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2-1



「あー、もう、こんな日に残業とか、上司の嫌がらせとしか思えないわ」


「ほんとですよ。私たち、今日はバスケの試合見に行くって公言してたのに」


「ねっ、まったく。さ、急ごう」


大学を卒業してスポーツメーカーに就職した私は、相変わらずのバスケ好きで少しでもバスケに関われないかと仕事に奮闘していた。


後輩のユリちゃんもバスケ好きで、今日はB.LEAGUEの試合を見に行こうってチケットを取って数日前からワクワクしていた。


こんな日に限って上司から残業を言い渡されて若干殺意がわいたけど、二人とも超特急で終わらせて今に至る。


「先輩の推しは藤井省吾ですよね?」


「うん、世界で一番好き」


「いやーん、恋してるぅ」


「そういうユリちゃんは渡会選手だっけ?」


「はい! めっちゃかっこいいし、プレーも繊細で、なのに3Pシュートバンバン決めちゃって、最高ですか!」


私とユリちゃんはニヤリとしながらお互いカバンから選手名入りタオルを出して広げた。


今日の試合は私たちが推しとしている選手が敵同士で戦う。


「負けないからね!」


「こっちこそ!」


バチバチと火花を散らしながらも会場の大声援に紛れて私たちも声を張り上げた。


私の推しである藤井省吾選手は、私が高校の時に好きだったあの藤井くんで。彼は大学卒業後にプロになったのだ。


いよいよ手の届かない存在になってしまったけれど、でもそのおかげでバスケファンのユリちゃんに「藤井選手が好き」と公言できているわけでもあって。


そこに恋愛としての好きが含まれているかどうかは関係なくて、ただ二人でキャッキャしながらバスケを楽しんでいる。


藤井くんとは連絡が途絶えたわけじゃないけれど、だからといって頻繁に連絡を交わす訳でもなく。


日本に帰ってきてプロになったよという連絡は貰ったし、おめでとうって返事もした。だけど会おうとかそういう話はまったくなくて、今日の試合だって私が勝手に応援に来ているだけで、藤井くんにいちいち連絡したりはしない。


それでいいんだって、思ってる。

私はバスケが好きで、藤井省吾選手を応援していて、彼が活躍する姿を肴にユリちゃんとバスケ談義に花を咲かせながらビールで乾杯する。


藤井くんは同級生で友達。

うん、自慢の友達。

そして私は藤井選手のファン。


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