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迷子の一人と一匹

作者: 音無悠也

とある国の王子様、いつも同じような日々を過ごす日々に退屈していました。

戦などが起きたとしても、部下が優秀であったり王様自身が優秀なため、大した問題にならずに済んでしまうのです。

そんな王様にも苦手や不得手なものもあります。

苦手なものはひとまず置いておくとして、王子様は…。


動物にどうしても好かれない体質なのでした。

なぜか、何もしていないのに警戒されたり。

もしくは怯えられたりと当の本人は全く、そんなつもりはないのに。


とあるペンギンは、気持ちよく泳いでいると何か大きなものが起こす、水流に巻き込まれてしまいました。

そのまま、何かに掴まれたペンギンは見知らぬ土地にまで運ばれてしまいました。

見たことのない土地。

感じたことのない感覚。


しかし不思議と怖いという感情は起きず、好奇心の方が優っていました。

色んな水路を伝ってあっちへこっちへ。

楽しくなって色々なところを泳いでいるうちに、迷子になってしまいました。

そもそも、迷子になってこの場所に来たのに、泳ぎまくったせいで余計にわからなくなってしまいました。

迷子のペンギンがさらなる迷子に。

どうなることやら。


仕方なしに、記憶の限りに来た道を戻ってはみましたがついたのは良くわからない庭の噴水。

顔を覗かせると、目の前で寝転がっていた人間と目があう。


どうせいつもの、何の変哲のない日々が繰り返されるのだろう。

そう決めつけて、少しばかり護衛の目を盗んで部屋を抜け出す。

いつもならしないことをすると、ちょっとしたドキドキ感があって色褪せた日常も少しは輝く。


そんな思いで抜け出し、物はついでだといつもなら怒られる、中庭ので仰向けに転がる。

噴水の音と、水のおかげで程よく涼しい風が気持ちいい。

うとうとしていると。


ジャパッ…


いつもの噴水からはしない音に目を開けて、噴水に目をやる。

ペンギンがいた。


何でか知らないがペンギンが噴水の淵から顔を覗かせて、こちらを見ている。


水から顔を出すと、人間がこちらを見上げている。

普段なら引き返すところだが、なぜか固まってしまう。

いきなり、動き出したので水が吹き出している、不思議な岩の後ろに回り込む。

恐る恐る覗くと、彼はいなかった。

逃げたのかと思い、少しばかりその大きな岩に囲われた草地を歩いてみることにした。


きっとこの時に引き返していれば、何か違う物語が始まっていたのかもしれない。

壮大な冒険の末に故郷に帰るような、冒険譚ができたのかもしれない。

けれどこれは、ちょっぴり好奇心旺盛な帰り道がわからない迷子のペンギンと、色んなものに飽きてしまった進む先に迷子の王子様のほっこりする物語の始まり。

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