251.面倒なやつら
前回までの、私。
ひょんな事から地球へやってきた私たち。
そして、私はこちらで開田くんと再会する。
しかし彼の奥さん、オベロン、およびその息子の舞弥くんは死んでしまったそうだ。
妖精である彼女らは、妖精花さえあれば、復活させることができる。
開田くんが不憫だったので、私は奥さんと息子さんを復活させるため、妖精花のある長野県へと向かう……。
が!
私たちの行く手を阻む、謎の存在、長野神。
長野神はどうやら長野にいる神様のことらしく、その信者の一人、県ってやつが暴走してるようだ。
ほっとくと、長野どころか、地球全域にまで被害が拡大する。
私は県の暴走を止めるため、長野神のいる安曇野に向かう事になったのだった……!
☆
諏訪湖のほとりにて。
私の目の前には、9人の量産ミカがいる。
「長野さん、結局この人達はいったい……?」
公安の刑事、贄川刑事が私に問うてくる。
同じ顔をした女が、9人もいるのだ。そりゃ何なんだって聞きたくなるよね……!
ど、どうしよう……。
「また忘却の魔法かければいいんじゃあないですか~?」
ニート化したことで、知能に大幅デバフがかかったサポートAI、真理が暢気にそういう。
『記憶消去の魔法は、脳細胞にかなりの負荷をかけます。連続使用は避けた方が良いです』
「連続使用するとどうなるの?」
『頭・真理になります』
「頭・真理……」
あ……。
「それってちょー天才になるってぇことじゃあないですかぁ~♡」
……どうやら天理の皮肉を、ポジティブに捕らえたようである、この子……。
本当はディスられてるんだけども。
『天に召しますおねえちゃん、あなたのカスがまたIQ1くらいの発言してますが、お許しくださいませ……』
「いや天にいませんけど!? IQ1ってなんだよ! おねえちゃんはIQ53万のちょーてんさいだよっ」
『まあ頭・真理はさておき』
「さておくなー! なんだ頭・パーって! パーってなんだよぉ……!」
わめく真理を余所に、天理が続ける。
『記憶を消去すると、相手の脳細胞にダメージが負ってしまいます。なので……』
天理が説明する。
『マスターが9人いるように見えますが、これはスキルで、9人に分身してるだけです』
と、贄川刑事に、天理が説明する。
「あ、なるほど……影分身的なね……」
ホッ……と刑事が安堵の息をつく。
良かった……ごまかせた。
「で……量産ミカたち。君たちには、これから神の眷属と戦って貰います。9人ぐらいいるらしいんで、一人で一人の計算ね」
スッ……と厨二ミカが手を上げる。
「どったの?」
「別に、倒してしまっても問題ないのだろう?」
「あ、いや、できれば説得して、駄目そうなら無力化して」
つねこのように、県に操られてる可能性もあるからね。
てゆーか、その可能性のほうがたかいか。
「説得(物理)ということだなっ! 得意だぞそういうのっ!」
体育会系ミカがやる気に満ちた表情で言う。やめて。
「無理矢理戦わされてる眷属もいるから、その子らは倒さないでね」
赤ミカがグッ……とサムズアップする。
良かった、理解してくれたようだ……。
「こちらの要望を聞き入れない奴らには、赤ミカキックをたたき込んで良いってことですね!」
「違う……! 無力化っつったでしょ!?」
「倒せば永遠に無力化できるじゃあないですか?」
「倒すなっつってんの!!!!!!!」
だ、駄目だ……この量産型ども。
ポンコツ過ぎる……!
『まあ、コピー元がぽんこつだからしょうがないのでは?』
おっしゃると降りすぎて何も言い返せない……。
これは、この量産たちを制御する必要があるな……。
「天理ちゃーん?」
『お断りです』
まだ何も言ってないののだけど、天理は私が何を注文するのか、わかっていたんだろう。
『このカスの面倒だけで手一杯です』
「おねえちゃんをかすっていうなやっ!」
『おねえちゃんはカスって言いませんよ』
「言ってるじゃあない……!」
普段の真理は、シゴデキおねえちゃんのしぼりかすだと思ってるんだろうなぁ。
「天理ぃ。頼むよ。この子達が暴走しないように、面倒見てくれない? ね? ね?」
『…………………………それ、命令ですか?』
あんまり命令って使いたくないんだけど……。
そうしないと、天理は絶対やってくれなさそう。すまん……。
「命令です」
『……………………………………………………………………………………はぁあ。承知しました』
ものすっごく嫌そうな顔をで、天理が量産型たちの面倒をやってくれることになった。
『自分で面倒事を増やすだけ増やしておいて、管理責任を押しつけるとか、マスターは駄女神1,2と同レベルですね。さすが神』
めっちゃ嫌み言われた……。
駄女神1,2、っていうのは、トゥアハーデとモリガンのことだろう。
あの子たち最近見ないな……。
まあ、あの子らって普段天界にいるから、あんまり会えないんだけども。




