てないし」

「フッ……!」


 ふ?


「ふははははは! 調子載るのも今のうちだ! いくぞ!」


 マジ・デ・キエリュウが突っ込んでくる。

 あー、無駄な攻撃……。


『! マスター、回避! 奴の攻撃を受けてはいけません!』


 真理の言葉を聞いて、私は回避を選択する。

『で、でたぁ~♡ おねえちゃんだぁ~♡』


 天理が歓声を上げる。

 真理がこんな感じになるってことは……。


「相手ってもしかしてヤバい力持ってる?」

『はい。全知全能インターネットが通じないので、確証はないのですが』


 全知全能インターネットが通じない……?


『はい。やつの能力を全知全能インターネットで検索しようとしました。そしたら、妨害を受けました。恐らく長野神の……というか、あがたから精神干渉を受けてるのだと思われます』


 真理が全知全能インターネットを駆使して得た情報を、教えてくれる。

 なるほど、そういえばあがたには他者をそそのかす力があるといっていた。


 つまり、今のキエリュウには全知全能インターネットが通じない……。


「良く攻撃したらやばいってわかったね」

『確証が会ったわけではありません。しかし、つねこといい、神の力が付与された相手は、厄介な敵が多かったので』


 なるほど、だから避けろと……。


『おねえちゃま……♡ しゅてき……♡』


 真面目モードの真理に、天理はすっかり骨抜きになっていた……。


『マスター、敵の情報が欲しいです』

「OK。じゃあ……魔殺呪文ビョウ・デ・キエリュウ、百連!!」


 私は貫通即死魔法を、100発、マジ・デ・キエリュウにたたき込む。

 ドガガガガガガガガガガッ……!


 ……だが、マジ・デ・キエリュウは、ピンピンしていた。


「ふははははは! 無駄だぁ……!」


 マジ・デ・キエリュウがこちらに突っ込んでくる。

 私は敵の攻撃を回避する。


「お返しだ! 魔殺呪文ビョウ・デ・キエリュウ!」


 敵もまた、魔殺呪文ビョウ・デ・キエリュウで攻撃してきた。

 私は攻撃を図る……。


 ビタッ……!

 体が硬直した?


『マスター、爆炎系魔法を撃って! 反動で回避!』


 私は上空めがけて煉獄業火球ノヴァ・ストライクを放つ。

 その爆風で、私は下方へと吹っ飛ばされる。

「チッ……! 厄介な相手だ……だが、まあいい。おまえは絶対に、わたしには勝てぬ……! ぬはーっはっはっは!」


 っくそぉ。キエリュウのくせに、中々やるじゃあないのよ。


『マスター、あのキエリュウはあがた経由で、神の力を受けています』

「だから、通常の魔族より厄介だと?」


『はい。神の眷属と同等の戦闘力です。それに、やつは呪いを使ってます』

「呪い……?」


『はい。やつは能力アビリティ言霊呪げんれいじゅ】を使っております』

「げんれい……じゅ……?」


 なんだそれ……?


言霊ことだまはご存知ですか?』

「なんか、ことばに宿ると信じられていた神秘的な力……的な?」


『はい。言霊呪は、相手の言葉に込めれた力を、増幅させ、その通りにするという呪いです』


 うーん、いまいちピンとこない……。


『たとえば、冗談で死ね、というと、言った本人が死ぬ……という感じですね』


 ……なるほど。中々ヤバい。


「でもそれと、この状況と何の関係が……?」


 今なお、キエリュウはこちらに魔法で攻撃している。

 私は回避していない。


 真理が私の体を操作して、回避してくれてるのだ。


『マスターは先ほど、キエリュウに対して【やめといた方が良いよ。どうせ君勝てないし】って言いましたね?』


 そういや、言ったような……。


『マスターの口から出たそのセリフを、言霊呪で増幅されてしまっているのです』


 まてよ、死ねって言えば、言った本人が死ぬ。

 どうせ勝てないって言ったら、言った本人が……勝てなくなる……!


「なるほど、だから私の攻撃が当たらないし、防御もできなくなってんだね」

『その通りです。言霊呪が発動している以上、マスターは勝てないのです』


 今のでからくりはわかった。

 

「助かったよ、真理。てか、よくわかったね。全知全能インターネット縛られてるのに」

『目の前で起きている現象のみを検索すれば、間接的にキエリュウの能力アビリティは検索可能なのです』


 さて……と。

 言霊を使われ、私は勝てないことになっている。


 そんな敵に、どうやって立ち向かえば良いのか。


「天理、なにかいいアイディアある……?」


『んほぉお~……♡ おねえちゃんしゅごいぃい~……♡ かっこよぃ~……♡』


 ……駄目だ。こっちが使い物にならくなってる……!

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