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208.キルケー戦、決着

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。


 さて、と。

 そろそろ決着を付けますか。


【う、うわぁあああああああああああああああああああ!】


 巨人が私に向かって連打を浴びせてくる。

 通常なら、触れれば即死攻撃。けれど、神である私にその攻撃は通用しない。


 私は、避けない。避ける必要がない。触れても、有為転変が発動しないのだから。


「真理、量産型どうりょくげんの場所は?」

『ロックオン済みです』

「おっけー」


 巨人の心臓部分が、ぼんやりと光っている。

 電子精霊である真理が、私の視界に、量産型ミカの居場所をおしえてくれているのだ。


『ミカ……!』


 私の前に、フェルマァが出現する。


『お乗りくださいまし!』

「あら、いいの?」

『はい! あそこへツッコむのでしょう? おまかせください! フェンリルの神速を、見せてやります!』


 正直、敵の攻撃がフェルマァに当たる可能性があったので、一人で行った方がいいと思った。

 けれど、あの巨人を貫くパワーとスピードは、私にはない。フェルマァに任せるとしよう。


「じゃ、よろしく」

『はい!』


 私はフェルマァの背中に乗る。

 彼女は、その巨体に似合わぬ、凄まじいスピードで宙をかける。


【うわぁああああああああああ! くるなやあああああああああああああ!】


 無数に分裂した手から、魔法が放たれる。

 フェルマァはそれらを全て回避した。


『ミカが全知全能インターネットで敵の攻撃を調べ、私が……穿つ!』


 まあ本当は、攻撃の当たらないルートを、真理が検索したんだけどね。


【うわぁあああああああああああああああああああ! くるなぁああああああああああああああああああ!】


 無数の板が、私たちの前に出現する。

 多分フェルマァの一撃を防ぐための防壁なのだろう。

 

 無論、あれにフェルマァが触れても、アウトだ。有為転変を食らってしまうだろう。


 ぴかっ、と紫電が瞬くと、おくれてずがんっ! という雷鳴が轟く。


「ふぇる美ぃ! なーーーーーいす!」


 ふぇる美が私たちのサポートをしてくれたのだ。

 真理経由で、状況を共有しておいたおかげだろう。


 ふぇる美の雷のおかげで、防壁に穴が空いた……!


「いけ! フェルマァ! つっこめ!」

『うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!』



 ともあれ、一撃も食らうことなく、フェルマァが巨人にツッコむ。


 神速の一撃は、巨人の分厚いボディを貫く。

 ……私の腕の中では、量産型ミカが仰向けで眠っている。

 魔力を吸われ続けた弊害だろう。


 でも……生きてる。良かった。


「ありがとね、フェルマァ」

『いえ! ミカの従者として、当然のことをしたまでです!』


 振り返ると、キルケーの巨人は、動きをとめていた。

 ぼと……ぼと……と巨人を構成していた、石やレンガなどのパーツが落ちていく。


 最初はゆっくりと、だが、次第に速く……巨人を構成するパーツが下へと落ちていく。


 巨人が崩壊し……。空中には、魔女帽子をかぶった、黒髪の女がいた。

 シャツにスカート、その上にだぼだぼのパーカーを着ている。


「しんじ、らんねーです……うちが……負けた……?」


 呆然とつぶやくその子が、たぶん、キルケーだろう。声の感じからしてね。


 キルケー。

 年齢は……10代前半かな。

 少し広めのおでこがチャーミングである。


「私の勝ち。あんたの負け。おとなしく、降参なさい」


 私がそう言うと、キルケーの目に、涙が浮かぶ。


「うびゃぁあああああああああああああああああああああ!」

「うびゃあ?」


 わんわんと、まるで子供のように、キルケーが泣き出す。


『あーあ、マスターが子供なーかした』

「いや、まあ……なんというか……ごめんね」


 確かにちょっと、子供相手に本気出しすぎたかも。


「うびゃぁああああああああああああああん!」

「ごめんね、泣かないでキルケー」


「うわぁあああああああああああああああああん!」


 ど、どうしよう……。


『巨人と戦ってるときより、今の方がうろたえてて草』


 いや、子供が泣いてたら、そうなるでしょ……?


 

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