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ハズレダンジョンの制覇者 ――ガチャで俺が引いたのは、美少女モンスターしか出てこない「ノーマル未満」ダンジョンでした  作者: 猫目少将@「即死モブ転生」書籍化
9「けっこん」の謎

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9-5「けっこん」要求

「さて……」


 一時間後。教卓に立ったソラス先生は、ほっと息を吐いた。「はあはあ」「なでなで」タイムが終わり全員、もう何食わぬ顔で机に就いている。あの触れ合い時間はなんだったんだ……ってくらい。


「今日の分の『おとこのこ』のお勉強が終わりました」


 眼鏡をくいっと直す。


「はーい先生、エヴァンスくんは硬くて強くてかっこよかったです」

「良かったですね」

「やはり、『おとこのこ』だからですよね、こういうの」

「そうでしょう。ではここで……」


 眼鏡がきらりと輝く。教卓の下から、ソラス先生はどでかく分厚い本を取り出した。古代エルフ語で書かれた、例の「きょうかしょ」って奴を。


「ではここで、お婿さんの話をしましょう。この間は先生、お婿さんのことがわからず、みんなの前で恥かきましたからね」


 なんだ。あれ気にしてたのか。頑張って先生役しててソラス、かわいいところあるな。


「エヴァンスくんは、私達全員のお婿さんになる……。前回はそこまでお勉強しました」

「はーいっ」

「お婿さんというのはなにか――。それが先生の宿題でしたよね。先生、この『きょうかしょ』で調べたんですよ。わけわからない古代エルフ語と格闘して。……めんどくさかった」


 本音がだだ漏れだ。


 はあやっぱり古代エルフ語は苦手か。ハーフエルフのグリフィス学園長も、古代エルフ語は詩的で曖昧、難解だって言ってたもんな。


「そしてわかりました。お婿さんというのは『けっこん』相手のことです。私達は、エヴァンスくんと『けっこん』して『およめさん』になるのです」


 ドヤ顔。よくわかったな……とは、まだ言えないが。


「へえーっ。あたしのヒトまたたびは、あたしをおよめさんにするのか。コマとかリアンも。えっへん」


 例によって、バステトの謎自慢。いやお前、意味知らんだろ。


「はい、先生」


 ドワーフのヨアンナが手を上げた。


「ヨアンナさん」

「およめさんって、どういう意味だ。けっこんも。オレ、聞いたことないぞ。……みんなはどうだ」

「余も知らんわい」

「知らないねー」

「おいもの一種じゃないの」

「わあ、私達、おいもになるのかあ……」

「でもそれどういう意味だろ」

「さあ……」


 全員、首を傾げている。正確には、オレとアンリエッタ以外が。


「先生、早く教えて下さい」

「そ、それは……」


 前回同様、ソラス先生の顔が青くなった。まあ……こうなるだろうとわかってはいたが。ドジっ娘先生だからな。結局理解がほとんど進んでないじゃん、前回から。


「せ、先生も知りません。まだそこまで……『きょうかしょ』、読み込めていなくて。ですが……」


 だが、今日のソラスはめげなかった。顔を上げると、俺を見る。


「ですが……それは、エヴァンスくんに解説してもらいましょう。当事者ですよ。知っているに決まっています」


 はあ。生徒に突っ込まれたらどうするか、今回はちゃんと事前に考えておいたってことか。まあ単に俺への丸投げなわけだが。


「ほらエヴァンスくん、早く教えて下さい。私達を『およめさん』にして『けっこん』するって、どういう意味なのか」

「それは……」


「てらごや」中の視線が、俺に集まった。


 いやどうしようこれ。


「それはだな……花には雄しべと雌しべがあって」

「はあ?」


 唐突な話に、全員ぽかんだ。


「雄しべの花粉が雌しべに着くと……」


 これなんの性教育だ。なんかふと馬鹿らしくなった。性教育のABCから、一気に話をすっ飛ばすことに決めた。


「とにかくだな、結婚というのは、男女が好き合って一緒に暮らしたり、抱き合って愛し合うんだよ。そうするとやがて、子供ができたりする。子供ってのはな、親と同じ生命で、ただ小さいだけだ。育つと、親と同じ感じになる」


 先回りして説明しておいた。どうせ訊かれるに決まってるからな。


 ……だが実際、どうなんだろうな。この世界でも出産とかあるのかな。仮に俺とリアンが『けっこん』したとして、リアンは孕むんだろうか。産まれるとして、その子は人間なのか、スライムなのか。それともリアンと同じ、人化スライムだろうか。それに男児も産まれるのか……。


 それとも「けっこん」というのは「結婚」のことではなく、なにかもっと象徴的な儀式とかなのだろうか。


 なにもかも、疑問だらけだ。この謎を解くには、イドじいさんが言うようにやはり、「ヒエロガモスの地」とかいうのを探さないとならないのかもな。知らんけど。


「ではここで、実際に見せてもらいましょう」


 ソラス先生が眼鏡を直した。気のせいか頬が紅潮している。意味不明でも、そこになにか心惹かれるものを見出したのかもしれん。


「実際に……って」

「エヴァンスくん」

「はい、先生」

「私と『けっこん』して下さい。今、この場で」

「えーと……」


 困った。いやここで、何も知らない純真無垢なみんなを前に、あれやこれややれってのか……。

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