初日=拠点造り(蟲)
なんだこの主人公……(どん引き)
≪――――物語が紡がれる云々とは言ったが、実際問題どう行動すれば良いか、聞きたいか?≫
唐突にメタな話を振られる”あなた”
まあ現状はつい先程までよりはマシではあるが、まだこの暗い闇の底でどうすれば良いのか、その検討はついていない。
ここは素直にディスコードに教えてもらうべきだろうか?
1.教えてししょー
2.自分なりに頑張るよししょー
【ダイス判定。1D2――結果【2】】
……いや、最初から頼り過ぎるのは嫌だ。
”あなた”はディスコードからの教えを断り、まず自分の頭で現状を打破する事を決めた。
「…………」
≪一応まだチュートリアルなんだが……まあ、自分で考える事は大事だよな、うん≫
5話が始まってまだ300文字程度だが、ディスコードの声には疲労が混じっている。
ダイス結果もとい”あなた”の意志を尊重しているのだと前向きに考えよう。
では、まずどう動くか――――
1.まずは辺りを探索してみよう!(探索スキル経験値+、アイテム入手)
2.まずは拠点の確保だ!(拠点の開発)
3.まずはこの場所について聞いてみる!(ディスコードから情報収集)
【ダイス判定。1D3――結果【2】】
まずは地盤を固めるのが先決だ。
先の怪物たちの同類があれで全部とは思えない。そんな状況である以上は、まず入念な準備が必要となるだろう。その為には、安全に休める場所つまりは拠点が必要だ。
≪まあ、無難だな。ぶっちゃけ探索は後から嫌でもする事になるし、情報は拠点を作ってから話しても良いだろう≫
「……」
ディスコードからのお墨付きを貰った。
では、拠点とする場所はどうするべきか? そしてどう拠点を作るのか?
1.魔術を使って拠点作れない?(魔術系。新規スキル取得)
2.ここをキャンプ地とする! (野宿だよ。新規スキル取得なし)
3.ここに怪物たちの残骸があるやろ?(建築。新規スキル取得)
【ダイス判定。1D3――結果【3】】
”あなた”はふとあの怪物たちの残骸に目をやった。
近寄りそのヌメヌメした表皮を手にし、その手触りや堅さを確認してみる。
これは――――いける。
≪待て待て。虫共の死骸をどうするつもりだ……まさか貴様……≫
「…………ッ」
”あなた”は手あたり次第に怪物たちの残骸を集め、それを【風刃】で器用に解体し、組み合わせていく。
ディスコードから得た知識の中には魔術以外にも様々な情報が存在しているが、比較的簡単な構造の、それこそ”かまくら”とか言う形の奴なら現状でも何とか作れるかもしれない。
もちろんただ組み合わせただけではすぐ崩れるだろう。同時に辺りに散らばるゴミも拾い集めて補強していく。
接着剤代わりには蚯蚓の体液を利用。あのぬちゃぬちゃの粘液は予想以上に粘着力があるようだ。
≪……無駄に行動力だけは高いな≫
「……」
試行錯誤の結果、なんとか形だけは様になった。
蚯蚓の表皮とゴミを体液で繋ぎ合せた異形の小屋だ。
その出来栄えは――――
【ダイス判定。1D100。数字が高いほど立派――結果【77】】
【拠点【頑丈な蟲小屋】が完成した!】
【”あなた”は【工作技術Lv1】を覚えた】
【”あなた”は【サバイバル技術Lv1】を覚えた】
まだまだ未熟さが目立つのは確かだが、初めての工作にしてはそれなり以上に立派なものが出来た。
少なくとも自分とディスコードがしばらく住む分には十分だ。
”あなた”も満足気な様子だ。
≪……え、本気でこの蟲小屋が我たちの拠点になるの? マジで?≫
「…………」
ディスコードはどん引きしている。
蚯蚓の表皮と体液のコラボは若干の黒光りを見せ、組み合わせたゴミがそれに見事にマッチしている。これは見事に魔術師の工房……ぽくは無いだろうか。
ディスコードの困惑した様子を見て、”あなた”は、何故だと首を傾げた。
【”あなた”は称号【異形の芸術家】を取得した】
【以降、行動に応じて経験値が取得出来ます。取得経験値――1D10――結果【10】獲得】
【【探索Lv1】【初級魔術:風】にそれぞれ経験値【1】、レベルアップまで残り【19】【19】】