ヌートリア
『バックシャン』『福笑』
中学時代、このふた言で私の容姿をディスった同級生達を私はずっと恨み続けている。
それは、この鬱々とした性格が決定的になったからだ!!
こんな私は……
どんなに地味にしていても
通勤電車の中でしばしば痴漢に襲われる。
そのたびに私の心は恐怖とやるせなさで深く抉られる。
いったい私が何をしたと言うの??!!
満員電車をやっとの事で抜け出し、ついさっき遭った被害を申し出ても、私を一瞥して応対するオトコ達の目の奥には……いつも嗤いが潜んでいる。
駅長室から出て……堪え切れずにトイレへ駈け込み鍵を掛け、しばらく嗚咽をかみ殺す!
全世界の男共!!
死んでしまえ!!
お前達が作る価値観で!!
なぜ私が裁かれなきゃいけないんだ!!
お前達が崇める見目麗しいオンナだって!!
一皮むけばこのような残骸を残しているというのに!!
私はそのせいで、今、おちおちと泣く事もできないじゃないか!!
安住の地など!!
私には無い……
いつだったか
川原で蠢く動物を見掛けた。
「えっ?!カピバラ?!!」と思ったら……
太くて長いしっぼがズリズリと出て来て
背筋がぞっとした!!
調べてみたらヌートリアという第一次指定種の特定外来生物で……
駆除対象になっているらしい。
かたやカピバラは……皆から愛されて温泉に浸かり、キャラクターにもなっていると言うのに!
でもヌートリアは私なんかよりずっと逞しいのかも。
ああやって日本の川岸に根を張り駆除対象になるほど繁殖しているのだから……
ヌートリアにすらなれない私は……
ヌードにでもなれば、この腐れた世の中で
根を張ることができるのかもしれない。
斯様にどす黒いものを書いてしまったので……来週の『月曜真っ黒シリーズ』はお休みするかも……(^^;)
ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!