8 : 魔導書と魔王
建物から人影が出てきた
(早く謝ったほうがいいよね・・・)
アリスはそう思い、建物の方向へ大声で謝った
「あの~!すいませんでした~!!怪我はありませんか!?」
煙が晴れてゆきその人影の姿も見えていく
やがて建物の方から声が聞こえてきた
「危なかった!何してくれてるの??死ぬかと思ったよ!!」
出てきたのは少し煤をかぶっている青い髪で水色の目をしている女の人だった
その人は少しずつアリスたちの方へ近づい行きアリスたちの前で止まった
「本当にごめんなさい!」
アリスたちは一生懸命謝った
「まぁいいわ、許してあげる。」
(こんな小さな子に怒鳴るなんて少し大人気なかったわ)
目の前の女の人はそう思い諦めた顔をしてアリスたちを許した
そして自己紹介を始めた
「私の名前はシーナよ。あなた達は?」
「私はアリス、そしてこっちがクロノスとホープです」
アリスは左右にいるクロノスとホープも紹介した
「これからよろしくね。それでこの攻撃をしたのは誰?」
その質問をされて少し驚いたがクロノスとホープが破壊した理由と誰が破壊したかを説明した
「そんな事があったのね、でもこの結界は人に害のあるものではないわ」
『そうでしたか、結界の効果が分からなかったので破壊してしまいました。すいません』
「もう謝らなくてもいいわ、それよりあなた達は何処から来たのかしら?外の結界は壊されていないようだけど」
「外の結界?」
アリスが疑問に思うとシーナが教えてくれた
「えぇ、ここの土地には誰も入れないように結界を張っておいたのよ」
『外にも結界が張ってあったとは・・・気づきませんでした』
クロノスが少し落ち込んだような感じで言った
『あたし達はテレポートしてここに着いたんだよ!』
「テレポート?それはおかしいわね」
シーナは疑惑の表情をしてそう言った
それに対してクロノスは質問を返す
『おかしい?』
「えぇ、おかしいわ。だってテレポートは人が使える代物ではないのだから・・・」
『私は人ではありませんよ?私はマスターの魔導書です』
『あたしも魔導書だよ~』
「ちなみに私は人です・・・」
クロノスとホープはシーナに魔導書だということを当たり前だというような感じに言った
アリスは小声で自分は人だということを言った
「ありえないわっ!!」
(魔導書があんな威力出せるわけが・・・もしかして?!)
シーナは大きな声で否定した
そしてシーナは言葉を続ける
「いや・・・そんなのありえない・・・」
(オリジナルが存在するなんて・・・でもあの魔力は本物の魔導書・・・・・)
少しばかり沈黙が続きクロノスが発言した
『どういうことですか?』
シーナは冷静になりその質問に答えた
「少し取り乱したわ・・・ごめんなさい。質問の答えだけど魔導書は本来この世界には存在しないわ。だけど数百年前に魔導書が突如として現れたの。
それが起源の魔導書で魔法文明の始まり・・・いいえすべての始まりだった。それを手にした者は強大すぎる力を得て魔王と呼ばれるまでに人々を殺戮し、国は壊滅状態だった。
それに対抗しようと人類は魔導書の力の根源を研究し魔法と言われるものを作り上げ、更には魔導書の複製まで成し遂げたけど複製した魔導書は魔力の質に限界があったの。
でも複製された魔導書を持って歴代の勇者たちは魔王に挑み魔王を封印することに成功した。オリジナルも勇者たちのよって封印されアクリレル王国に保管された。そして月日が流れ今に至るわ。
だからオリジナルの魔導書が今あるなんて信じられなくて」
『そんなことがあったんですか。知りませんでした』
「クロノスちゃんが知らないことなんてあったの!?」
『はい、どうやらここは私のいた世界とは別の平行世界のようです。地形などはほぼ同じなのですが』
『あたしたちのマスターは魔王になんてならないよ!』
『そうです、私達のマスターは魔王になんかなりません!』
シーナの気持ちを察したのかフォローを入れる
「クロノスちゃんとホープのいう通り私は魔王になんてならない!」
「そう、その言葉を聞いて少し安心したわ・・・ありがとう」
シーナがアリスたちの表情を見て安心した様子をしていたが少し悲しいような表情をしていた