第七話 雨の日
雨。そう、本日の天気は雨である。そして、それは僕の最大の敵だったりする。
僕は生まれつき天気の変化、気圧の変化に弱い。だから今、僕は片頭痛に苦しんでいる。本当に不便なところがあるよな。僕の体。しかも今日は学校。頭が痛い中受ける授業ほど苦痛なものはない。今日も教室の隅でやり過ごそう。まあ、いつもと変わらないんだけど。
そんな悲しいことを考えていると、時雨がやってきた。
「おはよう、村雨くん」
う、こんな時に。今コミュニケーションを取るのはなかなかつらい。
「あ、おはよう」
僕は何とか一言絞り出した。
「あれ? 今日はいつもより元気ないね。どうしたの?」
彼女は心配そうに僕の顔を覗き込む。彼女にしては鋭く的確な推察だ。
「うん、天気の変化に弱くて頭が痛い」
今回も言葉を絞り出す。これ、一日持つのかな。
「大丈夫? 保健室行く?」
彼女はよっぽど心配してくれているのだろうか。ありがたいけど、そこまでじゃないかな。
「大丈夫。じっとしてれば問題ない」
これは本当だ。じっとしていれば幾分か楽だ。
「そっか。無理だったらちゃんと言うんだよ」
彼女はそう言って自分の席へと向かう。そろそろ一時間目の授業が始まる。来るぞ。何とか乗り切るんだ。僕の戦いはこれからだ。
終わった。やっと七時間目が終わった。何で今日に限って七時間目まであるんだ。まあ、早く帰ろう。
「村雨くん、心配だから一緒に帰るよ」
そう彼女から声を掛けられる。
「あ、ありがとう」
もう今日は一人で帰りたかったんだけどな。頭痛まだ痛いし。でも、断れない。僕の悪い癖だ。そして僕たちは今日も校門へと向かった。そういえば最近、毎日時雨と帰っている気がする。まあいいや。頭痛い。
「それでさー、前スイカ食べたんだけどさー」
「うん」
「その時、間違えて砂糖かけちゃって」
「うん」
「でも、めっちゃ甘かったんだよねー」
「それはよかったね…」
「それでね、それでね」
彼女は僕のことを励まそうと(?)僕にいろいろな話をしてくれた。彼女いわく大爆笑不可避らしい。けど、今はそんなに話したくなかった。頭痛が痛い。ああ、もう駄目だわ。自分でも分かる。早く帰りたい。
君は優しいけど優しくない。