江藤のこと
山本がぶっ殺してやると叫んだ数日前…
山本は、江藤が失踪する前に会ったと、手帳に残された取材相手三木に会った。
が…予想に反して取材が空振りに終わり、公園のベンチでうな垂れていた。
すると突然電話が入った。
知らない番号だったので、用心してでる。
相手は救急隊員で…
山本は電話を切るか切らないかのうちに走り出していた。
妊娠中の妹の遥が、救急搬送されたという。
遥とは今夜、会う約束をしていた。
今日の取材で何か掴めれば少し、喜ばせられる報告ができるはずだったのに。
病院へ向かうも、おなかの子供のことが心配でならなかった。
だが、地下鉄の遅延に足止めされ、病院に着いたのは連絡から一時間以上あとだった。
遥はすでに処置を終え、病室に移されていた。
不正出血で倒れたが、幸い胎児は無事。
念のため、数日の入院が必要だという。
原因は心労であることは聞かなくてもわかる。
ドアを開けると、遥がこちらを見た。
「ごめんね……忙しい日だったのに」
申し訳なさそうな顔。
両親は、遥が18のときに亡くなった。
何かあれば山本に連絡が来る。
それは当たり前だった。
山本は、遥から目を逸らした。
「謝ることじゃない。家族だったら何かあったら駆けつけるのは当たり前だけど。」
「ありがとう…」
弱々しい声だ。
本当ならアイツが駆けつけるはずだし、遙のそばにいてほしい…
でも、アイツ…江藤がいないから遥は傷つきこんなことになったのだろう…




