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第4話土地神様、葵の力を知る

『お前、もう時期《《死ぬぞ》》?』


 やっぱり……カンナさんには気付かれてたか……

 神として、段々維持が出来なくなってしまっている。

 それか、信仰心が既に失われていたから遅かれ早かれ死ぬということは確定していたのだろうか。


 だから……姿が見られていた。

 それだと合点がいく。

 でも、それだとしてもだ。

 私自身そんなに信仰力や神力が仮に失っていたとする。

 それで姿が見られたのなら、やっぱり神力が弱まってたとしか考えられない。


 葵ちゃんが凄い、って訳じゃないとウチが勝手に睨んでるだけだけど。

 多分葵ちゃんの能力って《《神力を司るものを見ることが出来る》》んだと思う。

 あの話の素振りだと、カンナさんが見れたのはそれだけ神力が弱かった何かに宿っていたから見れたんだと勝手に予想するけど……


 多分、元々そういうのを子供の頃から見れていた…いやカンナさんを見れていた。

 そこからあっさりと契約にこぎつけたんだと思う

 勝手な予想だけどね。


「ふわぁぁぁ……眠い……あの警告を受けてから凄い眠いのが酷くなった気が」

 神としてそろそろ限界が近いのか。

 それとも、それだけ信仰心、神力が共に薄れてきているのか。

 どっちとも考えられるからこそ厄介だ……


「何とかして……起きないと……」

 そうしないと、約束が叶えられない。

 それに、陰陽師の約束は物凄く重いもの。

 破ってしまったなら神だとしても、とてもえげつない事になるってことをお母様から聞いたことがあるから何とかして起きないと……


「っと、澪さーん?」

 ヤバい……声は聞こえるのに凄い眠気が来て……

 起きれる自信がない……

 いや……違う……

 神力自体が失われている気がする、吸い取られてる感じもする……

 昨日は全然感じなかったのに……

 これは……一体……

「澪さん?!大丈夫?!」


「ぇ……大丈夫……だい、じょうぶだよ〜」


「もう!!全然ダメじゃん!!」

 必死に心配してくれている

 なんでこんな……

 抜け殻みたいなうちの事……心配して……

 もう…ほんとに優しすぎるよ……


 でも、助けるって言ってもどうやって助けるんだろ?

 この子には能力があんまりないと思ったんだけど……

 もしかして…この膨大な神力の正体って……

 まさか……


「回復……」

 段々、力が戻ってきてる感じがする……

 それに、葵ちゃんの優しい感じが同時に流れてくるような……

 もしかして……


「澪さん、大丈夫ですか……?」


「うん……なんとかね」

 やっぱり……何かある。

 この子、今のウチより膨大な何かを持ってる。

 それを……聞くしかないのか。


「ねえ、葵ちゃん」


「なんですか?」


「やっぱりまだ、何か隠してるよね」


「どうしてそう思うんですか?」


「それは……」

 君の力がもしかしたらとてつもなく大きな力の可能性があるから。

 それに、葵ちゃんが神達にとって大きな影響を及ぼすのなら……その力を無くした方がいいんじゃないかと思ってしまうから……


「やっぱり、バレてますよね」


「うん……」


「それでは……私の能力とカンナちゃんの事でも話しましょうか」


「分かった」


『さて、いきなりですが私の能力は神様を見るだけじゃないんです。それは、気づいてましたよね』


『うん、葵ちゃんが来る前に気づいたかな』


『それでは、澪さんはどんな能力だと思いますか?』


『そうだね…多分だけど神の力とリンクすることが出来るんじゃない?』


『正解です、そして澪さんを回復出来た理由はカンナちゃんの能力とリンクしているから……なんですよ』


『それは……だいぶすごいような……』


『まあ、凄いものでは無いですよ。だって、力は吸い取られますし霊力は消えますしほんとに眠くなりますし、はたまたお母様には身体をいじられますし、霊力を定着させようとして出来なかった残り香がまだありますし……』


『いきなり凄いこと言い出した……』


『だってほんとの事ですし……』


『それはまあ……しょうがないか』


『まあ、話を戻しますと。私のこの能力、《《神様の力とリンク》》するっていうのは偶発的に生まれたんです。』


『偶発的に……?』


『はい、所謂身体を弄られた時の話になるんですけど……うろ覚えですがいいですか?』


『大丈夫……だよ』


『ありがとうございます。それではお話しましょう。私が身体を弄られた時なんですけど降霊術の陣を埋め込まれそうになったんです』


『こ、降霊術?!』


『はい、この世で3つある危険な術のうちの1つである降霊術を私の……そうですね下腹部あたりに詰め込もうとした時に……』


『何か、起きた』

(確か、降霊術を定着させるには八から十歳の健康体でないと無理だった気がする……それと、ちゃんとした霊力がないと反発して定着させる側とする側が死ぬってことを聞いた気がするんだけど……もしかして……)


『澪さんが考えてることと多分同じです、降霊術の陣を展開した瞬間私が持ってる神力が反発して……私の身体に障害が残ったという感じです』


『そう……』

(やっぱりまだ何か隠してる気がする、でもそこは触れない方がいいか。まだね)


『そこからですね……疲れやすくなったり、術を使うと睡魔が襲ってきたりすることが多いんですよ』


『そうだったんだ』


『だから、そのカンナちゃんに来てもらってるんですよ』


『理由にはなってるけど、やっぱまだ何か隠してるよね』


『霊術がどうして使えるか、ですよね』


『うん、それとカンナちゃんのことも話して欲しいかな』


『それもありましたか……それなら一気にお話しましょう

 まず霊術は降霊術の余波が残って今使えてるという状態です』


『余波?』


『はい、所謂残り香ですね。体内に一番霊力が貯まりやすい下腹部に余波が集中してしまったから、霊術が使えるんです』


『いやでも、使い続けたらいずれは無くなるはずじゃ…』


『そうじゃないんです、私の場合はちょっと特殊で神力も下腹部の方に集まり、全身に行き渡ると言うじゃないですか。それを利用して神力を霊力に置き換える術式を自分で編み出して、今はそこそこの術なら扱えるんですよね』


『なるほど……』


『まぁやっぱ大変でしたよ、こうやって霊力を使うのも努力に努力を重ねた結果……なんですけどね』


『でも、神力からだからそんなに大変な事は無いような……』


『まあそう思いますよね……でも実際、私の身体の霊力に置き換える機能は大体が死んでるんです』


『それって……』


『そうです、何度も弄られた末に霊力を扱える機能は少しだけですが残ってますが他の霊力を安定させたり、満たしたり、減少させたりする様々な機能がなくなっているんです。なので神力から霊力に還元するのはほんとに難しくて……』


『でも、なんで霊力を操れるの?』


『うーん、それは……その、カンナちゃんが関係してるんですよね』


『カンナちゃんが?』


『はい、ではその事もお話しましょう』


『うん、分かった』


『カンナちゃんは、約1000年前くらいにはもう陰陽師の方に居たと聞きました。実際、御札か……薙刀だったけかな。それに宿っていた魂が使い終わったあとに解放されて神として顕現した……って本人からは聞いてます』


(物には神が宿ると聞いたことがあるけど、まさかほんとに宿るとは思わなかっただろうな……それをしかも葵ちゃんが認識出来るまでカンナちゃんも寂しかったでしょうに……)


『それに、カンナちゃんの能力に依存しちゃってるからこそもあるので……私は落ちこぼれになってしまったんですよ……あはは』


『それは……』


『ごめんなさい……忘れてください』


『ううん、いいんだよ』


 やっぱり……葵ちゃんは気にしているんだ

 由緒正しい陰陽師の家系を継げなかったことに責任があると思う……

 それに、責任もあるけど恨んでると思うかな実際自分がこうして不便になってしまったのは西園寺家のせいなのだから……


「こんな感じですね、私のお話は」

 と言うと、いつの間に結界を解いてるではないか

 やっぱり凄いな、葵ちゃんは。


「澪さんは、大丈夫ですか?」


「ん?何が?」


「いやその……やっぱりなんでもないです」


「えー、気になるよー」


「お、教えられませんっ……すみません……」


「そこまで言うなら……しょうがないか」

 凄い落ち込んだ感じになってしまったからウチから引き下がるしかない。

 何を言おうとしたのか気になるけど……

 もしかしたら、ウチの身体のことかな……


「私、今日は帰ります」


「分かったっ、気をつけて帰ってね」


「はい!また明日っ」

 と去っていった。

 また明日……か。

 ウチに、明日って来るのかな。


 分からないけれどとりあえず、このビルの上から人間さん達を見よう。


 そして、この土地の人達に幸運が訪れますように。


 そんな、ちっぽけな祈りを込めながら。


 to be continued

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