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過去の鍵  作者: ブルーガソウ
一章
8/14

4月8日 ~そんな様子が可笑しくて、二人で笑った~

 教室の扉を勢いよく開けると、一人で作業をしていた、もう一人の委員長である見波さんがこちらを向いた。

「見波さん、ごめんっ」

 教室に入って謝ると、見波さんは紙数枚を左手に持ち、

「う~ん、折角戻ってくれたんだけど、これを留めたら、もうお終いなんだよね」

 そう言って、右手に持っていたホッチキスで留めた。

「はい、お終い」

 その紙を同じようにホチキスで留めたであろう書類の山に重ね、こちらを見つめる見波さん。そんな彼女を前にして、僕は唖然として何も言う事が出来なかった。

 その後、纏めた紙を職員室に持っていくとの事だったので、僕が全て運んだ。先生からも以後注意するように言われてしまった。

「お疲れ様」

 職員室から出てくると、見波さんが待っていてくれた。

「いや……それより、今日は本当にごめん」

 僕正面で手を合わせ、頭を下げる。

「う~ん……」

 見波さんは何かを考えるように少し唸った後、静かになった。

「クレープっ」

 すると、見波さんは藪から棒にそう口にした。

「一応、戻って来てくれたから、それで許してあげる」

 頭を上げると、

「分かった。それ位なら」

 僕は苦笑して答えた。

「ただし!!以後、気を付けるように!」

 見波さんは少しだけ口調を強く言った。

「はいっ、今後、このような事が無いよう努めます!!」

 それに、僕は軍人のように背筋を伸ばして返す。

「…ふふっ」

「ぷっ、はは…」

 そんな様子が可笑しくて、二人で笑った。

「それじゃあ、行こっか」

「そうだね」

 僕は見波さんと出口に向かって歩き出した。

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