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過去の鍵  作者: ブルーガソウ
一章
10/14

4月8日 ~舞は可愛いな~ ~

 僕を含めた五人は公園に向かって歩いている。玲司、菜々香、天月さんが門に居たのは、僕を待っていたようで、彼等も僕達に同行する事になった。

 現在、見波さんと菜々香が話しながら先頭を歩き、その後ろを天月さん、玲司、僕が三角になって話している。

「はぁ……見波さんと菜々香には要注意だよ……」

 僕は力無く愚痴る。菜々香は先程、見波さんが冗談を言ってる事に気付いていたようだ。彼女がその事実を知った時、僕は体から力が抜けるのを感じた。菜々香は見波さんと共闘して、僕を弄っていたのだ。

「まあ、良いじゃねえか。面白い物が見れたし」

 楽しそうに言う玲司を俺は睨む。だが、彼の視線は俺ではなく、天月さんの方を向いていた。

「……なによ?」

 天月はジト目で玲司を見る。

「いや何、昔の事を思い出してただけだよ」

 そういう玲司は遠い目をしていた。綺麗な過去を見ているような、そんな表情だった。

「何それ?」

 天月さんは合点がいかない様子。

「舞は昔から嫉妬深いなと思って」

 玲司はからかうな笑みを浮かべて言う。

「なっ……」

 舞の表情が一転する。

「恭介が女の子と一定以上仲良くする旅に機嫌を損ねていたからな」

「いつの話をしてるのよっ!」

 玲司の言葉によって、天月さんは狼狽させられた。

「なら、さっきのは何なんだよ?」

 そんな天月さんに玲司は更に追求する。

「さっきのは、ただ……」

「ただ?」

 尻窄まる天月さんに、玲司は相変わらず楽しそうに続きを促す。

「……恭ちゃんの思い出を汚された様な気がして……」

 天月さんは俯いて、ボソボソと言った。

 俺の思い出、か。

 今の会話を聞いていたのか、菜々香が天月さんの後ろに回り、彼女を抱きしめる。

「舞は可愛いな~」

「ちょっとっ、菜々香っ」

 そんな菜々香が煩わしそうに舞は言うが、彼女を振り払おうとはしなかった。本気で嫌がっている様には感じられない。

 前を見れば、そんな様子を見波さんがニヤニヤしながら眺めていた。

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