ゲームの始まり
やっと買えたとうとうこの日がきた!
ゲーム屋を出てそう心の中で呟きながら昼間の時間帯で人がいるが家までの帰路を思わずスキップしながら歩きだす。
「あー楽しみだなー。早く家に帰って設定しないとなぁ」
そこまで呟いてふと周囲を見渡してみる。
誰もいない道、車も全く通る気配がない・・
ま、まさかまたか!またなのか、毎度毎度なんでこんな目に合わないといけないのか!
そう心の中で悪態をついた瞬間横の細道からフードを被った男がナイフを向けて走ってくる。「シネェーー!!」 「誰が死ぬかー!」
こちらに向けて一直線で突っ込んでくる男のナイフを半身になって躱すと同時に足払いをかける。
倒れ込んだ男の背中に馬乗りになり両手両足をポケットから出した強化繊維を編み込んだロープで縛り動けなくさせる。
「さてと、・・・あ、もしもし警察ですか?通り魔を捕まえたので連絡しました。
・・あ、はいその通りです。えっと住所は‥」
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ふう、やっと終わった。もうなにも起きないよな? ・・嫌な予感がするしさっさと家に帰るか。
そう考えゲームの入ったバックを小脇に抱えながら走り出す。「はっ、はっ、全くなんで毎度こんな目にあうのかなぁー」
そうボヤきながらこれまでのことを思いだ
す。
俺、鷹田 一樹には昔から付きまとっている体質があった。それは簡単に言うと自分が欲しいものが手に入る度に普通じゃ有り得ないことに巻き込まれる、ということ。
例えば、例をひとつ言うと小学生の時だ。
その時期丁度とあるカードゲームが流行っていた。当然俺も友達と一緒になって遊んでいたある日のこと。店でカードのパックを買った時だ。何気なく買ったパックから幻と言われたカードが入っていたのだ!
そうして喜んで帰った帰り道、突然後ろから車が猛スピードでぶつかってきたのだ!
幸い怪我はなかったのだが、運転していた人は警察から事情聴取をされ免許を剥奪されてしまった。
それ以来様々なことがあった。新作のゲームを買ったらナイフを持った男に脅され、限定の写真集を買ったら、不良グループに絡まれたり、思い出したらきりが無い。
中学生になってからは、自分の身くらいは守れるようにと護身術を習ったりしてた。
そんなこんなでなんとか今日までやってきたわけだ。
って誰に話してんだ俺は。・・ちょうど家に着いたしまぁいいか。
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自室に戻った俺はVRギアに買ってきたソフトをインストールしている間に公式サイトを開き内容をもう一度確認してみる。俺が買ったゲームの名前は『Tribe −Link−Online』種族を繋ぐをコンセプトにしたゲームだ。
プレイヤーは、最初に5つの中から種族を選択する。
人間・森人・土人・獣人そしてランダムだ。
種族にはランクというものが存在する。初期に選ぶ、4種族は全てランク3だ。
だが、ランダムはこの中にはない種族を選べ、運が良ければ最高ランク8の種族になれるがランク1になるもしれないという文字通りのランダムだ。
プレイヤーは存在進化というもので種族のランクを上げることができる。
最大でランク8まで上がり中には一人しかなる事の出来ない種族も存在しする。ランク8種族は存在進化してもランクは変わらないがより上位の種族に進化する。
プレイヤーに設定されているステータスはHP MP STR VIT AGl INT MND DEX LUK の9つでそれぞれ体力 魔力 力 耐久力 素早さ 魔法力 魔防力 器用さ 運となっている。
種族のランクによって最初のボーナスポイントの値が変わる。装備によってはステータスの値が足りてないと装備できないことがあるらしい。
と、再確認している間にインストールが終わったみたいだ。稼働開始は午後からだから、昼飯食べるとするか。
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そしてお昼(今日は焼きそばだった)を食べて
部屋に戻り、ジャージに着替える。
さてと、始めますか。
「ゲーム・コネクト!」
そして、ゲームの世界に入っていった。
一瞬の浮遊感の後、気づけば真っ白な部屋の中にいた。
何処からともなく声が聞こえてきた。
『Tribe−Link−Onlineへようこそ。この場では、プレイヤーである貴女様のアバターを作っていただきます。』
すると、目の前に顔のパーツなどか表示されている画面が表示された。
『まずは貴女様の外見を決めていただきます。自由に作るのといくつかの質問に答えていただきそれを元にして作るセミオートと完全ランダムなオートがありますが、どれにしますか?』
ふむ、これを最初から作るのは骨が折れそうなので、セミオートで作るか。
「セミオートでお願い」
『分かりました。質問は全部で十問です』
『貴女様の性別はどっちですか?』「男性」
『戦闘するなら、近接、遠距離、全て、このうちどのスタイルで戦闘したいですか?』
「ソロでやるつもりなので、全てかな」
『武器は何を使ってみたいですか?』
「一番使ってみたいのは、刀だけど鎌や銃なんかも使ってみたい」
『好きな色はなんでしょう?』
「一番好きな色は青で時点で銀」
『身長が高いのと低いのどっちのほうがいいですか?理由もお答えください』
「低いほう。理由は、身軽に動けると思うし低いと敵の攻撃が当たりにくいと思うから。」まぁそれだけじゃなくて、現実でも背は低いからなんだけど。
『髪型は何が好きですか?』「ショート」
『姿形が、自分と違くても同じ存在だと思いますか?』「思う。どんな姿形だろうと人は人だ。」
『魔法が使えるならどんなことをしてみたいですか?』「味方を助けたり誰かの役に立つ事」
『神様っていると思いますか?』
「いないと否定はできない。自分が知らないだけで実はいるかもしれないって考えてる」
『最後の質問です。貴女様はこの世界で何をしてみたいですか?』「自由に、生きてみたい。何にも縛られず、自らの意思でなにかを掴み取ってみたい。」
『これで質問は終了です。少しの間お待ちください。』
途中途中で変な質問があったがなんとか答えた。神様がいるかってなんだよ・・。
と、終わったみたいだ。
目の前の画面にキャラクターが表示されていく。そこには髪色が、銀髪ショートヘアで、目が青色の顔をした中世の貴族にいそうな少年だった。
・・いや、いくらなんでも幼すぎるだろ、だって見た感じ中学生くらいだぞ!?
現実の俺だってもうちょっと身長あるんだけどなぁ・・。まぁゲームだし、普段できないことをするのもいいよな。
『このアバターで宜しいですか?』「はい」
『では、次に貴女様の種族を決めていただきます。こちらから選んでください』
種族の選択は調べてた通り四つだった。この中でランダムを選ぶ。・・え?なんでだったて?そりゃ高ランクの種族になれるかもしれないとかやるしかないじゃん!
というわけでランダム種族を選択。
『ランダムですね。分かりました。先程の質問も加味してランダム範囲を限定させていただきます』
・・は?質問も加味してって・・・・あのよくわからない質問意味あったのかぁ。
『種族が決まりました。貴女様の種族は、『半神』様々な神の力を持った、神と人との間に生まれた存在です。生まれながらにして浄化の力を持っています。』
半神か。名前からして高ランクなのは確定だな。
『では、次にステータスとスキルを決めていただきます。種族のランクによって割振れるポイントは決まっています。1ポイントでステータスが1上昇します。スキルは5つ決めていだだきます。この場所で5つ取らなくてもあちらに行ったのち、取ってないスキルの数だけ初回は無料です』
じゃ、説明通りにポイントを割り振るか。
ステータスの表示を見てみる。
name:(設定してください)
種族:半神☆8 Lv.1
HP120/120 MP300/300
STR 0 VIT 0 AGl 0 INT 0
MIND 0 DEX 0 LUK 0
種族スキル
聖弾Lv.1 魔弾Lv.1 半神領域Lv.1 神々の祝福
パッシブ
アクティブ
よっしゃ!名前に神って付いてたから、もしかしたらって思ったけど本当にランク8種族が当たるとか思わなかったな。
さて、ポイントの数は250か。多いんだろうな多分。
種族スキルって何だろ?
「種族スキルってなんですか?」
『はい、種族スキルとは各種族固有のスキルとなっています。種族ごとに様々なものがあり、他の種族スキルは使えません』
「なるほど、スキルの詳細はわかるかな?」
『はい、詳細を見たいスキルを長押しすれば表示されます。』
じゃあ早速、まずは『聖弾』から。
『聖弾』・・・自身のHPを5消費して聖属性を持った弾丸を生成する。この弾丸が当たった相手のダメージ分MPを吸収する。一度に生成できる数はスキルレベル×5まで。
もうこの説明だけでわかるよ。チート級じゃん!?消費するHPの量は少ないし、弾丸が当たりさえすれば、MPを回復してくれるし、まさにソロでやるのに都合のいいスキルだ。しかも、このスキルのレベルが上がれば一度に生成できる数は倍になっていくんでしょ?
これは主力になるな。
さて、次は『魔弾』だな。何となく予想はついてるけど・・。
『魔弾』・・・自身のMPを5消費して魔属性を持った弾丸を生成する。この弾丸が当たった相手のダメージ分HPを吸収する。一度に生成できる数はスキルレベル×5まで。
予想通り聖弾のMP消費版だった。基本的に説明はあまり変わらずだな。しかも、明らか聖弾とセットで使うことを目的としてるよな。聖弾で魔弾の生成で消費したMPを回復して、逆に魔弾で聖弾の生成で消費したHPを回復できるという。まさに、チートだな。
最初の二つ調べただけでこの種族のチート具合がわかるんだけど、他のやつはどんな何だろうな。
さてと次は『半神領域』の説明を見るか。
『半神領域』・・・未熟な神である半神が
生まれながらにしてもっている浄化の領域。
自身を中心に半径5メートルの範囲を常に浄化し続ける。このスキル所有者は状態異常が無効化される。スキルレベルが上がるごとにスキルレベル×5メートルの範囲が浄化の領域になる。
これもやっぱりチートスキルだ。まず所有者に対して状態異常を無効化するとかこの時点でチートだな。それに浄化の領域ってことはゲームでよくあるゾンビとかはほぼ特攻とかかかるんじゃないか?
さて、今までのスキルもチートすぎたが最後の一つはどうだろう。
『神々の祝福』・・・まだ未熟な神に授けた神々の祝福。その祝福は存在を押し上げる手助けとなるだろう。
このスキル所有者のステータスの中で最も高いステータスの半分の値を他のステータスに常時加算する。
はい、これが一番のチートです。本当にありがとうございます。このスキルがあるおかげで、ポイントを一つに全部あげられるってことか。
じゃあ早速、ポイントを使うか。うーむ、どの項目を上げるべきか、悩む。一つずつ考えていこう。
まず、STRは力だろ。高いと重いものが持てたり大剣とかの重い武器も持てるよな。あと、物理攻撃の威力が上がるのか。他の項目を上げてったら嫌でも上がるしな。STRは無しで。
次はVITだ。これは耐久力だろ。つまり物理防御力。高いと物理ダメージを軽減しやすい。別に上げなくても問題無いな。VITも無しで。
次はAGlだ。これは素早さ。高いと速く動けたり回避もしやすい。別に上げなくてもいいか。
というか、ここまで考えて思ったけど『神々の祝福』で半分の値がもらえるんだから実感できるステータスの欄は上げなくても大丈夫だよな。
となるとあげるのはDEXかLUK なわけだけど器用さでクリティカルを出しやすくするか、運でドロップ率を上げるか。・・日頃の不運もあるしゲームの中でくらい幸運でいたいから。上げるのはLUK で決定だな。
というわけで、LUK に250ポイントを極振りすると、『神々の祝福』の効果が発揮され、他のステータスに250ポイントの半分、125ポイントが常時加算された。
あとはスキルだけど、まぁとりあえずパッシブスキルから見ていこう。パッシブスキルは『神々の祝福』のような、常時発動型のスキルである。
選べるのは各武器ごとの威力や効果をスキルレベルに応じて上昇させる『〇〇の心得』
戦闘終了時のアイテムドロップ量をスキルレベルに応じて上げる『解体の心得』
フィールドのアイテムを採取、採掘、伐採した時のドロップ量を増やす『生活の心得』
そして、種族レベル上昇時、対応するステータスの値をスキルレベル×1増やすステータス上昇系のスキルだ。それぞれ、
『怪力』『強靭』『俊足』『魔力 』『魔靭』『強器 』『運気』のステータス分存在する。
さてと何を取るかな。『解体の心得』や『生活の心得』も捨てがたいが、ステータスを増やしてくれる上昇系のスキルも捨てがたい。
うーむ、ここはひとつ心得系は後で取るとしてステータス上昇系のスキルを取るか。
となると何を取るかだか、ひとつは『強器』で確定として残りは目をつぶって決めよう。
え、いい加減だって?うっさいわ別にいいだろ。というわけで目をつぶって押した結果、『俊足』『魔靫』『強器』の三つになった。
なぜ三つにしたかというと、アクティブスキルも取っといたほうがいいだろうという考えだ。
アクティブスキルは以下の通り。
まず大体のゲームにある、武器の威力をあげて武技という各武器ごとの専用技を使える
『〇〇術』
自身を中心に半径5メートルの範囲の存在を認識できる『気配感知』
自身を中心に半径5メートルの範囲の魔力を認識できる『魔力感知』
プレイヤーやモンスターのステータスを見たりアイテムの詳細を確認したりできる
『鑑定』
鑑定の劣化版のような性能で名称とレベル、種類、などの簡単情報が分かり情報が簡単な分抵抗され辛い『識別』
鑑定などの効果を同じスキルレベル分弾き、多少ステータスを見た目だけ弄れる『隠蔽』
スキルレベルに応じて自身の存在を認識させづらくする『隠密』
魔力を消費し続けることで一時的にSTR、VIT.AGlを強化する『身体強化』
魔力を消費し続けることで一時的にINT、MNDを強化する『魔力強化』などがある。
ふむ、まぁ『鑑定』は確定だな。相手の情報が見られるのは結構なアドバンテージだし。
となると索敵系の『気配感知』とかにするべきか?いや、せっかくリアルで護身術習ってたんだし、ここは、自分の身を守れるように『体術』にするか。
こうして、決定されたステータスがこちら。
name:アイン
種族:半神☆8Lv.1
HP120/120 MP300/300
STR 0(+125) VIT 0(+125) AGl 0(+125) INT 0(+125)
MIND 0(+125) DEX 0(+125) LUK 0(+125)
種族スキル
聖弾Lv.1 魔弾Lv.1 半神領域Lv.1 神々の祝福
パッシブ
俊足Lv.1 魔靫Lv.1 強器Lv.1
アクティブ
鑑定Lv.1 体術Lv.1
STP:0 SP:0
ちなみにSTPはステータスポイントでSPはスキルポイントの略だ。
『決まりましたね?それではゲームを開始いたします。ようこそTribe−Link−Onlineへ』
そうして俺は光に包まれた。