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144.ルシエルと結婚カッコカリする



 四天王が一人、カブタンクを倒した私。


「すまない……ミカ神どの……不甲斐ないお姿をさらしてしまい」


 ルシエルが落ち込んでいる。不甲斐ない……?


「どこが? 私のために君は頑張ってくれたじゃん。ナイスファイトだよ」

「しかし……結局貴女に全てを任せてしまった」


「いいっていいって。ほらいこ」


 オベロンが目を覚ましたタイミングで、私たちは世界樹の中へと向かう。

 この木はけっこーデカい、東京タワーとかスカイツリー並にデカいのだ。いや、それ以上?


「セイラどのにはポーション、真理どのには全知全能インターネットがあるのに、アタシには……何もない」

「大丈夫、君にはツッコミがあるじゃあないか」


「そんなの、だれにでもできます! アタシにしかできないことが……アタシにはない」


 うーん……そうかなぁ?


「ルシエルにはルシエルにしかできないことやってるじゃん。ツッコミ」

「アタシがツッコミしかできない女にしか聞こえないですよ!」


 そ、そんなことないでしょ……?

 他にルシエルは……ええと……その……。


「か、可愛い、とか?」

「セイラどのやリシアどののほうが可愛いです!」


 まあ幼女は確かに可愛いけどさ……。

 私たちは足を止める。


「このまま世界樹に入っても、どうせアタシたちピンチ→ミカ神どのが理不尽パワーで解決、をただ繰り返すだけでしょう?」


~~~~~~

Sinri:肯定

~~~~~~


 真理ぇ……。あんた、とどめを刺すようなこと言ってやるなよ……。


「アタシは何のためにいるのかなって……」

「君は私の友達兼ツッコミ係でしょ?」

「アタシのアイデンティティはツッコミしかないんですか!?」

「そ、ソンナコトナイヨー」


 ルシエルは友達だし。突っ込んでくれる人だし……。あと、その……ツッコミだし……ツッコミ……。


「ま、まあ悩みはわかったよ。ようは、強くなりたいんだね?」

「はい……」


「どうして?」

「どうしてって……そりゃ……ミカ神どのに、尽くしたい、からです」


 ……おや? 尽くしたい?


「どういうこっちゃ?」

「あなたはその、色々アレですが、我等ハーフエルフに平穏と、恵みを。そして……楽しい日々を送らせていただいてるじゃあないですか?」


 色々アレってのが気になるけど……。


「アタシは、あなたに感謝してるんですよ。だから、少しでもあなたにその恩を返そうとしてて……」

「にゃるほど……だから、私のために強くなりたいと」

「はい……」


 うーん、律儀。別に私はやりたいことやってるだけなのだ。

 苦しんでいる人、困っている人をほっとくことは、精神衛生上よろしくない。だから、人を助けている。


 感謝して欲しくて、人助けやら魔族退治やらやってるわけじゃあないだよね。

 恩を返さなくて良いよー……って、言っても、この真面目な子ははいわかりましたー、で済みそうもないし……。


「へい真理(Sinri)。ルシエルをパワーアップさせる方法はないの? もっとお手軽にさ」


~~~~~~

Sinri:【神婚】の儀式を執り行うのが手っ取り早いかと

~~~~~~


「しんこん……?」


 いらっしゃーいてきな?


~~~~~~

Sinri:「神婚」

→神が神と結婚すること。あるいは、神と人間が結婚すること。

神の身内となることで、神から力を授かり、神格が上昇し、パワーアップする。

ただし、一度神婚すると、他の人間や神と結婚できなくなる

~~~~~~


 ふぁ……!?

 そ、それって……。


「ルシエルが私と、結婚するってこと……?」


 ま、まじ……?

 いやそんな。だって私たち女同士だし……。

 ルシエルにだって、好きな人いるだろうし。

「そりゃないですよ、ねえルシエル……?」

「…………」

「ルシエルさん?」


 ルシエルが真剣な表情をしていた。

 え……?


 まさか……。

 いや、まさかね。いやいや。


「本気じゃあないよね?」

「……アタシは、お願いしたい」

「ふぁ……!?」


 る、るるる、ルシエル!?

 わ、わわわわ、私たち同性ですが!?


「き、君……早まるのはやめときなさいって。だって神と結婚したら、もう他の人と結婚できなくなるんだりょ?」


「だりょて……」


~~~~~~

Sinri:動揺しすぎワロタ

~~~~~~


 うるさいっ。


「アタシは、別に好きな人とかいないし……」

「今はそうかもしれないけど、将来好きになることがあるかもしれないでしょう? そのとき、結婚できないのは辛いよ。君の将来のことなんだ。こんな直ぐ決めて良い話じゃあない」


 するとセイラちゃんが目を丸くする。


「驚いたわ……」

「なに?」

「ミカがまともなこといってる……」


 10歳児に突っ込まれる私って……。


「いずれにせよ、君はちょっと今冷静さを欠いてるよ。結婚については、よーくかんがえて……」


 ルシエルが真剣なまなざしを、こちらに向けてくる。

 ……まじか。まじっぽいな。うん……。


「ほんとにいいの?」

「はい」


~~~~~~

Sinri:神婚の儀

→最高神とキスをすることで、神婚成立となります

~~~~~~


 ……わー、お手軽。なんて手軽な儀式でしょう。

 ルシエルが目を閉じて、こちらに近づいてくる。


 ……私のそんな彼女に顔を近づけて……。


「てい」


 つんっ、と私はルシエルの額を突く。


「ルシエル。あんた、ちょっと焦りすぎ」

「ミカ神どの……」


「そんな急に強くなろうと、役に立とうとしなくていいよ。私が居るんだしさ」

「ですが……」


「あんたの気持ちはわかったし、うれしいよ。でもね……神婚はあんたの未来の可能性を、狭めることになる」


 一生私以外と結婚できなくなる、ってやっぱりちょっとリスク大きすぎる気がする。

 愛する人が、将来できるかもしれないのに。その人と結婚できないなんて、可哀想でしょう。


「それにね、ルシエル。あまえるな」

「あまえ……?」


「強くなりたいなら努力すれば良い。あんたはまだまだ努力の余地が残ってる。安易な、それでいて自分にとってリスクの大きい道を進む必要はないよ」


 別にルシエルのことが嫌いとか、同性同士で結婚したくないとか、そういうんじゃあない。

 私は、友達の将来を、私の都合で狭めてしまうのがいやなのだ。


「……嬉しいです。ミカ神どの。アタシの将来のこと、そこまで真剣に考えてくれてるなんて」


 ルシエルの目に涙が浮かぶ。


「あったりまえでしょ。君は友達だからね」


 ぽんぽん、と私はルシエルの頭を撫でる。

 ルシエルも納得してくれたようだし、神婚は無しってことで……。


~~~~~~

Sinri:では「神婚(仮)」をなさるのはどうでしょう?

~~~~~~


「「しんこん……かっこかり?」」


 え、何それ……?


~~~~~~

Sinri:文字通り、仮の神婚です。結んでパワーアップできますし、神婚状態を解消することも容易いです

~~~~~~


「「そんなのあるなら、先に言え……!!!!!!!!!」」


 思わず私も突っ込んでしまった。いや、そういうのあるなら言えってばよ!


「将来を狭めることないなら、やってもいいんじゃあないの?」


 とセイラちゃん。

 うーん……まあ、そこがクリアでき、かつお手軽にパワーアップできるなら……いいか。


「じゃ、します? 神婚(仮)」

「是非」


 ということで、私、仮で結婚します。


「で、どうやるの?」


~~~~~~

Sinri:神婚(仮)の方法

→契約主の前で跪き、手の甲にキスをする

~~~~~~


 ルシエルが言われたとおり、私の前で跪く。

 私の手を取って……その手に、キスをしてきた。

 全然ためらってる様子は無かった。


 そのときだ。


 カッ……! とルシエルの体が光り出した。

 強い輝きが、次の瞬間には消えている。

 

~~~~~~

Sinri:ルシエルは最高神ナガノミカと神婚(仮)をなしました。

これにより、ルシエルの神格は3.0になりました

~~~~~~


 ん?

 んんっ!?


「え、る、ルシエル……君……神格が3.0になったって……」

「な!? それって……さ、最高神と同じ神格じゃあないか!」


 最高神である私とダグザの神格が、3.0なのだ。

 え、えええええええええええ!?


「わ、私……キスしただけで、最高神を一人産みだしたってこと!?」


~~~~~~

Sinri:肯定。ただし、マスター美香の神格は現在5.0です。

~~~~~~


 ふぁ……!?


「え、ええええええええ!? き、聞いてない! なんでそんな上がってるの!?」


~~~~~~

Sinri:人をたくさん救ったことで、信者が着実に増え、神格が上がりました

~~~~~~


 まじかい……。


~~~~~~

Sinri:今のマスター美香は、最高神を越えた最高神、いわば、スーパー最高神とでもいうべき存在です

~~~~~~


「す、スーパー最高神……」


 え、うそ……。

 なにそれ……。

 か、


「「ださ……」」


 とルシエルとセイラちゃんに突っ込まれてしまった!

 え、えー!?

 スーパー最高神って、か、かっこよくない……?


 あーでもなんか、前から私のネーミングセンスダサいとか言われてたし……。ええ、ダサいかなぁ……スーパー最高神……。


「とにかく、これでルシエルも強い力を得た訳ね。どう?」

「ああ……なんだか、力がわいてくる……今までに無いくらいに」


 うーむ、どれくらい強くなったんだろうか。

 そのときだった。


「かかか! そこまでだ、侵入者よ!」


 目の前の空間が裂けて、そこから……にょきっ、と一匹の魔蟲が現れる。

 カブタンクと同じような、仮面ラ●ダーにでてくる敵キャラみたいなフォルム。


 カブタンクがカブトムシの魔蟲なら、こいつはクワガタ虫の魔蟲。


「おれは魔蟲王四天王が一人! 後方の【クワガタック】」

「え、ガタッ●? ライダー?」


「クワガタックだ!」


 ガ●ックもとい、クワガタックは私をにらみつける。


「魔蟲王四天王のひとり、カブタンクを倒したくらいで調子乗ってるようだが……ふんっ! やつは四天王最弱! われら四天王の恥さらし! あいつを倒したくらいで調子乗られても困るぞ!」


 わー……テンプレセリフオンパレードだ。


「どうでもいいけど、あんたも私と戦いたいの?」

「戦い……? バカ言っては困る! これは駆除だ! 魔蟲王様の寝所に入ってきた、害虫のな!」


 虫に害虫認定された件について。やれやれ……。


「ミカ神どの、ここは、アタシに任せてくれ」


 ずいっ、とルシエルが前に出る。


「ミカ神どのから貰ったこの力を、こいつで試す」

「ほぅ……じゃあ、ルシエルに任せちゃおうかな」


 戦いって疲れちゃうしね。


~~~~~~

Sinri:お願い! 死なないでクワガタック! あんたが今ここで倒れたら魔蟲王や他の四天王との約束はどうなるの!? ライフはまだ残っている、ここを耐えれば、ルシエルに勝てるんだから!

~~~~~~


~~~~~~

Sinri:次回……おっと、これはネタバレになってしまいますので、サブタイトルは伏せておきます

~~~~~~

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― 新着の感想 ―
クワガタック「うわぁぁぁぁ」 取り合えずLORD OF SPEED流しときますね
真理ノリノリだなwwww
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