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初日・探索(になるはずだった)

全部ダイスの女神が悪い。

≪さて、方針は定まったわけだが……貴様がこれから最優先ですべき事は大まかには三つほどある≫

「……」


 三つの選択肢。

 どれを最初に選んでもいいが、どれも最終的には全て達成する必要があると、ディスコードは語る。

 その三つとは――


 1.まずはレベルを上げろ!(戦闘メイン)

 2.魔術を磨け!(修行・勉強メイン)

 3.探索して装備を整えろ!(探索メイン)


 【ダイス判定。1D3――結果【3】


「…………」


 ”あなた”が選んだのは、探索だ。

 この【屑籠】には道中でも見たように様々な魔法具が捨てられ放置されている。

 中にはまだ使えるものや、再利用可能なものもあるに違いない。


≪なるほど。まあ確かに今の貴様の格好では虫相手にすらダメージを受けかねんしな≫

「……」


 ディスコードの言葉を受けて、改めて纏ったボロ布を再確認する。

 マジックイーターとの戦闘でもともと痛んでいたものが更に傷ついているように感じる。最もゴミ寸前からゴミに変わるかどうか程度の違いではあるが。


≪では早速探索に向かうとしようか。今ならば他の虫共も湧いてはきまい。今日中にある程度の体裁は整えておきたいところだが、まあそれは貴様の運しだいだな≫


 もし運が良ければ、強力な魔法具が手に入るかもしれない。

 そうでなくとも、現状”あなた”自身の能力が低いうちは装備品がこの先の命運を分けることとなるだろう。

 ”あなた”はディスコードを手に、再び暗闇の広がる屑籠へと歩を進めることにした。




--【魔導師の屑籠 第418F】


 本当に果てがあるのかさえ分からない暗闇の中。

 ”あなた”はどこから探索すべきなのか、その場に立ち尽くし考えていた。


≪正直なところ我にもこの最下層にどの程度の品が落ちているのかは知らん。真に強力な品……我と同クラスの魔法具は上層へ向かったであろうし、あるとすれば精々一般的な魔術用品くらいだとは思うのだが……≫

「……」


 ディスコードに灯された明かりを頼りにまずは拠点周辺を探るべきだろうか?


≪あるいは直感を信じるのも時には良いかもしれんぞ? 魔術師にとって目に見えぬ存在を感じ取る能力は必須だからな≫


 ディスコードの言葉を信じて己の直感に従ってみるべきか?


「…………」


 1.とりあえず拠点周りを探索(レア度最高で中、確定でアイテム発見)

 2.師匠を信じて直感頼り(レア度最高で大、確立でアイテム発見)

 3.第三の選択肢!(レア度最高で???、底確立でアイテム発見)


【ダイス判定。1D3――結果【3】】


「……」

≪……おい、どうした弟子? なぜ、我を地面に立てた? そしてなぜ揺らす? 倒れるぞ? 倒れちゃうぞ我? おい……≫


 ”あなた”は確実さを、そして師匠の助言すらも投げ捨てる第三の選択肢を選んだ。

 ディスコードを地面に突き刺し、軽く揺らす。

 ゆらゆらと、ぐらつく程度に。

 放っておけば、自然に倒れるように。


≪これはあれか? 枝を地面に立て転んだ方向に進むとかいう、山中なら確実に遭難するであろう優柔不断の極みを体現する、あれだ――――おい聞けよッ!?≫

「…………」


 早く倒れろと言わんばかりに”あなた”はディスコードを激しく揺らす。

 倒れた先が示したのは――――


 1.拠点

 2.マジックイーターの死骸

 3.奈落の果て


【ダイス判定。1D3――結果【1】】


≪…………≫

「…………」


 ディスコードが倒れた先は、ほんの数分前に出たばかりの拠点。

 これはどういう事なのか……。

 ”あなた”は頭を傾げると同時に閃いた。これは初心に帰れということではないか、と。


≪一応、聞いておくが馬鹿弟子よ……それはどういう意味だ?≫


 ”あなた”は得意げに頷いた。

 初心に帰れ=拠点の時の事を思い出せ=装備も自分で作れ、という事ではないかと。


「……」

≪そうか……まあ、やってみろ≫


 さあ、再び工作の時間だ。

 拠点すらも己の力で組み上げたのだ、きっと何でも作れるはずだ。

 ひたすらに根拠のない自信で”あなた”の胸は一杯だ。

 では――――始めよう。





 材料となるのは当然のようにマジックイーターの残骸。それに加えてそこらに落ちていたゴミ。

 ”あなた”の工作技術は未熟だが、拠点造りで軽いコツは手にしている。

 いま”あなた”に必要なのは、技術を凌駕する情熱と感性、そして運だけだ。


「…………!」


【ダイス判定。数字が高いほど多く作れる。2~9=1、10~39=2、40~59=3、60~89=4、90~99=5】

【【サバイバル技術LV1】でダイス結果+2、【工作技術Lv1】でダイス結果+5。1D100――結果【8+7=15】、2つ】


【ダイス判定。どれが出来る? 2~9=頭、10~39=腕、40~59=胴体、60~89=足、90~99=装飾品】

【1D100――結果【84】足装備】【1D100――結果【99】装飾品】


【ダイス判定。数字が高いほど高性能】

【足装備。【サバイバル技術Lv1】でダイス結果+2、【工作技術Lv1】でダイス結果+5。1D100――結果【99+7=106】!?】

【装飾品。。【サバイバル技術Lv1】でダイス結果+2、【工作技術Lv1】でダイス結果+5。1D100――結果【36+7=43】普通】


「…………ッ!!」


 来ている。

 そう、波が。ビッグウェーブだ。

 加えて追い風も吹いている気がする。これは凄い大嵐のようだ。


≪おいおい……≫


 ”あなた”はただひたすらに熱中するあまりに気が付いていない。

 その全身から魔力が溢れだしている事に。

 溢れ出た魔力は、その手で生み出されようとしている物品へ。


 ”あなた”は知らない事だろう。

 だがディスコードならば理解できる。それが魔法具を作る基本技術であり奥義である事を。

 未熟な弟子が無意識に起こすその奇跡を見つめ、ディスコードは独り呟いた。


≪……もうやだこの弟子≫

「……」


 あ、ついでに余った素材で装飾品も作りました。




【”あなた”は足装備【妖蟲の霊靴】を手に入れた!】

【”あなた”は装飾品【蟲の首飾り】を手に入れた!】


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