ネコの育て方 ~猫をタネから育てる方法~
ネコを手に入れるには、二つの方法があります。
一つは業者から購入したり、知人に譲ってもらうことです。
もう一つの方法は、自分で種から育てることです。
ここでは、種から育てる方法を紹介しましょう。
ネコの種は、ふつう文房具店で売っています。
品種にもよりますが、だいたいピンポン玉ぐらいの大きさで、
一個ずつ袋に入っています。良い種は重く、光っていて、
袋の上からも分かります。
それができない不透明な袋で売っている店は、避けた方がよいようです。
種を買ってきたら、土を用意します。赤土を1、
黒土(アルカリ土壌)を1、砂を5の割合で混ぜ、
魚肥をひとつかみ加えて、陽あたりのよい場所に盛ってください。
そして、種を手首ぐらいの深さに埋めます。
その上から、よく土を踏み固めると、準備完了です。
水は朝と夕方に、たっぷり与えます。最近の研究では、
かつおダシの味噌汁や、米のとぎ汁を与えると成長が早い、
ということが知られています。魚の骨なども効果があるようです。
気象条件によって多少ずれますが、芽がでるまで四日、
胸のあたりまで伸びるのに二ヶ月です。
そこまで育ったら、そえ木をしてください。
植木屋でネコの樹用のものが売っています。これを、高さに合わせて切り、
赤い線の入っている端を下にして、根もとに埋めればよいのです。
一週間ほどで完全に膠着します。
花が咲き出したら、この時点で間引きをします。
三枚ある花弁のうち、全部が白い花はシロネコ、
二枚白く一枚が黒いか、またはその逆の花はマダラネコ、
三枚全部が黒い花はクロネコです。
また、三枚が三枚とも違う色の花はミケネコ、筋のある花はトラネコです。
好きな種類を欲しいだけ残して、あとは摘み取ります。
これは大変に手間がかかりますが、いわば産児制限ですから、
注意して行ってください。
業者はこの問題を、コードナンバーをコンピュータ処理して、
収穫後に分類することで解決しています。
花は約二週間で実になります。ネコヤナギのような実が、
毛糸で毛糸玉をつるしたようになり、子供の頭ほどになったら収穫です。
玉の部分を持って引っぱると、そのまま抜けます。
時期を間違えると残酷ですので、早めに収穫して、あとはネコ箱で完熟させます。
ネコ箱はぺットショップで売っているのを使うか、
または次のようにして自分で作ります。
まず、実が入るぐらいの空箱を用意します。
下半分に指の太さほどの穴を幾つも開け、乾いた砂を敷き詰めます。
そして、箱の上にガラス板で蓋をします。
実をネコ箱に入れたら、よく陽の当たる所に置き、
日に二~三度ひっくり返して、まんべんなく熟させます。
この時、マッサージを十分にしてやると、毛並みのいいネコになります。
イギリスのことわざにも、「ネコを育てるのに手を惜しむな」
というのがあるくらいです。愛情をこめてマッサージしてください。
同じ樹から育てた実は、一秒と違わずに、いっせいにネコへと変化します。
大きな実も小きな実も、まったく区別なく同時にです。
なぜそうなるのかについては、まだ解明されていません。
東大の猫理学研究所では、何かの精神エネルギーの「場」が存在する、
という仮説を掲げています。
目覚めたネコは、癒着していた手足を伸ばして立ちます。
毛が完全に生えそろうまで、ネコ箱から出さない方がいいでしょう。
一週間ほどはエサを与えてはいけません。初心者がよくやることですが、
エサをやったばっかりに、
毎年たくさんの哀れなネコが死んでいくことを忘れないでください。
こうして育ったネコのうち、十匹に一匹は毛が緑色に変化します。
そうなったネコは、足の部分を土に埋めてやります。
ネコ本体は、二日ほどで四本のネコヤナギとなりますが、そのとき、
二つのネコの眼だけがころげ落ちます。これがネコの種です。
紙に包んで保存しておけば、いつでも使えます。
非常識とも思われる俗説に、ネコの種を千年以上おくと猫目石になる、
というのがありますが、まだ確めた人はいません。
読んでいただきまして、ありがとうございます。