気づいたら木になっていたようです
(まてよ・・・あの変な声・・・なんかいろいろ言ってたな・・・。ステータスとヘルプだったか?いやなんだよステータスって!?)
そう毒づくと、真っ黒だった視界にウインドウが現れた。
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ステータス(スキル)
【意味】
自分及び魂のつながりを持つもののステータスを見ることができるスキル。
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(うぉっ・・・なんだよこれ・・・、視界にウインドウが出るとかありえんだろ・・・まぁ実際ありえてるわけだけど・・・。どうも◯◯って何?って感じで疑問を思い浮かべたらその説明のウインドウが開くみたいだな・・・。これがヘルプってやつか。すげーな。さっきなんでこうなったのかやら考えててもウインドウが出なかったあたり、固有名詞についての質問じゃないと答えてくれないのか?まあ辞書みたいなもんだな。このステータスっていうのもウインドウで見れるのか?・・・おっ開いた!!)
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ステータス
【基本情報】
名前:御神苗 創馬
種族:木(転生者、異世界出身者)
職業:ダンジョンマスター
【パラメータ】
レベル:1(Exp:0/25)
HP:2/6
MP:452/452
攻撃力:0
防御力:1
魔力:42
耐性:2
敏捷:0
知能:51
DP:100000004
【スキル】
吸収ex Lv.3、合成 Lv.2、成長 Lv.1
【祝福】
魂再生 Lv.MAX、ステータス、ヘルプ、異世界言語
【DMスキル】
眷属化
【眷属】
スアナアリマキ
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(いやゲームかよ!!種族:木ってなんだよ!!うわっウインドウまた変わった!!くそっツッコミが追いつかねえ!!)
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木
【意味】
植物のうち、茎の表面を固い皮で覆うことで自身の支持を可能にした種の総称。一生成長を続け、自重で崩壊することもないため大型の個体が多い。
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(いや木は知ってるよ!!そういう意味じゃねーよ!!このステータスっておれのじゃねーのかよ!?・・・いや、まてよ・・・ヘルプさん、かっこにある<<転生者>>ってなんでしょうか?)
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転生者
【意味】
転生した者の意。主に前世の記憶を有したまま生まれ変わった者を指す。
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(え・・・マジ?・・・おれ死んだ・・・?)
ステータスを見た創馬は、自分が木であり、加えて転生者かつ異世界出身者であるという情報から、自分の身に起きたことを理解した。
すなわち、人間であった自分はすでに死んでいるということを。
しかし、 それに対するショックはそれほど大きくはなかった。
なにせ意識ははっきりしているのだ。
それまで深く考えたことなどなかったが、人間であった頃の創馬が漠然と感じていた死への恐怖というのは自分という存在が消えて無くなることに対する恐怖であったらしい。
虚無の世界に1人取り残されたことに対する不安はあったが、自分の死自体は簡単に受け入れてしまった。
また、家族や友人と二度と会えないかもしれないということに関しては驚くほどドライであった。
肉体が木に変化したためかそれとも死を経たことによるものか、人間であった頃の創馬の性格を考えると信じられないほどの変化であるのだが、創馬自身はその変化に気づくこともさえなかった。
(まぁでも・・・せっかく異世界だっていうんだし、どんな世界なのか見てみたいよな・・・)
とはいえ、人間としての記憶を持つ創馬は、人間と同様の思考形態を有していた。
木であれば持っていなくて当然の五感だが、元が人間である創馬にとってそれがないのは死活問題であるように感じられたし、ゲーム好きの男子なら当然持っていてもおかしくない程度のファンタジー世界に対する憧れも変わらず残っていた。
(ともあれ現状を確かめられる情報はステータスしかないわけだし、まずはこの内容を確認していくか。)
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ダンジョンマスター
【意味】
ダンジョンを運営する能力を持つものを表すジョブ。ダンジョンコアを有するもののみがなることができる。
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(まず気になるワードはこれだよな。異世界に来てさっそくこんな男心をくすぐる職業についてしまったか。この説明を読む限り、おれはいつの間にかダンジョンコアを持ってたってことだよな。もしかしたらおれの種族の木ってやつもただの木じゃなくてダンジョンコアを有する特殊な木だったのかもしれない。ユグドラシルとか神話に出てくるような木だったりして・・・)
否、実際のところは創馬は正真正銘のただの木であった。
そのダンジョンコアも、召喚によって創馬を殺してしまった馬鹿な神が責任逃れのためにせめて転生直後に死ぬことがないようにと吸収させたビー玉サイズのものである。
(そんでもってなんだこのパラメータは、魔法系に偏り過ぎだろ!!HP6で防御1とか、スライムの攻撃で即死するわ!!)
また、魔力と真理の結晶であるダンジョンコアを吸収したことによって創馬のパラメータは大幅に上昇していた。魔法系の能力に偏っているのはそのためである。本来であればALL能力1桁で、ろくに思考する能力も持ち合わせていなかったはずだった。
(あとなんなんだDPって!?他のに比べて数がでかすぎんだろ!!)
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DP
【意味】
ダンジョンポイントの略。ダンジョンコアの有するエネルギー。これを用いることでダンジョンマスターの力を行使することができる。
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(っおお!!なんだかわからんが1億もありゃそれなりにいろいろできそうだ!!なにがなにやら一向にわからんがいっちょダンジョンマスターの力ってやつを行使してみますか。DPの使用 DPの使用 DPの使用っと・・・)
そう念じると、また新たなウインドウが開かれた。
創馬はパラメータを確認するという当初の予定を放棄して、突然解放された厨二的な力をさっそく試してみることにした。