133.部下を超進化させて驚かれる神
マデューカス帝国の帝都カーターにて。
食料問題は、うちの可愛い白猫(自由猫)が解決してくれた。
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Sinri:報告します。魔蟲に食われた食料は、真白の豊穣の神通力のおかげで、すべて元通りになりました
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真理からの報告を聞いて、安堵の息をつく私。
それにしても、帝都が保管していた全食料を、ひとりで元通りにしてしまうなんて。
真白すっごいな。てゆーか……。
「神通力って?」
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Sinri:神や霊が使う、人知を超えた特殊能力のことです。神スキルなどがこれに該当します。
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なるほど……。月と豊穣の女神である真白が使ったのは、豊穣の神通力ってわけか。
「じゃあ、私の使ってる全知全能とかの力も? 神通力ってこと」
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Sinri:最高神ナガノミカの使う力は、カテゴリー不明です
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カテゴリー不明!?
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Sinri:「ナガノミカの力」
→水の女神トゥアハーデの力を、マスターという器に注ぎ込んで、転生者スキルというスパイスが加わり、できた闇鍋的な力
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「そんなバグみたいな存在だったんだ……この全知全能って力……」
じゃあ一体これなんなのまじで……。
ま、まあそれは今はおいといて。
「ミカりん殿! 本当に感謝いたします」
「にゃ!」
しゅぽっ、と真白が私の服の中に隠れてしまった。あ、こら。もう。
ちっこい白猫だからすっぽり入ってしまった。
お腹のあたりで丸くなってるのがわかる。すみませんね、胸の谷間とかに入れるほど、胸が大きくなくてね。
「いいってことよ」
とりあえず、死傷者は治療した。
食料も確保。
結界を張ってるから、魔蟲が再度襲ってきても大丈夫。
「次は壊れた建物の修復かな?」
神器をあずけてる、サツマ君を召喚すれば、一発で問題は解決する。
神鎚ミョルニルは壊れた建物を一瞬で治す神通力が秘められてるから。
しかし神の力をあんまり公に使いたくない。私はあくまで冒険者ミカりんであって、最高神ナガノミカじゃあないからね。
「帝国には優秀な職人ドワーフが集まっております」
「へえ、ドワーフ」
ちっこくって、手先の器用な、亜人のあのドワーフか。
「彼らに任せれば、数ヶ月もすれば帝都は元通りになるかと」
「数ヶ月もかかるんでしょ? そんなに待ってたらここに居る人たちが風邪引いちゃうよ。大丈夫、うちでなんとかできるから」
「ほんとですか!? なんとかって……」
……………………うん。
「それは、えっと……」
どうしよう、ノープランだ。
サツマ君にこっそり力を使わせる……?
うーん、どうしよう。
そのときだった。
「ミカ!」
しゅんっ、と目の前に銀髪美少女セイラちゃんが現れたのである。
おお、セイラちゃんだ。
「なっ?! せ、セイラ!?」
ぎょっ、と目をむくショー。え、何驚いてるんだろうか……。
「ミカ神……んんっ、ミカりんどの」
ルシエルが言う。
「セイラどのは、もとショーどのの部下だ。だから、彼女が転移を使ったことに、驚いてるのだろう」
「は……? 転移くらいで何驚いてるの……?」
「転移……くらい!?」
ショーが驚愕してる。あれれ……?
また私何かおかしなこといってしまっただろうか……?
「…………」
ルシエルが無言で指を立てる。
「え? なにそれ」
「スパカウンター」
「それ他人にも有効なの!?」
こくんっ、とルシエルがうなずく。ひえ……。それは勘弁してぇ……。
「驚かせてごめんなさい、ショー様」
「あ、ああ……しかしセイラ。おまえどうしたというのだ。たしかおまえはただの錬金術師。転移の魔法なんて使えなかったはずだろう」
あ、なるほど。
そこに驚いてるのか。今まで使えなかった物を、使えてるから。
「いやミカりんどの。転移魔法は高等魔法だし、転移スキルは超絶レアスキルだぞ」
「はえー……そうなんだ」
「前にも説明したぞ……。メモを取るということしないなあなたはっ!」
うーん……だってねえ。こっちには全知全能な真理さんがいますしね。
「これからはもっとビシバシやってかないとだな、真理どの」
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Sinri:( ̄^ ̄)ゞ
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部下が私をいじめるよぅ。
「ショーさま。あたしは、デッドエンドへ行き、新しい力を得たのです」
「ミカりん殿の領地でか……?」
「はい、それが……これです」
セイラちゃんがポシェットから、不思議な色のポーションを取り出す。
「魔術ポーションです」
「まじゅつ……ぽーしょん?」
なんじゃらほい?
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Sinri:「魔術ポーション」
→魔法効果を発揮する、セイラオリジナルのポーション。
薬品だけで、魔法効果を発揮するため、魔力が必要ないうえ、だれでも強大な魔法が擬似的に使えるという利点があり
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「へー……」
「す、すごいぞ……!」
「え、そうなん……?」
こくこく、とショーとルシエルがうなずく。
え、そんなに……?
「魔法が使えるようになることの、どこが凄いの?」
「ミカりんどの、魔法適正ってご存知か?」
「いや」
「でしょうね。魔法適正っていうのは、文字通り魔法の適正です」
なんかどうせ知らないでしょ? みたいな感じでスルーされた……!
「この世界における魔法は、努力で身につけることができます。が、魔法の習得スピードは才能に依存します。それが、魔法適正。この適正が高いほど、習得までにかかるスピードが短縮できます」
はえー……そうなんだ。
てかいちおう魔法って努力で身につくんだね。
「転移の魔法をふくめた、古代魔法の習得時間は……これくらいです」
ルシエルが指を一本立てる。
「一年?」
「一万年と言われてます」
「ふぁ……!?」
い、いいい、一万年!?
なにそれ!?
「そんなにかかるんだ……古代魔法の習得……」
「はい。エルフなどの長命種であっても、古代魔法である転移の魔法は、習得困難なのです。使えるものがいない、だから、古代魔法と呼ばれるのです」
まじか……。
バシバシ使ってますが私……。
「なるほど、転移魔法がすごいやばいのはわかった。それを、魔法ではなく、ポーションで再現してるのが凄いってことね」
「そのとおりです」
セイラちゃんそんな凄いポーションを開発してきたんだ……。
「って、あれ? 君には外のムシによって、穢れた大地を浄化させる仕事任せてなかったっけ」
「ええ。その研究の過程において、魔術ポーションが完成したのよ」
セイラちゃんが青色のポーションを取り出す。
「こっちは浄化のポーション。これを作る課程で、魔法効果を発揮するポーションを思いついたのよ」
「にゃるほど……」
って、あれ?
副産物で、こんな凄いものを作ってしまうなんて……。
「セイラちゃん、もしかして天才なのでは……?」
「初期からずっと言ってるだろうっ。天才錬金術師と!」
ルシエルのツッコみに、私は確かにとうなずく。
「ごめん実感わいてなかった。けど……ほんとすごいね」
ふふんっ、とセイラちゃんがどや顔で胸を張る。
「といっても、ほとんどあんたのおかげなんだけどね」
「私の? 私また何かやっちゃいました?」
よしよし、とルシエルが無言で頭を撫でてくる。なんで?
「ちゃんと自分が他者に大いなる影響を与える、ということを自覚できるようになりましたな」
「え、それだけで褒められるの、私……!?」
「今までできてなかったので」
「そ、そうかなぁ……?」
うんうんうん、とセイラちゃんが高速で首を縦にふっていらした……そうですかすみません……。
「あたしの眷属器……全知全能の釜のおかげよ」
しゅんっ、と彼女の隣に、招き猫が出現する。
セイラちゃんの眷属器、全知全能の釜。
望んだ物をゼロから創造する、創造スキルが付与された眷属器だ。
「これを使って、手本を創造したの。で、そこから逆算して、作り方をマスターしたわけ」
手本……つまり、魔術ポーションを、全知全能の釜でゼロから作り出す。
で、それ教材にして、作り方を解明、自分のものにしたと……。
「え!? すごいじゃんセイラちゃん!」
「ふふん、まーねっ」
一方で……ショーが唖然としていた。
「し、信じられない……セイラ。おまえ……こんな飛躍的にレベルを上げるなんて……というか、創造スキルって……」
わなわな、と声を震わせるショー。
「デッドエンド……なんて凄いところなんだ……。行っただけで、こんな力を身につけてしまうなんて……!」
そっか、ショーはセイラちゃんの実力を知ってる。
元々宮廷で働いていたから。
だから……今のセイラちゃんと比較して、彼女がめちゃくちゃ進化してることに、驚いてる訳か……。
「い、いったいデッドエンドで何があったんだ!? 何がおまえをそんなふうにかえたのだ!?」
セイラちゃんはちょっと考えて……。
「まあ、鼻でスパゲッティ食べる、変な女神様にあったから……でしょうか」
「なんだその意味不明な神!? そんなのが存在するというのか!?」
はい、居るんです……あんたの目の前に……。
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