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その日暮らしの日々

そして今に至るというわけだ。


わたしは今、ギルドのソロクエスト専用受付け窓口の長い列に並んでいる。

ここに並んでいるのは全て、様々な理由でパーティーをクビになった冒険者たちだ。

素行の悪かったものもいれば、単純な能力不足のものもいる。


しかし、一番数が多いのはパーティーの人員整理のためにクビになった者たちだという。

どうやら、ギルドの上納金の値上げのあおりを受けたのは、わたしだけではないらしい。


「次の方どうぞ~。」

受付嬢のどこかのんきな声が響く。

やっとわたしの順番がきたらしい。


「クエストの受注ですねー。あら、ドロシーちゃん?」

よく見ると受付嬢はサンディさんだった。


「お久しぶりです。サンディさん。」

「ドロシーちゃん、この前は大変だったわね……。大丈夫だった?」

サンディさんが気の毒そうに声をかける。


「いえ、気にしてないっすよ。団長に拾われる前はもともとソロでやってたし、昔に戻っただけです。」

サンディさんに心配をかけまいと、思わず強がりを言ってしまう。


「そう?それならいいけど、あまり無理しないでね?あ、そうそう、仕事を探してるのよね。」

サンディさんはそういうと、分厚い受注書を開き、パラパラとめくりだした。


「……そうね……。今のドロシーちゃんに紹介できる仕事はこの辺かしら。」

サンディさんはページをめくる手を止め、受注書のあるページを指示した。


「迷いネコの捜索……。薬草の採取……、スライム退治……。」

どれもこれもパッとしない仕事だが、選り好みをしている余裕はない。

この中から少しでも割のいい仕事を見つけなければ。


団長からもらったわずかばかりの退職金は、全てステラやロボ美たちの修繕費に消えてしまった。

人形たちの整備には割と金がかかるのだ。


少しの間、受注書のページをにらんでいると、ある依頼にめがとまった。

「サンディさん、このドワーフの遺跡の警備っていうのは?」

「あぁ、この依頼ね。最近東方のドワーフ遺跡に無許可で侵入して、盗掘する輩がいるそうなのよ。依頼内容は遺跡の大一層で、盗掘者が侵入しないように警備をすること。大学からの依頼ね。」


わたしは依頼内容にざっと目を通した。

期間は三日間。二交代制。警備期間中の食費やその他もろもろの経費は全て大学持ち。

場所もここから近く、賃金も悪くないときている。

遺跡の大一層はモンスターの出現頻度が低く、しかも低レベルな敵しか出ないので危険も少ない。


「いいですね、これにします。」

「わかったわ。それじゃあこの書類にサインして。」


わたしは書類にサインを済ませると、ギルド本部を後にした。

遺跡への出発はあすの午前八時。遅れないように準備しないと。


……この時のわたしは、これから赴く遺跡で、運命を覆すような衝撃的な出会いをするとは、夢にも思ってみなかった。



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