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種族:木 職業:ダンジョンマスター  作者: そてつ
第2章 勇者とエルフ
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作戦開始

「どうせなんもないわよこんなとこ。さっさと帰りましょ。」


こんなことに時間を使うくらいなら、私はもっと魔法の練習がしたいのだ。


「そんなわけにはいかないよ。これは僕らが任された初めての仕事なんだ。万一何かあったらどうするのさ。それに、人族が隠れて開拓を進めてるかもしれないよ。」


またこいつはトンチンカンなことを言って。

何かにつけて人族を引き合いに出して何をそんなに恐れているんだ。


「バカねえあんたは、あいつらの集落はこことは正反対じゃない。なんのためにわざわざこんなとこで開拓なんかするのよ。」


「そ、そうだけど・・・でも、長老様は精霊たちざわついてるって言ってた。きっと何かあったんだよ。」


「なによ、精霊が騒いでるのなんていつものことじゃない。」


それに、いつもお堂に篭っている年寄り連中が誰よりも早く外の異変に気付くなんて、私には信じられなかった。


「もう、そんなこと言って。」


「あら、コパルのくせに私に口ごたえするっていうの?子分のくせに生意気よ。」


「なんだよー子分って、プリムラが勝手に言ってるだけじゃないか。」


「それ毎回言う気?あんたは私の言うことを聞いとけばいいの。今回の任務だってどうせ村の年寄りたちが私たちが仕事に慣れるようにって気をまわしたのよ。」


森に異変があったというのだって本当かわからない。

まだ若い私たちに仕事を経験させるためにそう言ってるだけという可能性すらある。


「とにかく!途中で調査をやめるなんてのは無しだよ!!もしかしたら森に異変が起きてるかもしれないんだ!・・・それに2人きりで森を歩くなんて滅多にないし、もうちょっといたいなぁ、なんて。」


「なによもう、急に大きな声出して。」


それに途中から声が小さくなってよく聞こえなかったし。

こういうところがナヨナヨしてて頼りないのよね。

あーあ、唯一の同年代の男の子がこんなやつなんてなぁ。


そんなことを考えていると、目の端にいつもは見ない変わったものを見つけた。


森の地面はどこも草で覆われているのに、そこだけは草が生えていない箇所が線のように続いていたのだ。


獣道ともまた違う。

なぜならその道の周りでは草が枯れているようなのだ。


「はぁ、今回だけはあんたの言ってたことの方が正しかったみたいね。悔しいけど。」


「えっ・・・それってもしかしてプリムラも・・・?」


そう、この線を辿った先では何か異変が起きているかもしれないのだ。

・・・というかこいつは何を勘違いしているんだ?

はぁ、全くもう。

もっと頼りになるかっこいい男の子がよかったなぁ。




▼ 【創馬視点】 ▼




戻ってきたアリカの後方には、体調2m程もある巨大なオークが迫っていた。

スキル【フェロモン】の効果には、動物を引き連れる能力があるらしい。


(餌ガ来タゾ、殺セ。)


主人に向かって命令形で指図するのには少し納得がいかない部分があるが、低級霊の知能ではこれが限界らしい。


近づいたオークの足元にスライムと一体化した樹液を触れさせた後、毛をつたって樹液を上へ上へと登っていく。

それが口元まで届くとオークは急に暴れ出すが、その手が届くにはまだ少し距離があった。

しばらくするとオークはパタリと動きを止め、物言わぬ屍となる。


創馬の周りに折り重なる獣の死体はまた一つ増えた。

辺りに転がる大小様々な死体の数は50を超えていたが、それでもなお創馬たちが描いた戦略を実現するには足らず、もっとたくさんの死体を生み出す必要がありそうだった。


………

……


(モウ一度国ヲ作ルタメニ、オ前は何ヲスルノダ?)


(お前って、仮にも主人だろ・・・。まぁいい、どうするかな。卵を産めるようにするったって手がかりはなんもないし・・・。)


(・・・契約ヲ破ルノカ?)


(待て待て待て!!えーと、そうだな。霊になったお前がもう一度卵を産む体を手に入れる方法。死者蘇生。憑依して体を奪う?あと転生もそうっちゃそうだな。)


アリカのプレッシャーを感じる中、創馬は必死で考えをめぐらす。

視界には、考える際のお決まりとでも言うようにステータスが広がっている。


(何ヲブツブツ言ッテル。死霊魔法ヲ使エバ、マタ国ヲ作レルと言ッテタデハナイカ。)


契約の時に苦し紛れに言ったことを、アリカはどうやら覚えていたらしい。


(でも、そうだな。死霊魔法のレベルが上がればアリカを他の生き物に憑依させることができるかもしれない。それで完全に体を奪うことができればアリカが卵を産める体を手に入れるって契約の条件は満たされるはずだ。)


他の生き物の体を奪うというそれなりに倫理的に問題がありそうな作戦だが、アリカに体を与えるということは相手は虫となるはずである。

自分とは別種の生き物であれば、必要なら殺しても問題はないか、と創馬はぼんやりと考えていた。

創馬の体は今は木であり、もはや人間ではなくなったのだが。


(ソウカ!デハ、死霊魔法のレベルトヤラヲ早ク上ゲロ!)


(いや、上げろって言われて上がるものでもないんだけど・・・)


と言いつつも創馬にはスキルのレベルを上げる方法に心当たりがあった。


ステータスを見ていて気がついた変化。

スライムを倒す前はLv.1だったはずの【MP回復】のレベルが今は2に上がっていたのだ。

どうやらモンスターを倒してレベルを上げるとスキルのレベルも上がることがあるらしい。


(よし!それじゃあこの森にいる動物を狩ってレベル上げをしよう!!)


これが、数週間ほどかけて創馬たちが獣の死体を積み上げた理由であり、作戦の内容だった。

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