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転機

次で最後です。


 「僕」は人を殺してしまった。

 

 深い意味はない。別に、この「僕」にようやく良心の呵責が動いたというわけでもない。ただ言ってみたかっただけだ。


 殺しを重ねていくと、何か重さが全く違うような気がしてくる。


 殺された人には申し訳ないが、運がなかったとしか言いようがない。でも、「僕」の欲求を満たすという意味のある死が出来たから、ある程度誇れるんじゃないかな。


 さて。今日の獲物は、酔っ払いだ。電柱にしがみつくみっともない中年のおっさんだ。顔を真っ赤にして、べろんべろんに酔っぱらっている。


 酒は飲んだことがないけど、こんな風にみっともなくなるなら飲みたくないなと思う。


 まあ、ただただ殺りやすくなるから、「僕」にとっては好都合である。


 いつものように、頭を砕く。釘を打つのをイメージして。まず手始めに鼻を狙った。鼻の骨は一瞬にして砕け散り、頬よりも真っ赤に染まった。その次にアッパーをかけて顎を砕いた。その衝撃で前歯が吹っ飛んだ。


 「僕」は粉骨砕身して事に当たる。


 行為が済んだ後、急いでこの場から立ち去る。


 今回は遊びすぎた。


 慣れたせいで調子に乗ってしまったようだ。少しは自重しよう。


 「僕」は喉が渇いたので、自販機で炭酸飲料を買った。


 その時だった。


「こんな夜遅くにどうしたの?」


 背後から突然声をかけられたのだ。非常にあせった。


 声からして見当がついた。


 柏美禰だ。


 「僕」は「ジュースを買いに来た」と出てきた缶を見せてアピールした。


 普通にしていればばれないだろう。しかし、「僕」は極度の興奮状態にいた。


 平常を保とうとは試みているが、どうしても不自然になってしまう。


「そっちこそ、何してるの?」


 「僕」は美禰に話題を持ち掛けた。


「ランニング。いつも朝にしてるんだけど、何か寝付けなくてね」


 嘘だな。と思った。


「よくやるね」


「まあね」


 美禰は可愛らしい笑みを浮かべた。


「それよりさ、顔についてるよ」


 美禰は「僕」の右頬を指した。


「それじゃあね」


 何か鬼の首を取ったように、不敵な笑みを浮かべていた。


 美禰は大きく手を振りながら走り去っていった。あの速さだと、「僕」は追いつけないな。と、情けな

く感じた。


 それより、美禰に指摘された所を指でなぞってみた。


 戦慄した。


 なぞった指には赤黒い血がべったりと付着していた。


 まさにトンカチで叩かれたような強い衝撃が頭を襲った。


 眩暈がした。


 高揚とした気持ちが一気に失墜した。


 「僕」は柏美禰にこれまで感じたことのない殺意がわいた。


 「僕」は……自分を保守するために、柏美禰を--殺す。





「明日暇?」


 成海は驚いた。まさか美禰の方から誘ってくるとは思いもよらなかったからだ。しかし、成海にとっては好都合だった。


 美禰はSHRの前、小声でそう言った。


「暇だよ」


 と、すぐに返した。


「あのさ、前にいい場所があるって言ったわよね。そこって、見晴らしはいいかしら?」


「うーん……まあまあ、かな」


「ちょっと、そこに連れて行ってくれないかしら?」


「まあ、いいよ」


 話がついたところで、うまい具合に先生が教室にやって来た。


「起立」の当番の号令で全員が立ち上がる。


 成海は小さく伸びをしてから、いい笑顔で「殺すか」と心の中でひっそり呟いた。


 

 SHRが終わると、今度は信弘が成海のところへやって来た。


 信弘は「帰ろうぜ」と成海を誘ってきた。


「いいよ」


 それから二人は他愛ない話をしながら帰った。


「なあ、成海さ、この後どうすんの?」


 信弘は尋ねた。


「家に帰るよ。それがどうかした?」


「いや、別に。妹と遊ぶのか」


「弟と遊ぶよ」


 成海は強くいった。


「大変だな」


「そうでもないよ」


 ハハ……とはにかむ。


「信弘は何すんの?」


「……どうもしないさ。ただ、家でゴロゴロするだけさ」


 それからしばらくして、二人は別れた。





結構設定を忘れている。

なにはともあれ、次で最後。

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