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種族:木 職業:ダンジョンマスター  作者: そてつ
第0章 ハローワールド
4/24

身を守る方法について検討する

授業中、せっせと板書する教師の後ろ姿をボーッと眺めながら、創馬はよく妄想をしていた。


もしも急にテロリストが乱入してきたら。


もしもクラスメイトに心を覗く能力持ってるやつがいたら。


もしも宝くじで100万円手に入れたら。


もしも魔法が使えたら。


そんな夢物語でしかなかった妄想が今目の前にある。


魔法スキル Lv.1。


先ほどDPを消費して手に入れたそれらのスキルによって自分は魔法が使えるようになったはずだ。


五感と引き換えと考えると少々割に合わない気もするが、創馬はせっかく異世界に来たのだから、前の世界じゃ見たこともないモンスターを派手な魔法でぶっ倒したりしてみたいと夢想していた。


また、HPがめちゃくちゃ低い上に身動き一つ取れない現状に危機感を覚えてもいた。


バッタか何かにむしゃむしゃと食べられてそのまま死ぬということもありえるのだ。


そもそもこの巣に住むアリが自分に害をなす可能性だってなくはない。


前世じゃあ植物の葉を肥料にしてきのこを育てるアリなんてのもいたはずだ。


ある理由により、創馬はここに住むアリが草食性である可能性はほぼないだろうとみていたが、それでも外敵への対抗策が何もないのではこれから先長くはやっていけないだろうという見込みから魔法への期待は高まっていた。


意識を身体に向けるとぬるい湯のように柔らかで暖かな、それでいてなんとなく心地よい存在が自分を覆っているのが感じられる。


おそらくこれが魔力というもので、これを操ることで魔法の使用が可能となるのだろう。


(とりあえずスライムくらいは一撃で倒せるレベルだといいな。)


創馬が自分の身体をつつむ魔力に意識を集中させると、身の回りの魔力が少し濃くなったように感じられた。


そして、意識を身体の一部に向けると魔力は一箇所に集まっていき、しばらくするとその箇所を中心として球状に広がった。


意識をさらに身体の狭い範囲へと向ける。


すると、球状だった魔力は少しずつ径を縮め、それに反比例するようにどんどんと濃く、力強くなっていった。


そのまま魔力が水に変化するようイメージしてみる。


が、何も起こらない。


(・・・あれ?おかしいな。覚えた魔法の中で水が一番イメージしやすいと思ったのに。)


続いて、土や光に変わる様子もイメージしてみるも、先ほどと同様に何も起こらない。


(うーん、わかんねぇな。詠唱が必要とか言われるとどうしようもないぞ。ヘルプ先生に聞いてみるか。ヘルプ先生、土魔法について教えて。)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

土魔法


【意味】

土を操る魔法。

Lv.1:土の感知が可能となる。

Lv.2以降:閲覧権限がありません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(うわしょぼ・・・。ってかまさか・・・ヘルプさん、水魔法って何?)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

水魔法


【意味】

水を操る魔法。

Lv.1:水の感知が可能となる。

Lv.2以降:閲覧権限がありません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(やっぱり・・・。光魔法は?・・・クソ!!これも感知しかできねーのかよ!!・・・あーなるほどなるほど、魔力に集中したら身体の周りになんかあるわ。これが土ってわけね。あー、あと身体の中にもなんか流れてるな。はいはい、ってことはこっちは水と・・・はぁ。期待外れにもほどがあるわ・・・。)


創馬はない頭をかかえしばし呆然としていたが、すぐに気をとりなおして現状把握に努める。


(はぁ・・・まあ、魔法はあてが外れたわけだし、なんか他に身を守る方法を探さないとな。ヘルプ先生に聞いてスキルの内容の確認でもしてみるか。魔法みたいに思ってたのと違うやつとかもありそうだしな。)


………

……



(うん、やっぱ今一番使えそうなのはこれだろうな。)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

眷属化


【意味】

対象と代償を指定して、指定した対象を眷属とするスキル。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(他にも魂再生とか気になるスキルはあったけど、自衛手段に使えそうなのってなるとこれしかなさそうだ。)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

眷属


【意味】

上位存在が使役する生物、及び無生物。下僕、配下、神使など。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(うまくいけば、これで攻撃・防御手段が手に入るかもしれない。狙いはアリだな。さっきのアリマキの説明を見た感じだと交渉の可能性アリと見た。)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

スアナアリマキ


【意味】

アリの巣に住む昆虫。アリマキの一種。植物から樹液を吸い、甘い蜜を排出する。蜜を対価にアリから安全な住処を得る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(つまり、アリどもは甘い蜜さえもらえれば警護をするのもやぶさかではないわけだ。)


ちなみに創馬が巣のアリが草食ではないと判断した根拠も、アリに身の安全を守られて生きるこのアリマキの存在にあった。


アリマキを狙う他の肉食の虫がアリの攻撃対象であるということは、ここに住むアリはそういった虫を捕食する肉食のものだろうと踏んだのである。


(そして、さっき確認したスキル、合成だ。)


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合成


【意味】

2つ以上のものを材料として、新たなものを生み出すスキル。

Lv.1:光エネルギーを用いて、二酸化炭素と水から糖を合成する。(種族固有)

Lv.2:体内の物質を合成し、特定の化合物を生成する。

[化合物:カテキン、テアニン、カフェイン]

Lv.3以降:閲覧権限がありません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(単なる光合成のような気もするが、どうやらおれは糖を作り出せるらしい。二酸化炭素はどうにでもなるし、土の中に水分もあるみたいだから、残る問題は光なんだけど・・・)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

光魔法


【意味】

光を操る魔法。

Lv.1:光の感知が可能となる。

Lv.2以降:閲覧権限がありません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(この役に立たないと思われた魔法のおかげで、さっそく光源を見つけることができた。というか自分の体内にあった。どういうわけか幹の間に淡く光る球状の鉱物があるらしい。実はおれは変わった種類の木だったりするのかもしれない。)


ちなみに、その光る鉱物は謎の声に言われるままに吸収したダンジョンコアであり、別に変わった木だとかそういうことでは一切ない。


創馬がいったいどんな種類の木なのかという問題は先ほどの合成の説明にヒントがあったのだがそれはまた別のお話。


(まあ、なにはともあれ、これで材料は揃ったわけだし、糖を作っていきますか。)


そうして糖の合成を始めた相馬だったが、ダンジョンコアの放つ弱々しい光では得られるエネルギーは少なく、やっとの事で1匹のアリを眷属にしたのはそれから8時間経った後のことだった。

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