表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

135/405

135.新兵器を簡単に作ってしまう



「ふぃ~……これでカーターは、もう大丈夫かな」


 魔蟲襲撃によって、大きな傷を負っていた、帝都カーター。

 しかしセイラちゃんの魔術ポーションのおかげで、壊れた建物は問題なく戻った。


 食糧問題については、ましろが解決してくれた。

 けが人、死傷者もゼロ。これで……万事解決!


「さてじゃ帰ってのんびーりしようかな……」


~~~~~~

Sinri:まだ、問題は解決しておりません。魔蟲がまた襲ってきます

~~~~~~


「ほえー……またかよぉう。魔蟲が来るってさ」


 やーね、全く。

 じゃあサクッと魔法でぶっ倒しちゃうかぁ。

「ミカりん殿! ここは……我等帝国軍が力を見せる時! 全軍、【銃】を持て!」


 帝国軍人達が、外壁へと向かっていく。

 私も気になったので、同行飛翔フライング・アカンパニーを使い、ルシエルとセイラちゃんを連れて、外壁上空へと飛んできた。

 外壁には、帝国軍人たちが並んでいる。

 その手に持っているのは……。


「ありゃ、銃だ」

「え? 銃を知ってるの……? ミカ?」

「そりゃまあ」

「神だもんね」


 セイラちゃんの中では、神はなんでも知ってるって思ってるようだ。

 でも、私が銃を知ってるのは、現代にそれがあるからである。


 銃。異世界でも、開発されてたんだ。


「あれは、正式には魔法銃って名前。OTK商会が開発、量産した、最新武器よ」


 OTK商会は、世界最大の商業ギルドだけあって、すごいもん作るなぁ。


「銃、構えー!」


 ショーが号令を下すと、軍人さんたちが魔法銃を構える。

 そこへ、空の彼方から無数の魔蟲達が襲いかかってきた。


 うーわ、あれだけルシエルや黄昏の竜の皆が倒しても、まーだわいてくるんだ……魔蟲のやつ……。

 めんどっち。


「撃てぇえええええええ!」


 ショーの合図とともに、軍人たちが引き金を引く。

 ドパンッ……! と銃弾が放出されて、魔蟲の硬い外皮をぶち抜いた。


~~~~~~

Sinri:魔法銃の仕組み

→魔法銃は現代の銃と、基本構造は同じです。ただ、銃弾に火の魔石が使われているため、薬莢や雷管などといった、現代銃では使われてる機構が、組み込まれていないのが特徴的


「火の魔石」

→刺激を与えることで、爆発や燃焼を引き起こす、魔力を帯びた特殊な鉱石

~~~~~~


 ほー。異世界の銃は、現代のやつとは、異なる構造をしてるっぽいね。


「驚いたぞ……。魔蟲の外殻は、めちゃくちゃ硬かったはず……」


 実際に魔蟲と戦った、ルシエルが、驚愕の表情を浮かべる。


「それが、あんな小さな筒から放たれる攻撃? で、魔蟲の硬い外殻に穴を開けるなんて……すごい……」

「ふふん、そうでしょう、すごいでしょう? 作った人はすごいでしょっ!」


 セイラちゃんにっこにこだ。おやこれはもしかして……。


「魔法銃、セイラちゃんが作ったの?」

「惜しい! あたしの尊敬する、グランセばーばが作ったのよっ!」


 ああ、なるほど。セイラちゃんのおばあちゃん、グランセさんもかなり才能のある錬金術師なんだっけ。

 おばあちゃんが褒められたことで、喜ぶなんて、セイラちゃん可愛いところあるじゃあないの。


「撃て! 撃ちまくれ!」


 ドパパパパパン! と軍人たちが銃弾を次から次へと放ち、魔蟲を打ち落としていく。


「ミカの張った結界魔法と、軍人たちの魔法銃があれば、こっちの守りは問題なしね!」


「うーん……」


「どうしたの?」

「いや、こんな凄い発明品があるのに、どうして一度帝都は壊滅しかけたのかなって」


 めちゃすご兵器があれば、別に私が出張ってこなくても、自分たちで帝都を守れたんじゃあないかって思う。


~~~~~~

Sinri:「帝都壊滅の理由」

→理由は二つ。1つは、マスターの防御結界がなく、魔蟲の侵入を許してしまったから。

 2つ、銃は確かに強力だが、命中精度についてはまだ難あり

~~~~~~


「なるほど……命中精度がいまいちなのか」

「それは仕方ないであろう。敵は、空を自由に飛んでいるのだ」


 軍人が銃弾を放つ。でも魔蟲は軍人の攻撃に気づき、上空に飛翔して、避けてしまう。

 銃は強力だけど、派手な音がする。


 人より鋭敏な感覚を持つ魔蟲に、攻撃が来るタイミングを教えてるようなものだ。

 テレフォンパンチみたいなもんである。


 だから、軽々と避けられちゃうんだ。


「命中精度については、今後の課題ね」

「今後? 何言ってるのさ。今ある問題は、今片付けておかないと」


 ルシエル、そしてセイラちゃんが、目をぱちくりさせてる。


「ものぐさなミカが……まともなことを言ってるわ!」

「めんどくさがりなミカ神どのの口から、まさかそんな言葉がでるとは……」


 二人ともどいひーである。

 まあ、めんどくさがりやでものぐさなのは、否定しないけどさ。


「ようするに、銃弾が敵に必ず当たるようにすりゃいいんでしょ? 簡単簡単」

「どうするのよ?」


「へい真理(Sinri)、銃弾が敵に必ず当たるようにするやり方おしえて」

「「まーた丸投げ……」」


 二人とも、まるで驚いていなかった。

 あ、やっぱりみたいな感じだった。


 いやほら、私じゃわからないけど、全知全能インターネットさんなら何か知ってるかもってね。


~~~~~~

Sinri:全知全能の全能を使い、必ず銃弾を当てる銃的な名前を、付けるのが最も簡単です

~~~~~~


 あ、なーるほどね。

 全能スキル。それは、私にとって都合の良い能力を、他者に付与する力。


《眷属になろう》を開き、名前や役割を記入することで、その通りの力や、より強い力を他者、あるいは他物に与えることができるのだ。


「つまり、私が銃にいいかんじに、銃弾が必ず当たる銃って名前を付ければいいわけだ」

「「…………」」


 二人がジト目を向けてくる。

 え、なんすか?


「ミカのことだから……」

「期待はしてませんので、好きに付けてください」


 えーえー、どうせ私のネーミングセンスは終わってますよ(ふぇる子、ふぇる太等)。


 自分で言うのはいいけど、他人から指摘されると、ちょびっとイラッとしちゃう私である。

 うーん、いい名前いい名前……あ。


「へい真理(Sinri)。良い感じの名前考えてちょ」

「「そこまで、丸投げ!?」」 


「いやうん、考えるのめんどっちーじゃん?」


 どうせ後から、ダサいだの終わってるだの言われるんだし。

 他人につけてもらって、それを私が付ければ良いかなって。


「全知全能にここまで丸投げするなんて……。逆にミカはいったい何をするのよ……?」

「名前を付けるという最も重要な作業がありますゆえ」


 そうそう。だから、委託できる業務は、他に委託するのが一番なのよ。


~~~~~~

Sinri:幸運銃トリガー・ハッピー、とマスターが名付けると、銃弾が必ず当たるようになります

~~~~~~


 なるほどね。


「んじゃ、幸運銃トリガー・ハッピーっと」


 あー、でも全部にいちいち、名前付けておくのめんどくさいなぁ。

 と思っていたんだけど……。


 パァアアアアアアアアアアアア!


「な、なんだ!?」「おれらの銃が、一斉に光り出したぞ!?」「どうなってるんだ!?」


 ……うん。


「へい真理(Sinri)! どうなってるの!?」

「「まーた、やらかしてる本人が何もわかってないという……」」


~~~~~~

Sinri:電子精霊ワタクシの分身が、全ての銃に、幸運銃トリガー・ハッピーと名前をまとめてつけておきました

~~~~~~


「お、ナイス~。これからはまとめて一気に、名前付けられるようになったのね」


 電子精霊さまさまである。


「ついに名前を付ける業務すら委託してるわ……。置物と変わらないじゃあないの、ミカ」

「いやまあ、いるだけで意味があるので、あの人……」


 さてっと。


「へい帝国の軍人さんたち。もう狙いをさだめなくてもいいよー。ガンガン打ってしまいな~」


 帝国軍人たちは、困惑するかと思ったのだけど……。


「「「アイ、マム……!」」」


 と、素直に私の言葉に従い、引き金を引く。

 ドパパパパパパパン!

 ざしゅざしゅざしゅざしゅ!


「おお! すげえ!」「全く狙いをさだめてないのに、銃弾が勝手に魔蟲の頭をぶちぬいたぞ!?」「まさに、魔弾だ……!」


 おおー! と軍人達が歓声を上げる。


「ありがとう、ミカりん殿!」

「さすが偉大なる魔女だ!」

「我等が銃に、魔法をかけてくれたんだ!」


 と、好意的に解釈してくれた。

 なぜって?


「ふにゃう」


 ぴょこっ、と私の胸元から、バステト神、真白ちゃんが顔を覗かせる。

 彼女には、猫だましっていうスキルがある。 


 発言に信用度をプラスするスキルを、真白が発動させた結果、軍人達は私の言葉を疑いもしないのだ。


「よぉうし、ま、これでここの守りはOKね。んじゃ、根本的な問題の解決に向かいましょうか」

「こんぽんてきな?」「かいけつ?」


 二人が首をかしげる。おやおや。


「魔蟲がさ、さっきから次から次へとやってくるでしょ? こっちがいくら魔蟲ぶっ殺してもくる。なんでって思うじゃん?」

「確かに……なんでかしら」


「じゃん? だから……へい真理(Sinri)。どうして魔蟲が次から次へやってくるの?」


~~~~~~

Sinri:妖精郷アルフヘイムに、魔蟲の巣があるから


妖精郷アルフヘイム

→帝国内に存在する巨大樹の森。魔蟲の根城がある

~~~~~~


「なるほど……魔蟲の巣か」

「そう。それを潰さないと、多分今後も魔蟲は来る。だから、それをぶっ壊そうって思ったの。でも、私らが居ない間、ここの防衛をお留守にするわけにはいかなかったわけ」


 でも、私の結界魔法+幸運銃トリガー・ハッピーのおかげで、防衛力は強化された。


「あとは妖精郷アルフヘイムにカチコミするだけだ。いくぞぉ、野郎ども!」

「「あたしたち、女だけどね」」

【☆★おしらせ★☆】


先日の短編

好評につき連載版はじめました!!

ページ下部にリンクがございます!!


【連載版】転生幼女は愛猫とのんびり旅をする~「幼女だから」と捨てられましたが、実は神に愛されし聖女でした。神の怒りを買ったようですが、知りません。飼い猫(最強神)とともに異世界を気ままに旅してますので


または、以下のULRをコピーしてお使いください。


https://ncode.syosetu.com/n2793jy/



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ