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幸せは人を  作者: おぺん
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水滴。

ああああああ

なんだ、なんだったんださっきのは…………!


心臓が爆発するくらいドキドキして。


今まで味わったことのない、この気持ち。



手を合わせられ、自ら引っ張った右手が若干汗ばんでいる。



「……手、洗えない………………」




手を合わせ、引っ張られた左手が若干汗ばんでいる。


『…………………………触れてしまった……』



お互いいろんな気持ちを手に込めたまま、ふわふわした感覚で授業を受ける。




まともに受けられるはずもないけれど。











あの時。


数十人のクラスメイトがいたその中に、

マネージャーがいた。




気づいていたのは恐らく俺だけだった。



あいつは、「みんなに見られたね」と言った。


その、みんな、にマネージャーが入っているのを分かっていての発言なら、あいつは凄いやつだ。



でも長年一緒に居てきて、多分そこまで頭は回ってないはず。



あいつ、馬鹿だから。



俺ずっと見てきたから。



好きになったらとことん。一直線。周りが何も見えない。そんなアイツがそこまでできるはずもない。



と少々言いすぎた。



まぁなんにせよ俺はあいつが好きだし、付き合ってるんだから。俺の彼女だから。

誰にも取られる心配は無いし、取らせない。




………………くっそ、なんでこんなキザなことばっか思いつくんだよ……



先生の指示した教科書のページを開いていないひねくれ者は、やはり考えもひねくれているのか。



授業もそんなに聞く気は無い。

あんま聞かなくてもいつも点数は良い。

あいつよりかは。

……て。さっきからあいつの事しか考えてねぇし。

考えてないと言うよりかは、あいつの事しか考えられない、の方が正しい気がした。



暇だな。


携帯をこっそり開く。


LINEが3件。


なんだよこんな朝から


顔を近づけて見ると、マネージャー2件に。あいつが1件。



『さっきバイバイしたとこなのにもうLINEかよ(笑)』


思わず独り言をつぶやく。


優先的に、彼女のLINEから見たいけれど。


気持ち的には、マネージャーのを見て、可愛い可愛い俺の彼女のLINEを見て終わりたい。


……てか俺、あいつの事好きすぎじゃね……?


とりあえず開く。

まぁ……マネージャーから。


「おはよー!」

「あついね〜」


なんだ、普通じゃん。


既読をつけてトークから出た瞬間、LINEが来た。


「[野球部1年マネ]が写真を送信しました。」


写真……?


とっさに見る。


先生が俺を呼んでいる声がした。


気のせいだ。たぶん。



写真を見ると、俺と彼女が朝していたことを一部始終写真に撮られたものだった。


それも、

15枚も。



怖くなった。


『え……』


思わず声が出た。


そして口元を手の甲でおさえる。

俺の癖だ。





今は夏。真っ盛り。



蝉のうるさい声。



先生の俺を呼ぶ声と蝉の鳴き声の不協和音が俺の耳を襲う。





狂気的な写真の量に、


唾を飲み込んだ。





怖いとか、そんな。


…………そんな……


汗が出てきた。



……夏のせい。と思いたい。



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