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UFO? 異世界? 何それ? 美味しいの?  作者: 豊臣 鎌足
第二章 男爵領開拓編 ダッシュ開拓領地
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ダッシュ! 開拓物語 王宮編その3 お茶会バトル

一条が公爵邸で昼食会にて公爵以下の派閥貴族相手に交渉という名のバトルをした後に、公爵息女のリミア嬢に休憩室にて地域情報の講義という名のお見合いをしたのち、今度はディーが公爵夫人とお茶会バトルの番である。


「あなたがディードリット嬢さんね!

やっぱり私の見立て通りかわいらしいお嬢さんね!ドレスがよく似合うわ!」


公爵夫人は両手を顔の前で合掌すると明るい笑顔でディーに話しかける。


「公爵夫人。お初にお目にかかります。冒険者のディードリットと申し上げます。

ディーとお呼びください。

それと、このドレス等賜りましてありがとうございました。

とても気に入りました」

とディーもはにかみながら笑顔で返す。


「自己紹介が遅れたわね!私はナディア。ナディア・ミルドガルド公爵夫人よ。ナディアと呼んでね!

で、私の右にいるのは娘のリミア。左手はミリー男爵夫人よ」


「マイケル・ウェイスター男爵が妻のミリーウェイスターです。

以後お見知りおきくださいね」


一条も自己紹介をしたのち、とりあえずなごやかに午後のお茶会が始まる。


さしあたりの話題が、冒険者の冒険譚や連れていたフェンリルを飼う羽目になった話等、特にリミアが目を輝かせて話題に食いついた。



「それで、イチジョウ男爵は領地をこの先どうする積もりかしら?」

と、ナディア夫人が今の王都一番の話題性のある話なのよ?と聞いてくる。



「実際の話、代官を務めているとかいう王女には同情しますね。

たぶん、一連の騒動の責任を取らされての懲罰の島流しとしか思えないですよ?」

とイチジョウは答え、開発の難しさを説き資金不足と、とんでもなく便の悪い領地を与えられる恐れがあることを告げる。


「とりあえず、明日中に一度上から予定地を見て今後を考えることになると思います。

で、申し訳ありませんがナディア様に御願いがございます」


「上から領地を見る方法も興味があるけど、とりあえず頼みとやらを聞きましょうか」


イチジョウはナディアに人伝に聞いた領地を土魔法で模型を作って今後の開発構想を説明する。

具体性はないが、領主館の位置と川の調整池の構想である。


「とにかく当面の食料と、冬の保存食を確保しなくてはなりませんから早急に水の確保が急務になります。

たぶん、王女は領主館と街道の整備に気が向いていて、精神的に辛いと思います。

そこで、明日彼女らを現地から連れだそうと思いますので当面の間彼女らの面倒を見て頂いてもらえると助かります」



「確かに王女に同情はするけれど、王女を保護して私達にどういうメリットが?」


イチジョウはこのお茶会の最大の山場の交渉場面で緊張する。

ここで失敗してもイチジョウ的には大してダメージはないが、王女の精神的健康状態はこの先の男爵当主としての活動において、疑問符がつけられることは避けたかった。


そこでイチジョウは、大量物資輸送手段として鐵道馬車の構想を打ち明ける。

で、その建設資財、特にレールと車輪の製造法の伝授を公爵の派閥の鍛治師に行うことを提案する。


ナディア夫人は、手にした扇子を口元に広げ暫し無表情をすると

イチジョウに王女の滞在を引き受ける旨を伝える。



「ところでうちのリミア、貴方はどう思う?」


質問の意図を図りかねてイチジョウは黙っている。


「警戒しないでちょうだい。

確かに貴方の言いたい事は承知しているわ。当面どころか、一生収益が上がらず社交界から忘れ去られる。

そんな生活は私達も娘にさせたくないわ。

でもね、私達は貴方達もそんな生活はさせたくないの。王家がどう思うと関係無く、来訪者である貴方にそんな生活させたと成れば他の来訪者からは、私達の国に定住してもらえなくなる。

まして、私達の世界の住人の常識が疑われるわ。そんなことは私は断じて許さない。

だからこそ王女の件も引き受けたの。ただし、王女をそれなりに保護するには何かとね。

だから見返りを求めたの。

たぶん、王家との謁見で王女との結婚話も正式に伝えられると思うわ。

そうなれば貴方が懸念した王女の状態も気になるのは理解出来るわ。

援助するためにも大儀がいるの。娘の事も真剣に考えてちょうだいね!」



そういわれて一条はしぶしぶ納得するしかなかった。

確かに持ち合わせの資金力では、一条とディー、フェンリルと暮らす分には問題がないけど、男爵領を開発して王女と公爵令嬢の面倒を見ると成れば、文無し同然な現状は火を見るより明らかだった。



まんまと公爵夫婦の罠に嵌められて敗北した気分でイチジョウは了承する。

ディーも不快感を露にするも、現状最悪なのは分かっていたし、何より求婚されたもののその事実をまだ公表していない。

どうする事も出来ないのであるので黙っているしかなかった。


とりあえずイチジョウは明日領地の偵察をするので、リミア嬢に現状を見てもらい決めてもらうとして、時間と場所を指定して来てもらう様に告げて帰ろうとする。



しかし公爵夫人は、宿屋の惨状から戻ることは好ましくないとして、離れのゲストハウスに宿泊する様に告げ、リミアもそちらに行くよう言いつける。


この後の街に出るとかは公爵の騎士団の護衛つきで自由自在にしてかまわないとのことだったので、やむなく公爵の世話になることにしたイチジョウ一行だった。


確かにあの騒動の宿屋には帰りたくなかった、イチジョウとディーである。

結局、お茶会バトルはイチジョウの全敗でしたね。

元の世界の技術情報を提供させられ、嫁さん押し付けられ。

昼食会では割りと、煙に巻けた感があっただけに敗北感がひとしおでしたね。


因みに鐵道馬車。実在する鐵道の種類です。

鐵道の歴史上、ヨーロッパから東京に蒸気機関と共に輸入された感がありますが、東京近郊では、蒸気機関の前に鐵道馬車が同時期に導入されていました。


当時、蒸気機関は高価、最先端技術であったのと、収益力からみて近距離路線には鐵道レールの上を馬車が走るというちょっと変わった風景が見られたようです。



以前、5分間アニメで話題になった、山のススメとかいうアニメの舞台になった埼玉県飯能市。

珍しい登山アニメということで昨年夏休みに泊まり掛けで舞台となった飯能市に訪れた際、地元商店街の古い店舗の前にありました、小さな文化財案内板に当時の鐵道馬車の写真が掲示されていました。

ちょうどその店舗前が駅停留場だったそうで。

ひょっとしたらその鐵道馬車の会社が、今のプロ野球球団をも抱える程の一流企業の西武鐵道の原点かもしれないと思ったことをプロットを考えていた時に思い出しました。


ということで、蒸気機関を出さなくてもとりあえず高速大量輸送手段として使えそうなので出して見ました。


次回、男爵領を航空視察して現地にいる王女とリミア嬢の事実上の正妻の座をかけたバトルの予定です。

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