ダンジョンでのお仕事
「まじっくぶらすと、ふぁいあ!」
かび臭いダンジョンに、ステラの舌足らずな声が響き渡る。
ステラの手のひらから放たれた魔導弾が、薄暗い通路を青白い光で照らし出す。
魔導弾は、回廊の奥にいたスライムに着弾し、その柔らかな体を微塵に四散させた。
スライムを掃討したのを確認すると、ステラは踵を返し、こちらに向かってふよふよと飛んできた。
「ますたー、すらいむたいじ、おわったよ!」
ステラが舌足らずな声で、私に報告する。
「よくやった、ステラ!お仕事ご苦労さん!」
私はステラの帽子を取り、あたまをよしよしと撫でてあげた。
ステラは嬉しそうに目を細めて、されるがままになっている。
「ロボ〜〜!ロボもお仕事終わったロボ〜〜!」
「がう〜〜!」
背後からロボ美とレオナの声が聞こえてきた。
別のルートを巡回していた二人が、一仕事終えてこちらに合流してきたのだ。
「ステラばっかりずるいロボ〜〜!ロボも褒めてほしいロボ〜〜!」
「がう〜ん!」
「よしよし、よくやったわ、二人とも!」
私は相棒たちを抱きしめ、よしよしと彼女たちの健闘を労ってあげた。
「よし、午前中の仕事はこれで終わり。お昼を食べて少し休憩しようか?」
「「「おーー!」」」
元気よく答える相棒たちとともに、遺跡の出口へと向かう。
ドワーフ遺跡の警備を始めて今日で三日目。
今日が依頼の最終日だ。
午後からの巡回を終えれば、依頼は全て完了となる。
幸いというか、今までたいした敵には出会うことなく、仕事を終えることができた。
まぁ、遺跡の第一階層で出会う魔物なんて、スライムやゴブリンみたいな雑魚敵がほとんどなんだけどね。
このまま、無事何事もなく依頼を終えることができればいいけど。
頭の隅でそんなことを考えながら、私たちは出口への道を急いだ。