番外編1 開国前の米国首脳と情勢
番外編です。
よろしくお願いします。
時は2021年1月、米国にて次期大統領を決める選挙戦の結果が出た。
現職だった共和党のメラニアと民主党のジルバの一騎打ちであり、結果はジルバの勝利となり、第46代大統領となった。
しかし、就任してわずか数ヶ月で数々の失敗を犯してしまう。頓珍漢な会見の応答、中東に派兵した兵の撤退のミス、疫病対策の不備、副大統領であるマヤの過激な発言の数々…。当初70%はあった支持率も30%台になり、危険水域へ。米国内にデモが頻発する様になった。そこで一発逆転の手を打つ事になる。
大統領執務室にて
ジ「マヤ、昨日の党内会議で支持率を回復する手段があるって聞いたけど。」
マヤ「一番手っ取り早いのは戦争して勝つことだけど、それは無理ってなったでしょ。外交による成果については対欧州、対中東、対アジア、どれをとっても今一つ有効打はない。国内政策も今の情勢ではかえって逆効果。ならば…」
ジ「ならば?」
マヤ「ジルは日本って国に関する報告は受けているわね。」
ジ「ああ、情報局から報告が来ていた。なんでも、男性がやたら多い国らしい。それと特定の国としか付き合いがなく、特定の地のみ出入りを許してないとか。」
マヤ「そう、その日本と外交関係を築いて同盟国にする。それが一番の有効打になると思うの。」
ジ「私はその話今でも疑ってるわ。我米国の童話にある楽園の話みたいでさ。」
マヤ「それがどうもホントみたい。今までは詳細の場所が分からなかったけどこの通り既に場所は把握しているからこちらからアプローチするわ。蘭国から日本に非公式で通達して、こちらから乗り込んでいく形かな。」
ジ「わかったわ。仔細は任せるわ。で、予算は?」
マヤ「ざっと30億ドルはかかるかと。」
ジ「まあまあかかるわね。予算は私がなんとか工面するわ。」
マヤ「よろしくね。」
こうして日本へアプローチすることになった。
日本側にとっては後に黒船来航からはじまる開国騒ぎへ。ほんの数ヶ月の出来事であった。英国も明も清も日本には開国して欲しいと以前から考えており、今回の件で日本側にそれとなく助言したのも一定の効果があったとも言われる。そして日本は開国し、米国とも貿易、そして外交交流として大使館を両国に設立予定となった。米国はすでに日本大使館を建設したので先に日本大使を呼び寄せるようにした。一連の日本に対する政策の成果により、大統領や党の支持率は共に90%を超えるほどになった。
2021年夏、江戸城内にて老中達は集まっていた。
老中は水野、脇坂、松平、堀田の4名であり、首座は水野である。
先日の会合で方針が決定したので予算、人事について話し合っていた。
先日に将軍、老中、御三家当主、公家が集まり開国について話し合っていた。天皇は当初は攘夷を熱望していたが、代替わりとなり、新たな天皇は開国に賛成したため、スムーズに開国する方針が決まった。また、攘夷を訴え続けた武士達は粛正された。
大まかな方針が決まり、老中達は外交のために決定しなければならない。特に、在米日本大使を誰にするかを決定しなければならない。英国など既に交流があった国はまだ適任者は見つかったが、未知の国である米国に行きたがる者がなかなからいなかった。
数少ない候補の中から水野は大目付である遠山景元を推挙した。堀田は反対したが、脇坂、松平は賛成に回ったため遠山景元に決まった。
水野としては、堀田とともに改革に反対する遠山景元が邪魔になったが、粛正しようにも特に遠山景元は民衆の評判、能力の観点から迂闊に処分できなかった。よって遠山景元だけでも日本からいなくなればと思い推挙した。また、遠山景元は英会話でき、外国人相手でも充分に対話ができ、地位、家柄も悪くないので大使としてはうってつけであった。
こうして遠山景元は米国へ大使として派遣された。
2021年秋、英国の首都
外務省職員であるカレンは事務次官に呼ばれた。
新たにカレンは米国大使になることが決まった。
英国の情報網により日本大使が遠山景元に決定した情報が入ったため、遠山景元をよく知るカレンを米国大使に任命した。公使や領事、大使館の職員は事務次官とカレンにより任命していった。
ここまで対策する理由は、いずれ米国内に多数の日本人が押し寄せると想定されるためである。米国も本気で日本に対して思い切った融和政策を打つとの情報もあり、そのため楔を打つ必要がでた。今回の人事はその一環である。
こうして水面下でも各国は動き、大きな時代の転換期を迎えたのであった。
番外編は単発仕様です。
次回は通常に戻ります。