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旅立ち前夜

遺跡へと旅立つ前夜のことだ。


わたしは下宿先のボロアパートで、人形たちの整備をしていた。

「これから長丁場だから、整備はきちんとやらないとね。」

「ロボボ~―!」

「こら、ロボ美!動かないの!」


わたしは暴れるロボ美を押さえつけ、ボディの汚れを拭き取っていく。

さらに、ロボ美の関節部のボルトの締め付けを確かめ、グリスを塗る。

ロケットパンチの発射機構も確認。これもよし。


「一応、魂石の様子も見ておこうかしら。」

わたしはロボ美の胴体部のカバーを開け、中から赤く光る宝石を取り出した。

天井で明滅するライトに照らし出され、手の中の宝石が怪しく光る。


この宝石こそが、人形たちの心臓部。

彼女たちの魂が封じられた神秘の魔石である。

この石がなければ、人形たちは動くことも考えることもできないのだ。


懐から取り出したルーペを使い、魂石に傷がついていないか確認する。

「うん、傷一つついてない。きれいなものね。」

まぁ、そう簡単に壊れるものでもないけど。


ロボ美の胴体に魂石を戻し、カバーを閉める。

仕上げにボディにワックスを塗り、これでロボ美の整備は完了だ。


「キレイになったロボ~♡」

「ロボ美、ワックス塗ったばかりなんだから、しばらくじっとしてなさい!」


次はレオナの整備だ。

背中のチャックを開いて魂石を取り出し、傷がないか確認する。

これもよし。


腕部の爪伸縮機構のチェック。

これも問題なし。


次にボディに傷やほつれがないか確認。

右足の付け根が少し破れていたので、修繕する。

綿の交換はまだ先でいいだろう。


最後に魂石を戻し、チャックを閉めて終了。

「レオナ、もういいわよ。」

「あぉぉ~~ん。」

レオナは大きなあくびをすると、お気に入りの毛布に潜り込み眠ってしまった。


同じような要領でステラの整備もすませる。

すべての人形の整備が終わった時にはすでに深夜になっていた。


「あ~、疲れた。わたしももう寝ようかな?」

明日の馬車の出発は早い。

夜更かしはやめてもう寝たほうがいいだろう。


「みんなおやすみ。」

「おやすみますたー。」

「おやすみロボ。」

「ZZZZZZZZ」


人形たちに挨拶をすませると、目覚まし時計をセットし、ベッドに潜り込んで目を閉じる。


眠りに落ちながら薄まる意識の中で、明日は大変な一日になりそうだなと、ふと思った。



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