表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハズレダンジョンの制覇者 ――ガチャで俺が引いたのは、美少女モンスターしか出てこない「ノーマル未満」ダンジョンでした  作者: 猫目少将@「即死モブ転生」書籍化
2 南端リゾート「キャナリアン」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/95

2-1 ビーチリゾートへの道

「あれが……キャナリアン……」


 御者席から身を乗り出して、マリーリ王女が瞳を細めた。


 王国西海岸沿いの街道を、南に下っている。右側には、朝の海、左は低木の林が延々と続いている。高木は強い海風に倒れ自然淘汰されるからだと、道中の宿で聞いた。


 海岸線に沿って道は緩やかな左カーブになっており、低木の林の後ろから、ちょうど都市が見えてきたところだ。


「きれいな街ですわね、エヴァンス様。強い南国の陽光に、きらきらと輝いて」

「王国一のリゾート都市だからな」

「そうね、エヴァンスくん」


 左から、アンリエッタが俺の腕を胸に抱えた。


「なんだか、わくわくしてくる。あそこでエヴァンスくんや姫様と一緒に……」


 そのまま黙ると、肩に頬を擦り寄せてくる。


「幸せ……」

「わたくしも……」


 姫様にも腕を抱かれた。胸を押し付けるようにして。


「おいおい……。ふたりに抱かれたら、手綱が取れないじゃないか」

「大丈夫ですわ、エヴァンス様」


 姫が微笑むと、胸がより押し付けられた。


「王室の馬は賢いのです。ちゃんと目的地を認識していますよ」

「心配なら、ボクが操るよ」


 俺の胸から、ピピンがごそごそ這い出てきた。


「お前を見られたらどうする」

「大丈夫だよ。この街道、交通量少ないもん。それに、ボクが馬の頭に乗ってても、誰も気づかないよ。小さいし、擦れ違うのだって一瞬でしょ」

「まあそうか……」

「だからエヴァンスは、姫様とアンリエッタのこと、ぎゅっとしてあげてよね。ふたりとも、エヴァンスとリゾートに行けるの、前々からすっごく楽しみにしてたんだから」


 言い残すと、飛び出す。俺達の馬車は、二頭曳き。小ぶりな家族馬車に偽装してるからな。魔法で重防御された、王室特注馬車だけど。とにかく右側の馬の頭に、ピピンは舞い降りた。たてがみを握って耳に口を寄せ、なにか馬に話しかけている。


「まあいいか。たしかにあれなら身バレもないだろ」

「そうですわ、エヴァンス様。それよりも……」


 スカートを少しまくるとマリーリ王女は、俺の手を太腿に導いた。


「撫でて下さい。優しく。マリーリ好きだよって……言いながら」

「いいわね。ならわたくしも」


 左手は、アンリエッタの腿に挟まれた。


「ほらエヴァンス、姫様に言うのよ。愛しているって。……もちろん、わたくしにも」

「あ、愛してる……」

「まあ……」


 くすくす笑うと、王女の胸が揺れた。


「英雄エヴァンス様も、アンリエッタお姉様の前では形無しですわね」

「まあ……なんだかんだ、付き合い長いしな」

「付き合いが……深い……でしょう、エヴァンス様」


 姫様は、俺の顔をじっと見上げてきた。


「わたくしも、深いお付き合いをしたいわ」

「そうだな……いずれ……」


 曖昧にごまかした。俺達は婚約したも同然とはいえ、相手は一国の王女だ。あっさり手を出すわけにはいかない。アンリエッタとは関係を持ったというものの、そっちだって聖婚相手だったからだもんな。王女の立場を考えたら、余計に……さ。


 十三歳とはいえ王族だから、その年齢での婿取りや輿入れだって普通にある話だ。政治的なタイミングのほうが、当人ふたりの思惑や年齢よりよっぽど大事だからな。


 とはいえ、俺と姫の婚姻は、「今すぐ政治的に必要な」案件ではない。ゆっくり恋心を育ててからでいいと、俺は考えていた。実際、マリーリ王女は、旅に出てから随分素直で、明るくなった。王宮での「政治的に卒のない才媛」印象は、影を潜めている。王女というペルソナを、俺やアンリエッタの前では纏う必要がないからだろう。


 こうした心の動きは、大事にしてやりたい。そのうち恋心だって抑えきれないほど溢れるようになる。先に進むのは、それからで充分だ。


「エヴァンス……様……」


 さらに身を寄せてくる。


「姫様……」

「エヴァンス……様……」


 姫の唇が、物欲しげに動いた。


「おいで」

「はい……んっ」


 俺の頭を抱え、唇を自分の唇へと導いた。姫とキスしたのは、これが二回目だ。子供のようなかわいらしいキスだが、それでもいい。俺は別にそれ以上を求めているわけではないからな。


 唇を離した姫は、うっとりしている。


「わたくし、生涯添い遂げると誓います。エヴァンス様と」

「ありがとうな、姫」

「エヴァンスくん、次はわたくしよ」

「アンリエッタ……」

「んっ……」

「アンリエッタ……」

「エヴァンスくん……」

「姫様……」

「エヴァンス様……」

「エヴァンスくん……好き」

「わたくしも……」

「俺もだ。ふたりとも……かわいいぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ