134.神のヤバい戦い方
セイラちゃんがパワーアップして帰ってきた。
「じゃ、セイラちゃん。壊れた建物なおしてあげて」
「OK! 修復ポーション!」
ぽーい、とセイラちゃんがポーション瓶を放り投げる。
瓶が地面に当たり、中身ががれきに掛かる。
瞬間、ずぉおおおおおおおお! と、壊れた建物が、修復されていく。まるで、ビデオテープを逆再生してるようだ。
~~~~~~
Sinri:「修復ポーション」
→古代魔法【修復魔法】の効果を発揮するポーション。
どんな壊れた物でも、一瞬で治す
~~~~~~
おー、やるぅう。
神鎚ミョルニルと同等の力を、発揮できるポーションってことでしょ?
神器と同スペックって凄いじゃあないの。
「す、すごい……! 壊れた物が一瞬で……! か、神の奇跡だ……!」
帝国の皇子、ショーが驚いている。
セイラちゃんは若干気まずそうにして言う。
「本物の前で言われると、なんかちょっと……ね」
まあ気持ちはわからんでもない。
目の前に本物がいるからね。
「す、すごいぞセイラ! こんな力を身につけてくるなんて……! やはり……デッドエンド、凄い……!」
友達が褒められて、私としてはうれしい限りだ。それに、娘の領地を褒められて鼻高々母ちゃんである。
ふと……私はセイラちゃんを見る。
彼女は、浮かない顔をしていた。
「どったのセイラちゃん」
「ミカ……あたし、怖いわ……」
「怖い……?」
いったい何が怖いというのか……?
怖い物なんてどこにもないのに……?
「あたし……こんな、凄い力をもってしまったわ」
「はあ」
「一瞬で壊れた街を、治しちゃうなんて……もう人間の所業じゃあない」
「そう? 普通にやるけど私……あ、ルシエル、やめて。全知全能の剣でほおをぐりぐりしないで」
ルシエルが「神基準で語らないでくだされ」と言う。
「セイラどのの言ってること、理解できますぞ」
ルシエルがため息をつく。
「魔物の血で穢れた大地を浄化、壊れた街を一瞬で修復。そんな馬鹿げた力を、一夜にして手に入れた。変わってしまった、自分が……怖い。なにか、別の恐ろしい存在になってしまったようで……と」
「そう、そうなのよ! さすがルシエル! わかってくれるのねっ!」
「ええ、ええ、わかりますとも。かくいうアタシもそうでしたし……一夜にして化け物にされましたし……」
んー……話についてけないよー。
真理えもーん。
~~~~~~
Sinri:それはマスターが完全に神となって、人間の感覚を忘れてしまってるからではないでしょうか?
~~~~~~
そっかー……。
ほなしょうがないな。
「でもね、セイラどの。あなたは、まだ正常です」
「どういうこと?」
「確かに、今の貴方は化け物じみた力を手に入れて、戸惑っていることでしょう。でもね……世の中には、もっともっと、イカレタやつがいるんです。直ぐそこに」
え、どこ?
どこどこ?
「我々が認識できる、凄いとか、恐ろしいってレベルを、軽く越えてくるんですよ。あの御方は」
え、だれ?
だれだれ?
そんなことしてくる人……?
そのときだった。
『時よ、止まれぇ……!』
ブゥウウウウウウウウウウウウウン。
『よくもこのヤルマエカラ・モウ・シンディリュウを殺したなぁ……!』
~~~~~~
Sinri:「状況」
→マスターが先ほど倒した、ヤルマエカラ・モウ・シンディリュウが死ぬ直前に残していた、遅延魔法が発動。
時間停止をかけたうえ、帝都と同等サイズの超巨大魔蟲を、帝都上空に転移。
時間停止された時間のなか、超巨大魔蟲を、質量爆弾として落とし、この帝国を滅ぼそうとしている。
ちなみにしゃべっているのは、ヤルマエカラ・モウ・シンディリュウの残留思念
~~~~~~
『止まったときの中で、この超巨大なムシを落とす! さしもの魔族殺しも、手も足も出ないだろう!』
「いや、大丈夫ですが?」
『なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?』
さっき倒したはずの、ヤルマエカラ・モウ・シンディリュウの残留思念が驚いてる。
『ば、ばばば、バカな!? 時間を止めたんだぞ!? 何故動いてる!?』
え、何故……?
「どういうこと?」
『どういうこと!?』
「え、時間を止めたくらいで、この私が止まるとでも……?」
まじで意味わからないんだが……?
我、神ぞ……?
時間停止の魔法くらいで、動きを止められるわけないじゃーん。
「てゆーか、真理。時間停止攻撃してくるの、事前に予測しておいてよ」
~~~~~~
Sinri:マスターなら、このくらいのことをされても、だいじょうぶだと判断しました。
それに、時間が止まってたほうが、マスターにとっても都合が良いのでは?
~~~~~~
なるほど……ね。
私にとって、この時間停止された状況って言うのは、とても都合が良い。
なぜなら……。
「時間が止まってるってことは、ギャラリー達はこの戦いを、認識できないってわけだ」
今までは、人の目を気にして、人間の範疇内にとどまるような行動しかできなかった。
でも、今は……違う。
だれもここで起きたことは、認識できない。
「時間停止って、疲れるから、自分では使いたくないんだよね。だから……ヤルマエカラ・モウ・シンディリュウ。きみに感謝するよ」
頭上には真っ黒い空が広がってる。
「でもこれ、空じゃあなくて、認識するのも難しいくらいの、巨大なムシなんだよね」
『ふ、ふははは! そうだぁ……! こんな巨大なものが、超高速で落下すれば、この国なんて軽く吹っ飛ぶぞぉ……』
「……で?」
『は……?』
「だから、なに?」
なるほど、確かにこんなでかいのが墜ちたら、大変だ。
「墜ちなきゃいいんでしょ?」
『う、ぐ、うぉおおおおお! 墜ちろぉおおおおおおおおおおおお! 水星女ぁああああああああああ!』
確かに私が居るここ、青き星っていうらしいけど。
水星じゃあないでしょうが。
止まった時間の中で、超巨大なムシが墜ちてくる。
完全削除……したくても、スマホの画角に収まらない。
やれやれ。
『くたばれぇええええええええええええええええええええ!』
ズズズゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!
「ふぅ……おっも」
『なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?』
ヤルマエカラ・モウ・シンディリュウは、驚愕の声を上げる。
『ば、ば、バカな!? バカなバカなそんなバカなぁ……!』
バカな……?
いったい何がバカななんでしょうね。
『巨大都市一つ覆うほどの、超巨大ムシを……貴様! 片手で、持ち上げてるだとぉおおおおおおおおおおおお!』
私は片手で、巨大ムシとやらを受けとめていた。
空中に立って、である。
『あ、ありえん! この質量のものを受け止めたら、体がぺしゃんこになるはずだろうが!』
「残念。私の体は今、絶対防壁で包まれてるから」
絶対防壁。
神スキルのひとつだ。発動中は、絶対に攻撃を受けない。
「絶対防壁で包まれてる私は、ダメージを絶対に受けない。それが、どんなにデカいダメージ……街一つ潰すほどの質量爆弾でも、ね」
だから、このムシを片手で持ち上げても、私の体はダメージ負ってないってこと。
『理解不能理解不能理解不能ぅうううううううううううううううううう!』
「あー、そりゃそうでしょう。だってきみ……神じゃあないし」
さて……と。
あとはこの受け止めたムシを、処理するだけか。
「へい真理、良い方法は?」
~~~~~~
Sinri:もう、なんでもありなんだから、好きにすれば……(-_-;)
~~~~~~
AIが匙投げた!?
ま、まあじゃあ……いいよ。思いついたこと、てきとーにやるから。
「羽衣、発動」
私の体を、最高神の羽衣が覆う。
この羽衣はなんにでも変形が可能だ。
「このでっかいムシを、ラッピングしちゃって」
羽衣がぎゅぅうううん! と伸びる。
羽衣が魔蟲の全身を、グルグル巻きにする。
『なんだ!? いったい何をするつもりなんだ!?』
「このままじゃでっか過ぎるからね。羽衣ちゃん、ムシを圧縮しちゃって」
『は!? あ、圧縮!?』
羽衣は、どんな形にでも変形可能。
どんな形とは、大きさも関係なく、変形可能ってことだ。
巨大なムシを包む羽衣の大きさを、小さくすることも……可能!
『いやその理屈はオカシイ! オカシイのに! どうしてこいつが言ったとおりにことが進むのだぁあああああああああああああああああああああ!』
羽衣が小さく、小さくなっていく。
ムシもそれに併せて、どんどんと縮んでいく。
やがて、野球ボールくらいの大きさまで小さくなった。
「んじゃ、はい。完全削除」
『ちょま……!』
パシャリ。
画角に収まった、野球ボール(超巨大ムシ)は、神スキル、完全削除によって……消滅した。
そして時は、動き出す。
「ふぃ~……」
「ど、どうなされた、ミカりん殿……?」
うん、ショーは、今何があったか、気づいていないね。
時間が止まっていたんだから、皆何があったか知らないわけだ。
それでいい。
「「…………」」
「おや、ルシエル。セイラちゃん。どったの……目を点にして」
二人が、大きくため息をつく。
「ごめん……あたし、思い上がりもいいところだったわ……」
「は? 思い上がり……? え、なに……?」
ルシエルがセイラちゃんの肩を叩く。
「落ち込まないでください、セイラどの。あれがおかしいのです」
「あれってなんだよ、ルシエル」
へいSinri、何が起きてるんだい?
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Sinri:セイラとルシエルは、時間停止の中で起きた出来事を、知覚してます
~~~~~~
ふぁ……!?
え、なんで……?
~~~~~~
Sinri:二人とも神と契約し、力を得てる影響でしょうかね?
~~~~~~
疑問形!?
なんで全知全能のあんたが、疑問系なの!?
~~~~~~
Sinri:全知全能でも……わからないことくらい……ある……。特に、マスターのやることは
~~~~~~
え、ええー……。
全知全能ちょっと、怠慢じゃあない?
もっとしっかり働いてよぉ。わからないことに答えてくれるスキルじゃなかったの~?
「あたし、神と比べたら、まだまだ人間だったわ」
「ええ。理解不能存在と比較したら、まだ常識の範疇にとどまってますよ』
私と書いて理解不能存在って読むのやめてくれませんかね?
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先日の短編
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