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刑場

掲載日:2026/02/13

処刑されてからずっとこの部屋にいる。

俺を地獄へ連れにきた死神どもを力づくで追っ払い、この刑場に居座った。

意外なことだが、処刑されて、初めて、自分が無敵と気づいた。


命を失い、能力に目覚めたと言った方がいいのだろう。

生きていた時は確かにいい思いもしたし、未だに俺を教祖と崇める教団を作り、

神秘的な力を得た・・・もちろん、死んでからな。


この留置場の刑場が俺の縄張りだ。

俺を死刑にしたこの国が悪い、俺はただ単に強い権力が欲しかっただけ。


それが良くないことなのか?

否、断じて否である。

いいことに決まっている。

俺を盲目的に崇める信者どもが無限に力を与えてくれる。


「ありがとうな・・・かわいい虫けらどもよ」


時折それを呟き、この刑場へ入ろうとする科学者や霊媒師を痛み付け、

養分になってもらっているな。


特に科学者、あいつらが神秘的なことの論理的説明を求めるから、

その説明がないことを知ると絶望感を覚える。


そこがいいんだよ・・・そこがよ・・・


1年前の7月初めに処刑されてから数十人を餌食にしている。

この前の婆、霊媒師だったが、軽く驚かしただけで死にやがって・・・根性が足らんな・・・最近の年寄りども。


たまに若い女性もくるよ・・・楽しいよな・・・物理的に楽しめるのでな・・・


死んでから得た力が素晴らしいぞ・・・簡単に人を殺せる、女は特に犯してからな。

そしておもちゃが壊れたら、魂を食らい、更に力を高める。


宗教家はいいね・・・まさか、死んでからこんな素晴らしい力を得られると分かれば、もっと信者を増やしていたな・・・あああ・・・笑いが止まらんわ。


2週間ぶりに刑場の重い扉が開いた。


誰か来たのか?・・・ああ・・・男女の二人組だ。

若い黒髪の女・・・美人だ・・・年齢は二十歳かその辺だろう。

女は黒いドレスを着ている、男も若い・・・スーツを着ていて、執事っぽいな。


男が大きな棺桶を引っ張ている。


「おい・・・出てきたらどうですか?」


女はめんどくさそうに言う。


「あんたは神になったつもりでいるのですね?」


俺は神だぞ!!失礼な女め。


「出てきてよ・・・時間が押しているのよ・・・あんたみたいな下衆に私の貴重な時間を使いたくないのよ」


なんだと!!本当に不敬すぎる女だ!!


「松元君、棺桶を開けて!!」


「はい、お嬢様!!」


「出てきてよ・・・時間がないのよ・・・まったく・・・下衆な悪霊のくせにムカつくわッ」


「女!!!神に対する口の利き方になっておらんぞ!!犯して殺すぞ!!!!」


「おおお・・・出た、出た・・・うんこみたいに・・・あははは」


「お嬢様・・・あまり刺激しない方がいいのでは・・・」


「いいの、いいの・・・こいつは早めに片付けて、次の依頼へ行かないね」


「その通りですが、でもこの下衆悪霊は数十人の命を奪っているのですよ」


「あの大臣が私への依頼料をケチるからよ・・・まあ、どの道にしても地獄からも依頼が入ったので・・・」


「女!!!殺すぞ!!!」


「黙れ下衆!!ッ・・・今松元君と話し中だわ!!」


「お嬢様・・・あちゃ~」


「国からの正式な依頼ではないな・・・でもこいつを処理しないとね・・・依頼料以上の金額を請求するわ・・・こいつの中でうごめく魂たちの成仏料も含めてね」


「確かに・・・サッと見積もっても・・・数億まで行きますよ、お嬢様」


「女ああああ!!!!」


怒鳴る俺はあの若い女は俺を氷のような冷たい目で睨む。

耐えがたい、生意気でムカつくな女だ。

俺が教祖だったぞ、未だに俺のことを崇めて、力をくれる信者もいるぞ。

生意気な若い女め・・・圧倒的な力で殺す、

そして殺す前に必ず犯す!!

あのとぼけた男も殺す!!


俺は教祖だ!!

崇め!!


「俺が神になった男だぞ!!」


「あんたはただの悪霊だわッ」


「もう許さんぞおお!!!女めえ!!!」


力を存分に発揮する気だったが、何も起きなかった。


「あれ・・・もしかして動けないの?」


あの若い女は神になった俺を茶化す。


「貴様あああ!!!」


「私の結界はあんたごときが壊すようなものではないわ」


「ああああああああ!!!!!」


「それでは先にあんたが殺して、食い物にした魂たちを解放するわ」


「やめろおおお!!!!」


一気に力が抜けるのを感じた。


「あの大臣は本当に情けないわ・・・13人よ・・・どう思う、松元君?」


「多いですね、お嬢様」


俺の養分になったはずの科学者と霊媒師たちの魂が次々と素早く成仏した。

俺にはまだ信者が残っているぞ・・・隙を見て、こいつらを殺す!!


「信者を当てにしない方がいいわよ」


「何いい??」


「この刑場の周りに強力な結界を張ったの・・・強力な札の補助付きでね・・・信者の信仰心による力が入れなくするためよ」


「おのれええ・・・女めええ!!!!」


「ほらほら・・・小さくなったでしょう・・・ほれ・・・おちびな下衆ちゃん」


「必ず殺す!!殺す!!殺す!!」


「はい、はい、わかった、わかった」


「煽らない方がいいのではないですか・・・お嬢様」


「心配しすぎよ・・・こう見えても油断も隙もないのよ・・・私」


「確かに、おっしゃる通り・・」


「ほら・・・ミイラ化したあんたの肉体へ戻すよ」


棺桶に俺の体があった。ミイラ化していた上、頑丈な鎖と一目でわかる強力な数枚の札が貼られてあった。


「戻してどうする?・・・答えろ!!!俺を封印するのか??」


「封印するよ・・・永遠にね・・・ここじゃない場所で」


「地獄か?・・・信者がいる限り、絶対に抜け出してやるぞ!!そしてお前を殺してやるぞ!!!」


「黙れッ」


女の目がまるで蛇が蛙を捕食する前に俺を睨む。

小さくなった俺の霊体をミイラ化した体に入れられた。


「女・・・お前は何者だ?!!ッ」


今まで気付かなかった、あの女の圧倒的すぎる存在感と力強さ。

古より存在し続ける何かを感じた。


「下衆な悪霊に成り下がったお前の四十九日も遠くに過ぎているのよ・・・極楽浄土だの、天国だのもってのほか・・地獄もお前を絶対に受け入れない・・・冥途へ送るよ・・・体ごとに・・・」


「冥途?・・・」


「救いようのない下衆な悪党が赴く迷いの世界だよ・・・永久に彷徨い・・・二度と転生できないように悪党が封印される・・・暗闇に覆われた・・・完全なる【無】の領域だよ!!・・・そしてお前の体も聖遺物化しないため、この世界から消えてもらう」


「いやだああ・・・やめろおおお・・・俺が神になったはずだったあああ・・・」


「永久に彷徨ってろ・・・くそごみめ」


女の目が冷たく、恐ろしかった。恐怖を感じる前に強い力で引っ張られ、体ごと闇に飲み込まれた。


「終わったわ・・・帰ろう、松元君」


「はい、お嬢様・・・扉の外に大臣ご一行が待っているようです」


「地獄の報酬より請求してやるうう・・・ケチった罰だわ」


「その方がよろしいかと・・」


「それと科学者と霊媒師たちの家族への慰謝料もね」


「そうですね、お嬢様」


「あれ?・・・次の依頼では今の姿のままでいいの?」


「はい、それはよろしいかと思いますよ・・・後3時間で飛行機に乗らないといけませんので」


「わかった、行こう、松元君」


二人は足早で刑場から出た。


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