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君は優しいけど優しくない  作者: ソラトドライ
第一章
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第七話 雨の日

 雨。そう、本日の天気は雨である。そして、それは僕の最大の敵だったりする。

 僕は生まれつき天気の変化、気圧の変化に弱い。だから今、僕は片頭痛に苦しんでいる。本当に不便なところがあるよな。僕の体。しかも今日は学校。頭が痛い中受ける授業ほど苦痛なものはない。今日も教室の隅でやり過ごそう。まあ、いつもと変わらないんだけど。

 そんな悲しいことを考えていると、時雨がやってきた。

 「おはよう、村雨くん」

 う、こんな時に。今コミュニケーションを取るのはなかなかつらい。

 「あ、おはよう」

 僕は何とか一言絞り出した。

 「あれ? 今日はいつもより元気ないね。どうしたの?」

 彼女は心配そうに僕の顔を覗き込む。彼女にしては鋭く的確な推察だ。

 「うん、天気の変化に弱くて頭が痛い」

 今回も言葉を絞り出す。これ、一日持つのかな。

 「大丈夫? 保健室行く?」

 彼女はよっぽど心配してくれているのだろうか。ありがたいけど、そこまでじゃないかな。

 「大丈夫。じっとしてれば問題ない」

 これは本当だ。じっとしていれば幾分か楽だ。

 「そっか。無理だったらちゃんと言うんだよ」

 彼女はそう言って自分の席へと向かう。そろそろ一時間目の授業が始まる。来るぞ。何とか乗り切るんだ。僕の戦いはこれからだ。

 終わった。やっと七時間目が終わった。何で今日に限って七時間目まであるんだ。まあ、早く帰ろう。

 「村雨くん、心配だから一緒に帰るよ」

 そう彼女から声を掛けられる。

 「あ、ありがとう」

 もう今日は一人で帰りたかったんだけどな。頭痛まだ痛いし。でも、断れない。僕の悪い癖だ。そして僕たちは今日も校門へと向かった。そういえば最近、毎日時雨と帰っている気がする。まあいいや。頭痛い。

 「それでさー、前スイカ食べたんだけどさー」

 「うん」

 「その時、間違えて砂糖かけちゃって」

 「うん」

 「でも、めっちゃ甘かったんだよねー」

 「それはよかったね…」

 「それでね、それでね」

 彼女は僕のことを励まそうと(?)僕にいろいろな話をしてくれた。彼女いわく大爆笑不可避らしい。けど、今はそんなに話したくなかった。頭痛が痛い。ああ、もう駄目だわ。自分でも分かる。早く帰りたい。

 君は優しいけど優しくない。

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