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第1話土地神様と陰陽師の末裔

れい…澪は絶対に人間の前に姿を出しちゃいけないよ』


『どーして?おかあさま』


『それは、ウチ達が神様だからよ。だから決して人間に姿を見せたらウチ達やその人間にも不幸が降り掛かってしまう。それを避けるためなのよ』


『ふーん』


『今はわからなくていい、だから大人になったらわかるかもね。だって、うちのれいは凄いんだから』

 なんて…昔お母様に言われたことを不意に思い出した。

 あの後なんて言ってたんだっけな。


 今はもう覚えてない。

 だって凄い小さい時だったんだから。

 でも、どうしてだろ。

 お母様が亡くなった後もこの約束というか契というか…


 それをずっと守り続けている。

 だからこそ、人間がどんなものかなんて今はわかるけれど触れることも見ることも出来ない。


 なんせ、神は人間と触れてしまったら《《消えてしまう》》のだから。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ―――――――――――――――――


 夜


 この暗い暗い夜の帳が降りている中、本来なら誰も居ないと思うはずなのだが。


 今は、こんなにも明るくなっていてとても信じられないけれど昔はほんと辺り一帯が暗くなって提灯の灯りがないと山の闇に飲まれてしまうことが多かったのだが……


 この、奇っ怪な建物が乱立したこの土地を見て驚きというものが隠せないが今ではもう慣れてしまったものの。


 夜のこの暗い闇の中を歩き回る人間たちとそれを照らし出す無数の光がとても当たり前になっているのがほんとに今でも驚きだ。

 昔では到底考えることが出来なかったが人々の成長によって生まれたそれらはほんとに凄いと私は今でも思う。


 それに、人間同士の大きな争いの後瞬く間にこんなものが出てきたのだから。

 ほんとに凄いなとつくづく思う。

 そんな事で驚くのも束の間。


 もっともっと大きい物も出てきたり、電車と呼ばれる箱のものが人を乗せて動く場面を目撃したり、はたまた空には鳥のような……人間曰く飛行機と呼ばれるものが飛んでいたりと……


 ほんとにここ最近でこんなにも発展したりしている様子を見てほんとに人間はおもしろいんだなぁってわかる。


 ウチが神様になってからかれこれ千年以上経ったけれど……

 人間達こんな目まぐるしく動くんだなぁ……

 ほんとに知らなかった。


 なんて、こういう風に思ってるけど。

 ウチはどーして人間が作った高層ビル?の上にいるかと言うと…


「ウチが住んでいた山はここだったから!!」

 なんて……悲しいことを言ってしまった。

 だって、誰にも聞こえないし誰にも知覚出来ないのに……

 トホホ……


 自分で言って、すごい悲しくなる……

 まあ、この近くはすごい大きい山だったからその分土地神様沢山いたんだけどね。

 気づいたらウチだけになってしまって……

 一人ぼっちになってしまったんだ。


 考えてみたらウチって狼の土地神だから、その分霊力が強い。だから消えることなくまだ現界し続けるのか……


 そう思ったらなんだか悲しくなるけど……

 まあでも、一人ぼっちでこうやってビルの下にいる人間達をこうして見るのも悪くない。


 それがウチの今の楽しみなのだから。


「それにしても不思議に思うよねぇ、だってウチは誰にも見られないし聞こえないんだから大声とか出してもバレないんだから」


「え?聞こえてるよ?」

 ん?


「気のせいだよねぇ、そんなそんな声が聞こえるなんて……」


「いやだから、聞こえてますって」

 やっぱり…声が聞こえたような……

 気の、せ…い、だよね?

 とりあえず気のせいってことにしよう。


 うん、そうしよう。


「んー」


「どうしたんですか?」

 やっぱり声がする。

 お、同じ……神様なのかなー……(震え)

 いや、そもそもだけどこの近くにウチ以外神様なんていないし……


 じゃあやっぱり……


 いやいや!!人間であっても

 このウチを知覚出来る事なんて……

 でもでもやっぱりそんな事ないと思いながら振り返ってみると

「ま、ま、まさか……このウチを知覚出来るがいるわけ……」


「いやいや、居るじゃないですかここに」

 自分に指をさし、ほらほらと訴えかける。

 えーっと……


 え?


「えーっと、聞こえる?」


「え」


「え?」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!!!」


 ウチは過去一驚いてしまった。


 こんな……こんなことってある?!?!


 人間に?!しかも、なんか、可愛い感じの女の子に知覚されることなんて……


 今まで絶対なかったのに!!


 どぉぉぉしてぇぇてぇぇ?!?!?!


「ちょっ、落ち着いてください!!」


「落ち着けるどころの問題じゃないんだよぉぉぉぉぉぉ!!」

 だって!!ウチ人間に知覚されたら神様に怒られるちゃうか消えちゃうんだよ?!それか人間になるのか……

 人間になるのはそれはそれでいいかもだけど!!


 なんか……その……


 1000年以上守り続けてたウチの…アイデンティティがぁぁぁぁあ!!!!


 一瞬にして……崩れ去っていくよぉぉぉぉ!!


「と、とにかく……深呼吸……しましょ?」


「そ、そうだね……」

 すぅ……はぁ……すぅ……はぁ……

 いや、これ落ち着ける状況か?

 そもそもだけど、なんでウチが落ち着いてないって事も分かったんだ?


 それもそれで可笑しいけど……

 でも、もしかして……


「ウチ……ウチじゃない私の声って…もしかしてダダ漏れだった……?」


「えっと……その……」


「正直に言って」


「は、はいっ!!その……えと、その通りです……」


「嘘ぉぉぉぉぉん!!」

 なんというか、気を落とすというか自分の情けなさが招いたこの事実……

 なんて言えばいいのだろうか……


「えーっと……その、どっから話せばいいんだろうか……」


「は、はいっ……そうですよね……えっと……その、それでは……あなたは……神様ですか?」


「ん?そうだけど……あなたはどうして私が見えるの?」


「それは……」

 初対面の人に何聞いてんだろ……

 何か事情があるのかな?

 それかウチに何か要因があるのだろうか?


「それよりも、どうして私のことが分かったの?」


「それは……その、私が……」


「おーい、葵ー、そっち交渉終わったか?」

 え?もしかして……まだいるの?!

 しかもこの感じ……

 凄い神力を感じる……

 いや、それだけじゃない……


 この子もかなり《《強い神力》》がある……

 もしかして……声をかけた子も凄い力が……

「あなた……ほんとに何者?」


「ん?あ、あぁ……えっと……言ってなかったか……」


「うん……?」


「私は……ほんとは、天才陰陽師の一家の末裔で生まれつき神様しか見ることの出来ない、ちっぽけな人間ですよっ」


「そう……なんだ」

 天才陰陽師……

 そういえば、1000年前に聞いたことがあるような……

 西園寺、宮野、寺田、そして安倍。

 この4人がウチを霊と思い祓いに来たのは覚えてるなぁ……


「それで...その、私が来た理由なんですけどっ、あなたを迎えに来たんですよ。れいさん」


「私の……名前を……」

 それよりも…今、迎えに来たって言った?

 ウチを?

 なんのために?


 それに、なんでウチがここにいたことが分かったのかってこともあるけど。

 それだけ、あの子がウチの事調べてた…ってことなのかな。


「私の誘い、乗りませんか?」


「……私は、ここを守らなきゃいけない。ただここにいるだけでもこの土地の守り神としての覚悟があるから、その誘いは……」


「そうですか………」


「ごめんね、葵……ちゃんだっけほんとにごめんね」


「い、いえ……いいんですよ…でも、私諦めないから…」


「え……?」


「私絶対!!あなたを迎えに行きます……それで必ず…私と一緒に暮らしてもらいますから!!」

 と言い、葵と言われていた子はウチの前から居なくなった。


「不思議な子だったなぁ……」

 でも、ウチの姿……見られてたんだ……

 嬉しいのか…わからないけれど、それでもこうやって人と会えたのは嬉しい事なのかな。


「でも…近いうちにウチは消えるからな……その間にここの土地神として役目果たさないと……」

 あの子と出会えること……

 多分無いかもしれないけれど、消えるまでの役目を果たすまでとりあえず集中しようと思った。


 だけど、ほんとにこの先。

 葵と名乗る子と一緒になる日が来ることがあるなんて神様というのは分からないなぁって思ったのは言うまでもない。


 to be continued

どうも作者です!!

ついになろうでも始まりました土地神様のお話!!

なろうでも連載中なので、なろうの方にも同じタイトルで連載してるので是非、ご覧下さい!!

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